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今年もまた、いくつかのお気に入りの作品が完結を迎え、程なく新作の登場といつも通りの4コマの歴史の1ページが重ねられようとしている。
幼年期を過ぎて少年期に入り、大作が期待された真田寿庵『のちの真田幸村である』(ホーム、終了)は激動波乱に入る手前でコメディ作品のまま幕を閉じ。次号から早速新連載スタート。安定の関係性でロングラン間違いなしと踏んでいたtugeneko『まほろばきっさ』(momo、終了)も単行本で3巻..まで。おーはしるい「毎日が新選組!」(全3巻)小石川ふに「まんがの装丁屋さん」(全3巻)etc...
どうしても、3巻の壁を越え(られ)ないというのが単行本化が当たり前になった現在見えてきた4コマの特徴である。これにはエピソード積み上げ型が主流という事情も絡んでいるように思う。
季節ごとの行事をテーマに繰り返されるサザエ時間に、過去のエピソードが残ってくるこのタイプは、繰り返しに耐えられないという課題が浮かび上がる。結果として小池定路「ゴーゴーダイナマイツ」(全3巻)後藤羽矢子「となりのエロチカちゃん」(全3巻)桐原小鳥「ヒゲとセーラー」(全3巻)といった学生時代を描いた作品同様に3年間、イコール単行本としては3巻分、にて一区切りとなってくる。
2作、3作の同時連載、次号からの新連載と、4コマは漫画家を追っていれば連綿と作品は綴られているから惜しむことなく過ぎ去っていき、作品は単行本でいつでも読み返せる。今は時代であるから危機感を持つ話では無いが、もう新作は読めないという一抹の寂しさはやはり残る。またこの辺りも読み捨て文化の名残を感じ、将来的なコンテンツ飽和も予見させる。
もっとキャラクターの内面を描く、壮大なドラマを展開する、ストーリー4コマの隆盛が今後必要になってくると思われる現状である(数年来言ってますが)。
-PICK
UP-
エピソード積み上げ型の典型であるビジュアル系においてはこの3巻の壁は無いに等しい。人気至上主義を徹底しているのでそこまで至らないか、少年誌のように人気に応じて完結を引き延ばさせられるか、の2択であろう。
但し一般誌と違い、独特の世界観、ストーリー性の強い作品が多いのもロングラン作品が生まれ易い一因である。
草食系サラリーマンが異世界に飛ばされ、ハーレム状態を満喫するというご都合主義の塊のような榊『異なる次元の管理人さん』(キャラット)は、謎に迫る進展を見せつつ..翌号は再び萌えキュンの通常回に戻る。NOTストーリー4コマとしてはこれが王道のマンネリズムと言える。
そんな中、やっぱり新しいタイプの4コマの描き手ではないかと確信に至ったのがえのきづ。
『漂流系女子高生』(タウン、終了)は珍しいSFミステリー4コマとして平凡な主人公が非日常に巻き込まれた理由を見事に明かして完結。ただ最大の謎が解決〜大団円までのエピソードが最終話で一気に描かれたものだから、掲載誌で読んでいて拍子抜けするほどのあっけなさに映った。ストーリー4コマと呼べる作品としてはもっと引き延ばして主人公たちは追い込まれるべきであったし、また新たな謎が生まれて新展開などさらに二転三転させる必要がある。そこまで練り込まず、いじり倒さずにサラリと完結。これは作者の過去作に共通するスマートさである。
そして連載中の『銭湯の女神さま』(ジャンボ)においてもこの特徴が現れている。お互い好意を持ちながらも、噛み合わず、すれ違いが続く。このマンネリが4コマのキモであり、思惑通り不憫萌えしていたのだが。実にあっさりと機会は訪れ、関係性が前進してしまった。現実に即せばその方が自然だし、進展を見せるものだから必然、次号が心待ちとなってしまう。但し、話が動けば動くほど、完結が近づいていることを覚悟せねばならない。
主人公の成長譚を描き切る。その力量は間違いなく一流のストーリーテラーであり、強いてカテゴリー化するならば「ショート」ストーリー4コマ、短編4コマという新しいタイプの旗手である、と言える。
ただメガヒット作と成り得るのはどちらか、と考えるとロングランになりそうな前者だと思われる。そんな気はハナから無い?これもまた当世流哉。