新・現在4コマ漫画レビュー 第52回

(初出:第218号 15.8.20)


-TOPIC-
淘汰の一例であるのだろう。双葉社の「コミックHi!」誌が10年で最終号を迎えた。10年前と言えばビジュアル系4コマバブル末期で、同社も「まんがタウンオリジナル」誌(06年休刊)、「もえよん」誌(05年休刊)をいずれも増刊扱いながら出しており、この内萌え特化の「もえよん」がストーリーメインの「Hi!」に切り替わり、4コマ作品は各誌に振り分けられ、結果萌えオンリーでは成り立たなかったという..。ストーリーでも同様に、総合誌である「月刊アクション」に吸収される形での休刊を迎えることになった。
ところで何故ストーリー誌のニュースを取り上げたかというと、つまり「Hi!」で連載されていた4コマ作品が「まんがタウン」誌に移籍してきたわけで。師走冬子『あいたま』(Hi!→タウン)がそれ。極めて個人的な思いなので恐縮だが、ストーリー誌連載の4コマは単行本読みに徹しており、本作も年イチペースの新刊登場を楽しみに待つ部類に最初から入っている。ここへ来て月イチで新作が読めてしまい、かなり複雑な思いをしている。他の連載作品は各誌掲載分を読んでいて、単行本は持っていない(過去作品を読み返す意味で買うことはある)。本作は表紙〜カバー裏〜10数話一気読み(本編)〜あとがきと読む作品という認識だったので、1話ずつ読むことに抵抗がある。あまり空白期の影響が無いエピソード積み上げ型ではあるが、何となく内容が頭に入って来ない。このペースにいずれ慣れていくとして、これで最終巻を買わなくなるようなら何だか損をしたような..こんな千々乱れる思いで毎号本作を目にする度「あっ!」となっている。思わぬ形でストーリー誌休刊の余波を受けている。


-PICK UP-
渡辺伊織『ゆとりノベライズ』(タイム)にて、「作品のアニメ化は頑張ったご褒美、おまけみたいなもの」だから「別物と思っていい」みたいな話があり、成程と思った記憶がある(曲解失礼)。
振り返ればアニメは1クールであっさり終了、同じく連載も終了したという作品を探すのが困難なほど、4コマ作品は泰然として好調である。多分に漏れずアニメは結局観(続け)なかったものの、原作は読み続けており、三上小又『ゆゆ式』(きらら)やカヅホ『キルミー・ベイベー』(キャラット)など、アニメ化を機に読み出して、程なく一旦離れたのに、いつの間にかまた読み出している作品まである。メディアミックスを新世代への大前提と位置付けていたのだが、何となく住み分けが付いてきたようだ。そもそも結論の出ていない状態でアニメになってもそちらでオチが付くはずはなく、となれば長期連載の実力作品がトレンドである証を手に入れた、くらいの認識で4コマ読者は居ればいいのかと。今後はアニメ作品を比べて云々という話はしなくなるはずと思っていたのだが。
現在アニメ放映中の春日歩『城下町のダンデライオン』(ミラク)、第1話しか観ていないながら原作の入り方と違う構成だったというところが引っ掛かっていた。そして現在、原作はクライマックスに向かおうとしている!?となれば、アニメ、原作共に最終回を最終回で迎える型を初めて観ることになり..アニメは原作の13話完結の再構成版という作りで進行していることになる。ストーリー4コマ発展のキーと見ていた「まんがタイムきららミラク」誌から、ついに新しいパターンのメディアミックスが見られることになるのか。うーん、しかしすでに録りすごして1月..結論は先送りにする。


-REVIEW-
橘りた『警戒少女いちごちゃん』(ホーム)
4コマを終の棲家とする漫画家もいれば、通過点に過ぎない漫画家もいる。絵柄で癒された水谷フーカとか、ストーリー行っちゃったし..そんな中、新たな癒しを発見。ぬいぐるみを介してしか話せない人見知りと転入生の亀の歩みの交流を描いた学園ものは目新しくも無いけれど、オーバー気味に照れたり笑ったりの日々は絵柄にピッタリ。調べてみればこれもちょっと気になっていた、ナマケモノのような不思議な生物がオーナーの『定食屋ももさん』(主任、ゲスト)の作者であった。『おじいぽんとわたし』(くらぶ)は単行本も出ているがモチーフがピンときていなく、気付くのが遅れた。幅広く手掛けているようなので、いずれ4コマ(誌)から離れてしまうのか..という危惧も抱えつつ、このところ各社での登場は嬉しい限り。


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