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ここ数ヶ月、4コマの話を書こうとする度にあれ、何かデカいニュースがあったような..と小骨が引っ掛かっていた。安西理晃『お姉ちゃんが来た』(ライフ、MOMO)のアニメ化の件だったかな、それならまあ後ででいいや(失礼)と思っていたのだが、先日やっぱり数ヶ月ぶりで手に取った「ぱれっと」誌(一迅社)をめくった瞬間あっ!!となる。荒井チェリー『未確認で進行形』(ぱれっと)のアニメ化の話であった。丁度ネットでの定期巡回も出来なくなっていたゴタゴタの時期と重なり、完全に忘却していて決定のリリース直後に触れられたはずがこんなに遅れて紹介する羽目に。メモ取りは大事、そんな話ではなくて。
アニメ化自体は出版社単位での企画だからたまたま白羽の矢が立った?くらいの感覚なのだが、作者の作品歴を振り返ると10年を越えて今なお連載中のロングラン『三者三葉』(きらら)以降、数多くの作品が連載され単行本化されて極めて順調ながら代表作のキャラクターを越えるような関係性や設定がなかなか見受けられず、もう一伸びを待望していた中で、変態性がダダ漏れのキャラ(主人公の姉)が登場し、正直このキャラが作者の中興の祖と成るのではないかと思っていたら、その後連載が始まった『いちごの入ったソーダ水』(MAX)でも同類キャラが登場、また定番化していた2巻完結の壁も突き抜け、今回の初アニメ化であるから注目していた甲斐があるというもの。
てなわけで、話の筋ももちろん面白いのだけれどキャラクター描写(特に声優さん!)に注目して観てみようかなと。放送は年明けからであるからギリギリ間に合っています。皆さまも是非。
ビジュアル系はこんな体たらくでアニメ化が決まる人気作もほとんど読めず仕舞でいる。その代わり、一般誌に関しては3日に1冊のペースで刊行されているにも関わらず何しろ毎日コンビニに通っているから同じものを再読、三読。そうなると自然、今まで素通りしていた作品も読むようになっていくわけで。
今回は久しぶりのテーマ括り。もはや評価の定まった中堅どころを今さらながらご紹介。
-REVIEW-
駒倉葛尾
ロングランだった「教師諸君!!」(芳文社刊、全3巻)を目にすることは無論多々あったものの、主人公の担当が世界史という時点で興味零。というと乱暴に聞こえるが、実際本作はキャラクター云々よりその豊富な薀蓄がメインどころであったから、興味から「ちょっと」外れているとまったく魅力が無い。所謂同族嫌悪に近い、ひけらかしに見えて面白くないと。知的で売る漫画家のウェークポイントがここにある。だから「全く」興味の対象外を題材にしてくれるとドンハマリ。『趣味じゃない園芸』(スペシャル)は植物園勤務の人々を描くルポもので、雑学知識の宝庫となる。同じく世界史が題材ながら、SF要素が付け加わると印象が様変わり。『ダ・ヴィンチ系女子高生』(ファミリー)は図書室で本を読むと何故かダ・ヴィンチの周辺にタイムトリップしてしまう主人公の不思議物語で、時代考証なんかが出てくると俄然興味を覚える。そして帰国子女だけど外国語が話せない中学生が主人公の『居間には今外国人がいます。』(タウン)も、多国籍異文化交流に加えて間違った日本観が横行し主人公のコンプレックスが助長されていくこんがらがった複雑な内容が面白すぎる。作者の作品はどれも含蓄があふれているので、単行本でじっくり読み直すことが出来そうだ。つまり再読、三読が効く、のである。
楯山ヒロコ
王道は万人に容れられるからヒット作につながり易いわけで、スーパーメイドが万能家政婦にちょっと変わったくらいのひねりではホイホイ読み込む必要が無いと思っていた(『椿さん』(ファミリー)、単行本は5巻を数えるというのにこんな紹介で失礼)。超静電気体質が学校中を騒動に巻き込む『100万ボルトの彼女』(くらぶ)、新連載は豪放磊落な女上司が主人公の『主任の一ノ瀬さん』(ホーム)と、王道を外さない作品であれば興味無し。
では何故ここに挙がってきたか。「タイム」誌での不定期連載『あいすべきものものどもへ』(タイム、不定期)の、8月号に載った一話が強烈に印象的だったから。孤独にロックを愛していた少女が、真逆だと思っていた子と遭難した時..。自虐的に青臭いコメディながら、作者の作家性を凄く感じることが出来た。久々に柱のアオり「楯山ワールド登場!」に納得出来た。こういう世界観を持っている作者の作品なら..!と、ようやく他作を読み出した次第。しかし一番読みたい作品は相変わらずの不定期、なんです。何とか単行本化まで続いて欲しい。
碓井尻尾
作者は木更津の出身で..だからヤンキー4コマを描く?だいぶ偏見だが斜っ端なキャラクターが多いのは確かだ。となると過去を装飾しまくったイキり、カマしあるあるがメインのネタなんじゃないかな、今さらそんな殺伐としたものを4コマで読まなくとも..と、読む前から敬遠気味。
剣道部をメインにしながら、部活動からは程遠い学園コメディ『青春甘辛煮』(MOMO)はロングランだが買った時以外は読むことが無かった。ゲスト登場でちょっと面白いなと思っていた元ヤン3人娘が仕切る『(仮)メイド喫茶マンドリル』(WIN)は連載はWEBコミックなので定期読みしづらいし..縁が無いなと思っていたら、娘(妹)を溺愛するあまり父と兄の激しい確執が繰り広げられる『紡木さん家の場合』(ライフ)はファミリー4コマでありながらコメディ色が強くて何だか面白そうだ。タイトルからは探偵もの?と思うけれど、実際はドジな宇宙人との遭遇譚から始まる『星降り村事件ファイル』(ライオリ)と、読んでみればなるほど納得、テンポの良いコメディ作品が多い。見た目で毛嫌いしてはダメ、ということだ。
あ、読んでみたかった「(仮)メイド喫茶マンドリル」、単行本で読んでみれば良かったんじゃないか(既刊2巻)。