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のっけからパトロンらしからぬ話題で恐縮です。古本屋を回っている人にはご理解頂けると思うのは、単行本の最終巻は実に見つけにくいということ。読まなくなったから売りに出すと思えば巻数を追う毎に脱落組が減るのは道理で、ましてコンプリートした場合保存する方に回ってしまうので最終巻はなかなか古本屋に出回らない仕組み。
何より掲載誌でオチを読んでしまって改めて単行本で読み返すのか。いかに良作であっても個々人のベストというのは限られてくるわけで、最終巻がシリーズのトップセールスを記録することは極めて稀なのです。作品の単行本化が日常となった4コマもこの例に漏れず、従って本編が終了しても今度は単行本発売に合わせて追加エピソード(おまけ)にてゲスト登場しPRするという流れが出来てきました。
そんな中。ひらふみ『でり研』(ジャンボ、終了)の最終3巻をようやく発見。今年の春先に完結した作品で、割合早い確保でありましたが。読んでみて気付いたのは、本作終了後に掲載誌に載った、脇役の追加エピソードが収録されていない、ということ。確かに本編の流れ上は主人公の卒業とカップリング成立で完結は何の問題もなく、単行本PRのためだけの完全なるおまけなのでどこに入れたら良いか難しいエピソードではあります。しかしこの脇役の話も、全巻通して読むと出会い→発展→成立の流れが出来ており、まして2P見開きの単なる宣伝ページではなく(たしか)8P14本の通常1回分のボリュームだったので、出来れば単行本に入れて頂きたかったなと。掲載誌の読者だけに向けたPRにしては豪華すぎて惜しい。幻のエピソードになってしまったわけです。
まあそもそも最終巻発売(直後)の掲載で収録出来るはずは無い。そこで思ったのは、デジタルコンテンツを活用しての保存。一迅社の「パレットオンライン」を以前酷評してしまったんですが、オリジナル(書き下ろし)エピソードを公開している点については結構重宝している現状です。荒井チェリー『未確認で進行形』(ぱれっと)の不定期で出されるネットでの書き下ろしは本筋とは関係ない脇役メインの話が多く、作品ファンにとってたまらないお楽しみページとなっています。読み返しも出来るし、後追いでも間に合う辺り、かなり有用なコンテンツだと。単行本に収録されることの無い、本編終了後のPRページは掲載誌に載せるだけではなく(期間限定でも)ネットの単行本情報のページにでも載せてもらいたいなと。いうくらい豪華な企画ものになってきています。
例えばこのところ何度も取り上げている宮原るり『恋愛ラボ』(タイム、スペシャル)は、アニメ公開から延々と応援企画と題して毎号コラボページを取っており、相当数の4コマ漫画家が「恋愛ラボ」を描いている。しかしこれも、掲載誌でのお楽しみで終わってしまっています。先日単行本8.5巻なるファンブックが出て、作者のおまけページはそこそこ収録されたようだがコラボ企画はラインナップを見てもどうやら書き下ろしっぽい。折角のお祭り騒ぎ、残さず記録にしてもらいたいところです。
とはいえネット掲載では手書き原稿の方のものは解像度に難ありか。となると特集号にてまとめ掲載を、とそこまでの分量には達しておらず。やっぱり企画ものはいつの時代もお楽しみページの域を出られないのでありましょうか..。
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UP-
紹介当時は夢枕人しょーだったが近年枕辺しょーまに改名し、しかしゲスト止まりだった作者がこのところ連載づいている。「きららMAX」誌(芳文社)の『アリノス・ワンダーランド』(MAX)を見つけた時にはビジュアル系にねえ、と眇めがちだったものの、程なく「ジャンボ」誌(芳文社)でも『テイクアウト!』(ジャンボ)を見かけるようになり、女の子2人の仲良し生活というのは王道であるし、正直特筆するまでもない相変わらずのぬるま湯設定ながら絵が少し変わった、大ゴマでも映えるようなしっかりとした筆致になってきたと感じた。力が付いてきたということになるか、どちらも順調に本連載にこぎつけている。
このところの単行本ラッシュについていっているのがクール教信者。その直前に初単行本『旦那が何を言っているかわからない件』(一迅社刊)を読んですっかりハマってしまった。ネットで描かれていたいわゆるWEBコミックを書籍化した作品で、手書き感満載の4コマがページ1本!という間隔で130本ほど載って千円、という代物にも関わらず、である。面白ければ薄い同人誌に幾らでも注ぎ込む、その気持ちがようやく分かったような。甘々な内容だが時折出てくる等身大の感覚(少しだけリアル)が深みを与えている。これが4コマ誌での作品で魅かれていたところだと気付いた。特に『おじょじょじょ』(ライフ)は今、佳境をあっさり抜け、その先が描かれており、時代の流れを感じてしまう。タブーでは無いのだがほぼ全ての作品が交際以前の関係性を主題にしているのに、別段挑戦的でなくほんとにあっさりと次のステージに進んでしまった。もしかしたら新時代の4コマと言えるエポックメイクな作品なのかも、知れない。