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異識『あっちこっち』(きらら)のテレビアニメを、全て観ることになりそうである(BSでは今週最終回)。深夜アニメは結局追いきれずに「とりあえず録画」もしないでいるのだが、本作は4コマということでひとまず観出したらきちんと遅れずに1クール付き合えた。決め手はズバリ、声がハマっていたと感じられたから。原作にほぼ忠実な台詞回しにあって、違和感やト書き感(棒読み感)が無かった。これは声優のレベル云々と、いうよりは作品が、キャラクターが、設定がアニメ向きだったからだろう。勿論そういう口調のキャラクターが生み出されること自体が声優の培ってきた長年のすり込み効果に拠るものであろうが。考えてみればコマ数、サイズの制限によって長台詞や説明台詞がタブー視されている4コマはテンポ重視の作りにすればアニメ化ドンハマりである。その好例を見た形。
但しアニメ界においてはトレンドはどうやらオリジナル作品にシフトしつつあるので、今後も続々と4コマ作品がアニメ化される状況は変わらぬもののメガヒットを呼べるかどうかは微妙。
逆にアニメ作品のメディアミックス、コミカライズならぬ4コマ化が勢いに乗っている。元々「4コマなのエース」誌(角川書店)ではアニメ化もされたストーリー作品の作者自身が4コマも描いていたり(天王子キツネ『うぽって!!なの』)、パロディとして4コマでという流れはあったものの、アスキー・メディアワークスからはメディアミックス作品の4コマ化に特化した「電撃4コマ大王こもえ」(電撃大王増刊)がひとまず3ヶ月連続刊行。芳文社でも先月から「魔法少女まどか・マギカ」のアンソロジー本として「まんがタイムきらら・マギカ」を隔月で発刊することに(きらら増刊)。これらは一頃のゲーム4コマがスライドした形に見えるが、特にまど・マギの場合ストーリー展開に融通の利く作りになっているので、単なるパロディから4コマで二次創作ものが読める進化を遂げる可能性がある。今のところおそらく秋口の映画公開辺りまでの限定刊行に終りそうだが、独立採算が見込めればアニメとは違う結論の作品を単行本で読める、なんて化け方をするかも知れない。
いよいよ4コマが次の世代、ストーリー4コマを志向してきた、前兆に見えないだろうか。
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UP-
単行本化をPRするに当って、最近はかつての企画もの、連載陣によるエッセイ4コマを使うようになってきた。売り込み作品にちなんだお題に基づいて、1人1Pで4コマ1本+コメントを寄せるものである。「ファミリー」誌(芳文社)などはまんま企画ものとして毎月載せているし、竹書房でも頻繁に見るようになった。何が良いって、作者の人となりが分かることが最大の魅力である。ルーティンに忙殺されて読み過ごしてしまう漫画家の作品も、これで改めてチェックする場合がある。またエッセイ好きからすれば上手い人には企画ものを提案してもらいたい。惜しくも先月で一旦終了となってしまったが、「ホーム」誌(芳文社)での青沼貴子「腐女子主婦がゆく!」、単行本化して欲しい橘紫夕「ヴェネツィアひよわ紀行」(くらぶ、不定期)etc...ほとんどの4コマ誌を立ち読みで済ませていく中で、企画ものは継続×→読率が高い。読んで為になる、は真理である。そして言ってしまえば、このサービスページは決して単行本に収録されることがない、4コマ誌でしか読めない激レアイラスト付きコメントなのである。(多数の連載を抱える売れっ子)漫画家にとって、付き合いで書かされる1Pは煩わしいだけの何物でも無い。我々読者はそこを汲み取って積極的に4コマ誌を読むべきである?