-TOPIC-
年明けてからも続々とアニメ化作品の話が出てきており、勢い止まらぬ芳文社からは早くも新増刊「まんがタイムきららCarino」が1月27日に創刊予定とのこと。流行りに乗っかって林立させるのは4コマの常道であるが、すでにこのムーブメントは10年以上続いており、「ビジュアル4コマ(萌え4コマ)」は1ジャンルとして漫画界のスタンダードとなった証とも言えよう。何て話は次回に回して、今回は竹書房のアニメ化について。
今月からスタートした、東屋めめ『リコーダーとランドセル』、樹るう『ぽよぽよ観察日記』は共に5分番組である。しかも週イチの。このスタイルは昨年放映の佐野妙『森田さんは無口』から続いているのだが、30分番組に比べてどうも見劣りしてしまう。吹けば飛ぶよな味気なさ、見逃され易さマックスではないかと。ところが何週か、まとめて見ることになるとこの短さが実にいい。まさしく4コマ誌の連載を、単行本で読んでいる感覚になる(DVD化されたものを見たわけではないけれど)。その疾走感は4コマの特性を活かしていると思う。
作画的な問題や演出面では正直、アニメから入ろうが原作の方がいい、と思ってしまう人間だが、このテンポの良さは4コマ作品との相性が抜群であろう。つまり今後5分アニメ=4コマ原作の作品を、というのが鉄板になっていくのではと期待が持てる。
実は30分アニメについても、4コマ独特の展開を表現すべくアイキャッチの多用という工夫がなされている。確かに4コマの読み方に近い感覚を味わえるのだが、やはり30分の尺となると4コマ誌での1回分では内容が足りず、どうしてもアニメ独自の内容が加わってしまう。1回毎に話が変わる、エピソード積み上げ型の持つ難点である。片や5分アニメでは尺が足りず、どうしても傑作選的な内容となる。この辺りジレンマではあるが、切り口を変えてテレビアニメに乗り込んできたことは大いに評価したい。5分アニメからの一大ヒット、過去に例が無いでもないから是非。
-PICK
UP-
テンポの良さが如実に活きるのはギャグ作品であろう。安堂友子『天子さまが来る!』(タイム)など、キャラクターも揃っているし、パターンも豊富でアニメ化出来ると思うのだが。萌えが、ないか..。
安堂友子は『ぎんぶら』(タイオリ)も開始以来ずっと読んでいて、飽きずに笑えている。宇宙船に乗って様々な星を探索する、SFギャグというにはあまりにベタすぎる珍妙な宇宙人とのドタバタ喜劇。その安定感はベテランお笑い芸人に匹敵すると思うのだが、単行本化は..。
ビジュアル系隆盛は大いに結構だが、アオリを受けないよう、従来のタイプも変わらぬ人気と謳っておかなければ。それぞれ高望みはやめて、共生しましょう。
-REVIEW-
下村トモヒロ
前号に引き続き、単行本化でプッシュされた作品を乗せられるがままに読み出した一人。前号紹介しても良かったのだが、コメディなのかギャグなのか、括りが判然としなくてちょっと置いておいた。しかし読み続けていて、どちらでも構わない面白さに気付いたので満を持してご紹介。
『シュガービーチ』(スペシャル)はビーチバレー部を舞台にした部活(学園)もので、ゆるキャラのハイテンションコメディと言えば昨今の主流であり、特筆するまでも無い。本作はちょっと突き抜けてギャグ作品に近いものとなっている。中でお気に入りは超お金持ちのお嬢様で、庶民的なものへの無知さとその素晴らしさを知った時の手放しの喜びようが桁違いで常識を外れる。その落差がたまらなく良い。緊張と緩和が笑いを生むことは周知の通り、このキャラクターにはそれが備わっている。
作者はデビューこそ4コマだったが、しばらくストーリー漫画に専念していたようだ。戻ってきたことに喜び半面、デビュー当時なぜ評価出来なかったか少々悔やまれる。
安西理晃
対して、たまたま久しぶりに買った「まんがライフMOMO」誌(竹書房)にて、『お姉ちゃんが来た』(ライフ、MOMO)の連載が始まったので、いわば第一話を読んだから読み始めたというのが作者。実は「ライフ」誌での連載が先で、好評を得ての連載誌増から読み出したわけなのだが。この機を逃していたらおそらく未だ読んでいないであろう。失礼な言い方に聞こえるかも知れないが、このタイミングはかなり重要で、だからこそ立ち読みで済んでしまう場合でも、不定期にでも購入はしておいた方が良い(←自分へ)。
連れ子同士の再婚で姉が出来た主人公。この姉がブラコンに憧れていて念願叶ったものだから病的なまでに愛情をかけまくる。但し病的なと言っても天真爛漫なもので、良質のコメディに仕上がっている。この関係性は進展があれば魅力が半減する。つまりはかつての王道パターンを踏襲する作品と言える。
作者はY−1グランプリ出身。大賞でなくてもきっちり結果を出している人材はいるのだ。