-TOPIC-
11月売りの隔月刊誌(増刊)「まんがタイムきららミラク」誌(芳文社)Vol.5において、来年1月売りの3月号(Vol.6)より独立月刊化の告知がされたのは先に述べたように既定路線である。但し今号では連載陣の半数近くが終了となった。お試し期間を経て本格始動に伴って大幅なフルイが掛けられた感じだが、今年に関して言えば「まんがタイムLovely」や他社の「パレットLite」(一迅社)休刊など、漫画家にとって厳しい結果が突き付きられた状況が多々みられる。つまりは近年の青田買いが一段落して、買い手市場に移った年であると総括出来そうだ。さらに「ミラク」誌の、残った連載陣を眺める限りでは、ビジュアル系での旦べえ(購買層)は若年層であるとターゲットを見極めたらしく、トレンドであるギャルゲライクなハーレム設定の作品が並ぶ。問題提起型の作品はソッポを向かれたようで、そこを簡単に切り捨てるようではFreeStyle4コマと銘打った看板は見せかけだろうと、早々に取り上げた作品が終了した腹いせ交じりに断じておく(苦笑)。人気至上主義はメジャーに成った宿命とも言えるから喜ばしい事態でもある。
-PICK
UP-
続きが読みたいと思えるのはストーリー4コマの第一条件。普通の4コマなら単に毎月読みたい、となる。例えばこいずみまり『家政婦のエツ子さん』(momo)は後者であり、『横浜物語』(ホーム)は次の展開が気になるので前者と言える。しかしヒキのある内容でなくとも続きが気になる作品というのがあって、ストーリー4コマと呼ぶべきかどうか、ちょっと迷ってしまう。ひらふみ『デリ研』(ジャンボ)がそれである。大学のサークルが舞台の学園コメディのはずが、どうも当初から、主人公の人間関係が濃すぎる。先月号あたりで唐突に思ったのは、本作は主人公のヰタ・セクスアリスを描こうとしているのではないかということ。様々な女性から恋の手ほどきを受けていると考えると、結果誰とどうなるのかが気になって仕方ない。展開自体は1号完結のエピソード積み上げ型なので、次の号はまるきり違う内容となっていくのだが、あるいはそれが伏線になるかも知れず、今のところストーリー4コマに匹敵する中毒性を持っている。ドラマ(ティック)4コマとか?新たなジャンル(括り)になっていくのかも知れない。
-REVIEW-
単行本化が当たり前になって、しかもプッシュされていると否が応でも目に付いてしまう。近年は刊行に合わせて他誌へのゲスト登場で幅広くPRされるので、ついつい読んで、まんまとハマってしまうことが多くなった。出版社サイドとしては目論見通り、こちらも読まず嫌いが解消されるのでウィンウィンの関係性である。
ユキヲ 『まりかちゃん乙』(ホーム)
高飛車なお嬢様キャラが主人公の学園ものとくれば周りが振り回されるコメディが定番。本作もご多分に漏れぬ王道..ではなく、かなりひねってある。この主人公が本来隠し通すはずの寂しがりな素顔をさらけ出しまくる。毒舌を交えながら卑屈に媚びる様は異様を通り越して滑稽となる。そんな情緒不安定さを生温かく見守ってくれる友人たち。小説、文章ならば(カッコ)書きで挿入する隠し味的な使い方であろう部分を4コマでメインのオチに据える。この発想の飛躍は長年同人作家として王道をいじくり回してきた経験が産んだ産物であろう。作者はイラストも手掛ける典型的なビジュアル系漫画家だが一般誌で連載を勝ち取った(過去に試験作あり)。ビジュアル系以外不可の壁を持つきらら系列に比べて、よっぽどFreeStyleな連載陣を抱えていると思う。