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4コマ作品のアニメ化は、今年が最初のピークを迎えたと言って良いのではなかろうか。3月毎に改編とサイクルの早い深夜枠ながら今年は続々と4コマ作品が採用されており、すでに来年スタートの番組まで決定している。
コンビニやメーカーとのタイアップ企画も反響を呼び、現在4コマは確実に浸透してきていると、喜んで差し支え無いだろう。
いずれの作品も、数年来人気実力共に合い備えた良作であることも注目に値する。そこをアニメ化、メディアミックス展開するというのだから原作ファンは堂々と胸を張って勧めて良い。つまり現在4コマは、トレンドを踏まえクオリティも高い、ハイレベルな作品の供給源となっているのだ。
ただし繚乱乱立となってくると、恐いのは質の低下による共倒れ。来春アニメ化の東屋めめ『リコーダーとランドセル』(くらオリ、ライオリ)が一つ、目安となってくる。線の細い作画がどう表現されるか。これによって以降クセのある絵柄のアニメ化が是か非か、見えてくると思う。著しく印象の違うものに仕上がった場合、早くも4コマのアニメ化の限界が見えてしまう。声や演出に違和感を感じるのは原作から作品に入った場合の常であり、大勢に影響は無いが、キャラクターが並の描かれ方になれば作品の出来云々以前に全くの別物となってしまう。
これは4コマに限ったことでは無いが、コマサイズに制限がある特殊な漫画であるから作画の問題は必ずクリアすべき関門である。越えれば、目の前は未開拓の宝の山だ。
-PICK
UP-
佐藤両々の連載作品が「全て」面白すぎる。4コマにあってこれは意外と珍しいことではなかろうか。連載作品の数が売れっ子のバロメーターなだけでなく、引く手数多の作家は実力も兼ね備えているわけだから積極的に読み漁るべきなのだが、あまり多いと正直追い切れないものである。あるいは、やっぱり中で自分の興味が湧かないジャンルだったり、初回を読めずに何となく手を付けずにいる..ファンであっても読まずに済んでしまう、これは片手を超える作品を抱えるのが珍しくない業界特有の贅沢なセレクトである。真のファンではないと、他ならぬかつての自分なら責めたであろうが..。
作者もつい先日まで、そんな読み方であった。それが例のまとめて読める「特集号」で『わさんぼん〜和菓子屋顛末記〜』(タイム)を読んだら、その後も掲載誌でズルズルと。いわゆるルポもので興味無かったのに、やっぱりキャラクターが良い。同じく初回を読まずに流していた『崖っぷち天使マジカルハンナちゃん』(MOMO)という魔女っ子ものコメディも、読んだら結構ぶっ飛んだ設定で内容もかなり練られている。さらに、今月売りの「まんがタウン」(双葉社)で始まった、広島お好み焼き屋が舞台の『あつあつふーふー』も、ラストイメチェンを迫られて和服で登場した主人公に一見鍾情。
通読している『そこぬけRPG』(タイオリ)、『しょっぴんブギ』(ライオリ)と、気が付けば4コマ誌の連載5本を全て追うことになっている。繰り返すがこれはかなり稀なことである。今の作者は読めば必ず惹き込む力を持っている。
今さら途中から読んでも、何て考えなくて良い。単行本が出ている&間違いなく出るから遡って読了することが出来る。実にいい時代になった。
-REVIEW-
パインパ
隔月刊「きららミラク」誌(芳文社)も先月売りでvol.4。今号は何故か新キャラクター登場の作品が多く、どうも物語の核心を握るキーパーソンを登場させた感じ。ストーリー4コマとしてこの流れは当然であるし、後々唐突に出てくるより数段マシな展開なのだが、ちょっと速すぎるキライもある。もう少し、初期メンバーの関係性や、物語の方向性を見せてもらいたい気がする。1号読み損ねているからそう思うだけかも知れないが..。
そんな中。引きこもりがちだった男女3人がオフ会で外に出て、迷走しながらも直接交流を重ねていく『るーてぃんルーティン』の面白さが際立ってきた。コミュニケーション不全の改善というテーマは他人事ではなく、ネットを介してのやり取りで今やここまでするのか、出来るのかと驚かされる展開となっている。波風の立つような、物議を醸すような生々しさは無いものの、本当は奥手な素顔をお互いさらけ出すことで微妙に変化していく関係がなかなかリアルだ。しばらくはこの3人だけのやり取りを見ていたい。
作者はイラストレーターでネット上にて活発に活動しており、まさに現代社会のフィールドノートと呼べる作品を今、手掛けていることになる。