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嬉しいニュースが立て続け。「まんがタイムラブリー」誌(芳文社)に連載中の、トノ・アンナ『ヒーロー警報!』が3年4年?目でようやく単行本化されることに。連載順が(=人気順とすれば)後ろの方が定位置だったから、そのうちひっそりと終了を迎えることを怖れていたが、このところは長期連載の甲斐が出てきた。読者の声ありきは結構ながら勝算が(採算が)見込めて始めてまとめられるのは4コマの欠点と常々言っているけれど、中で顕著だった芳文社で、ボーダーラインがいよいよ下がってきたような、失礼ながら光が見えた本作の朗報である。
前回紹介した、安堂友子『インスタントエンジェル 天子様が来る!』(タイム、ホーム)も近々新装版が出る模様。こちらは以前に単行本が1巻だけ出ているが、売れ行きが芳しくなかったか続刊されていなかった。しかしWEB企画等で注目度が上がったり、同族キャラクターが増えたのが好評を呼んだかでプレミアム版と銘打ちおそらく近年のエピソードから抜粋されてまとめられると思われる。
抜粋というところが少々複雑なところで、終了に伴って単行本化されることになった、ナントカ『子うさぎ月暦』(ジャンボ、終了)も『ヒツジの執事』と改題されてより抜きされた一部が収録されるそうだ。本作などはそもそも設定、キャラクターが前作の『新釈ファンタジー絵巻』(芳文社刊)を踏襲しており、スピンオフで発表されたショート作が「ミニっき えにっき」(ラブリー、終了)と題し連載となり、さらにそこに登場する使用人たちの視点に立った本作が、大好評だった前作の終了後に即スタートするという..理想的な成功例だったはず。しかし反響が確信にまで至らなかったのか、物心ついてからの主のエピソードは残されず仕舞に。
長期連載の労を功して単行本を出そうという姿勢にまでは成ったものの、まだまだ消極的な刊行状況である。もちろん完本として一挙に数冊発売など、無謀に過ぎないことは承知している。だからこそ、2年連載→単行本化が早く既定路線となって欲しいと思うのだが。
-REVIEW-
水谷 ゆたか
昨年春ころゲストで数号登場して、絵柄と内容がとても良く合っているなとチェックだけはしていたのだが、以来見かけなかった。一年ほどたった年末に再び同じ作品で登場し、ゲストからすぐさま本連載となったから確約済みだったのだろう。作者はイラストレーターとしてゲーム誌等で活動しながら4コマでも注目され、あっさりと4コマ専門誌でもデビューとなった。『ひなたフェードイン!』(ファミリー)は主人公の生活を大学、結婚式場のバイト(照明係)、一人暮らしの3つの視点から描いた青春譜とでも言うべきもの。近年の主流は1回1エピソード(シチュエーション)を軸に連関するタイプであるが、本作は言った通り3つの舞台を持っており、何の脈絡も無く入れ替わるので物珍しさを感じたのが注目した動機。しかしそれはもしかしたらフレッシャー故の稚拙さ、と言えるかも知れない。HPでは高校時代の習作まで載せてあるが、元々1ネタ完結タイプの描き手であったらしい。驚くことにすでに現在の作風は完成されている。早熟な天才肌と手放しで誉めたいところだが、これが近年のストーリー性4コマに若干引き吊られている感がある。2〜3本バイト話でつながっているかと思えばラストは全く違う、一人暮らしの単発ネタだったり、そこでも唐突に(同居していないかぎり居合わせるはずのない)友人が出てきたり。つまり4コマ(×α)にまとめる作業にまだ慣れていないようなのだ。勿論そんな注文を凌駕する、ネタの面白さや癒し満載の雰囲気を持ち合わせている作品であるから、期待値込みで紹介している次第。