新・現在4コマ漫画レビュー 第11回

(初出:第154号 10.2.20)


-TOPIC-
今月売りの「まんがタウン」誌(双葉社)3月号で、臼井儀人の手による「クレヨンしんちゃん」が最終回を迎えた。続編の製作はあきらめていないようだが、ひとまず次号(から?)の巻頭カラーには樹るう『そんな2人のMyホーム』が座ることに。本作はすでに単行本を重ねているロングラン作品だが、恋愛もの4コマで珍しく「告白後」も続いており、ようやく主人公のお付き合いが始まったばかりで今まさに脂がのっている。そしてラインナップを改めて精査してみると、同業他社の売れっこは勿論、中堅大御所、王道から新機軸まで揃いに揃っていることに気付く。
個人的には「クレしん」に関心なく読んでいたけれど、目当ての購買層というのはかなり多かったのだろう。だがしかし、頼らずとも4コマ誌として堂々と君臨出来るブランドと、すでに成っている。前回書いた本誌存続に関わるような心配は杞憂であろう。失礼した。

-PICK UP-
今年もまた、年末〜年度末にかけて作品の終了が相次いでいる。柱の隅に唐突に「今回で終了ですありがとう云々」とあって驚くことが年々少なくなり、今年は辻灯子『ただいま勉強中』(ラブリー、ジャンボ、終了)などほんとに数えるほどしか見かけなかった。というのも恋愛もの4コマが益々増えていて、ある程度のストーリー性があり、最終回というより最終章といった、ラストは数号続けてのエピソードでフィナーレを飾られる作品が多くなってきたからだ。告知前に自ずと察せられるわけである。例えば今月売りの「まんがタイムジャンボ」誌(芳文社)3月号では、師走冬子『あおいちゃんとヤマトくん』、藤凪かおる『Boy'sたいむ』がいよいよ..と考えられる展開となっている。
寂しさは勿論あるものの、4年5年と続いて、単行本も出てストーリーも大団円で終了となる作品が増えてきたのは嬉しい限り。欲を言えばそこを越えて、さらに二転三転するような本格的なストーリー4コマが続々登場することを期待したい。

-REVIEW-
安堂 友子
芳文社のHPを、当然よく覗くのだが作者の作品のオリジナルページ(コンテンツ)があり、そこでは読者(閲覧者)からのメールによる「お願い事」を元ネタとして1本の4コマが週2ペースで発表されている。それを眺めて面白く、ついに誌面の本作品を読むことになった。HPの、PRとしての機能が果たされたことになろうか。
その、『インスタントエンジェル 天子様が来る!』(タイム、ホーム)は身近な食品に潜む様々な精(フェアリーズ)が、現れては人々の願い事を叶えてくれるのだが、それぞれに独自の叶え方があり、内容をはき違えたり、中途半端だったりして思うようにいかない辺りをオチにしたアイデア満載のギャグ作品。毎度欲望とキャラクターの組み合わせの妙には感心する。どういう経歴かは定かでないのだが、センスがある、と言い切れる力量である。
他に『開運貴婦人 マダム・パープル』(タイオリ)もロングラン連載中。

木村 和昭
同じく掲載誌以外からの導入で読み始めた作者をご紹介。こちらは何と、新聞の通販広告の販促4コマである。内容は単に「簡単便利!」をアピールした他愛もないもので(失礼)、お世辞にもこれを見て読みたくなった、わけではないのだが。古き良き時代には、新聞で連載というのが4コマ漫画家の目指す高みであり、かなりズレたものの、新聞に、定期的に作品が掲載されているという作者に関心を抱いたのである。
気が付けば、和服美人の奥様が夫を支える『ニッポンのワカ奥さま』(タイム)は単行本化され、おデブの姑と粗忽な嫁のドタバタファミリーもの『おかあさんがいっしょ』(ホーム、ファミリー)も数年前のバックナンバーからちゃんと載っている。絵柄や内容が一昔前のテイストで食わず嫌いをしていたようだが、読んでみればロングランに素直に納得。
以前にも書いたがストーリー性の薄い作品は近年衰退気味であるものの、決して読者が離れているのではないから面白ければ確実に残っているのである。


「過去原稿」ページへ戻る

第12回を読む