ようやく読み出しました。
前回100人のリストアップに密かに洩れていた方々です。理由はそれぞれに述べますが、基本的には読んでいたものの今一つ決め手に欠けていたというところ(あくまで個人的な思い込みなのでご笑覧下さい)。しかしすでにあれから3年、気が付けば愛読しているという事で、改めて紹介致します。
真右衛門
アフタヌーン誌での『G組のG』は、ロングラン連載なのだがそれが個人的に気に入っていなかった作品。つまりギャグ作品で、ノリが中川いさみに被っていたのだ(と、思って読み返してみたのだが、どうも単なる絵柄の似て蝶だったようデス)。90年代、スピリッツ3巨頭の影響は強く、ギャグ作品は往々にして粗悪コピーのようなものが見受けられた。幸いにしてほとんどが淘汰され、今残っている方々は何らかの形でオリジナリティを見出せたものと思われる。さて、作者の作品は、おそらくフリークであろう「格闘」ジャンルのギャグでようやく大成された。少女めもるが主人公の学園もの『めもるは何もメモらない』(ライオリ)のサブキャラ、特に兄で格闘家の桃田選手が主人公の『KOマウンテン!!』(MOMO)は、ノープランで最強トーナメントを開催させる(柱コメントより)など、それぞれのキャラが完全に立っており、対戦によって起こる笑い、を独自のものとした感がある。動物もの『鈴木さんのたてがみ』(くらぶ)は、弱肉強食の関係をいじくり回して笑いに持っていくのだが、この分かりやすいキャラクター相関図からコツを掴んだのだろう。そして格闘に関するマニアックな笑い、を取り込んだことによりこうして過去のわだかまりを捨て読者となった者もいるのである(エラソウ)。
神奈川のりこ
キレイなセレブ(風)奥様と、平凡な旦那のカップリングといういかにもな設定が正直退屈だった『セレブリティ麗子さん』(タンオリ)だが、時折見せる小市民的なオチにクスリとさせられ、気付いたら特別編(二人の幼少時代を描いたもの)までチェックする読者に。と言って、「別冊花とゆめ」誌での『電脳女子高生P子』や「本当にあった愉快な話」誌の『夫婦の時間です』は雑誌自体を読んでいないのだが..。余談になるが「本当にあった〜」と題される投稿系4コマ誌は各出版社から出されていて、「本愉」「本笑」「本ここ」「本H」と略称も被っていると思っていたら「本当にあったここだけの話」は「本当にあった(生)ここだけの話」というのが正式名称で、「丸生」と略すそうな。へぇ..。ちなみにこの投稿系は、ぶんか社の主流であった成年向け4コマを凌駕してしまい、「みこすり半劇場」誌は現在本誌のみ継続となっているようだ(そのせいか?「みこ半」系からのエントリーは今回、無い..)。閑話休題。「まんがタイム」誌での『屋台の源さん』もつまり前述の理由により読み飛ばす事の多い作品。しかししかし、美しさ故高嶺の花とされている『白鳥課長の素敵な生活』(くらオリ)ならぬ地味だけど充実した生活(だから素敵、か)や、派生作品『2年1組しらとりさよこ』(くらぶ)での将来を暗示するおマセぶりには分かっていても笑ってしまうのです。
藤凪かおる
ゲーム作品に執筆あり。で、当初はファンタジーものを連載していたのだが(「VS
VAMPIRE」(キャラット、終了))今イチ中途半端な印象しかなかった。ハマったゲームのストーリーをベースに作り上げることの出来るファンジンと違い、一から作らなければならないオリジナル(4コマ)ファンタジーは作風に合わないと思う。勿論、挑戦はして頂きたいところだが。コメディセンスがあり、それを素直に全面に出した作品で一気に人気を獲得し、例に漏れず読み漁るようになった。故あって男子寮に住む事になった女の子が男と偽り通す『Boy`sたいむ』(ジャンボ)、男性恐怖症が級友の荒療治によって徐々に解消されつつある『ひめクラス』(キャラット)といった各々キャラクターの優が際立つコメディ作品が代表作になる。両親不在の家庭の生活を描いた『みつ・たまご』(ぎゅっと!)は掲載誌が出ないので読めない状態だが似た設定(但しこちらは3男1女)の『パニクリぐらし』(ラブリー)は長男と同僚の恋愛が絡んでドラマ仕立ての展開に。最近作の『さくら満開!あかり組』(MOMO)も気になる転校生が軸になっている。
恋愛要素を加味した4コマ作品は、ストーリー4コマの登場により、進まない純愛から少しずつ進展する内容へとシフトしつつある。一応、キャラクター重視で永遠に距離の縮まらない恋愛を描くというのも4コマでは王道であり、捨てがたい魅力を持っているのだと記しておく。10年、20年を視野に入れるも良し、単行本1冊分でまとめあげるも良しなのだがとにかく計算して進めていって欲しい。(読者、作者共)飽きたから止めと言った4コマの悪しき風習は無くした方が良い。
さておき。作者は今、同人活動を停止して、執筆に励んでいるご様子。是非この経験を活かして、末永く活躍されてもらいたい。
湖西晶
艶笑ものと言っても一捻りあってこそ粋であって、洒落となる。語呂合わせだけの大量生産では駄洒落であり、中学生の笑いでしかない。辞書で性関連の単語を引いては悶々としている年令ではないのだ。ということで、妄想による鼻血が新症例とまでなってしまった敏感な聖少女まりあが主人公の『かみさまのいうとおり!!』(きらら、キャラット)はあざと過ぎと敬遠していた。鄙びた温泉宿の新婚女将が主人公の『お湯屋へようこそ』(ラブリー、終了)は姑の片双生児割れが大盛況のホテル経営者でそのやり取りが話のメインとなり、残念ながら大酒飲みという設定が特色のはずだった主人公はラストで何とか面目を保っただけ。かように4コマ作家としてビジュアル先行気味と思っていた中、ロングランかつポスト海藍で「きらら」誌の看板を張っている「かみさまの〜」を注目するようになったのは、異色の病弱キャラなむの登場が大きい。(禁忌である)ネギを食した途端血色が良くなったり、どうも生活環境に難があるだけのような病弱っぷりではあるのだが、自分がひ弱な分、他人の痛みも感じ取れるという心優しい性格で、友人を感涙させる事多々。健康になった時は必ず常人の域を越える加速度で回復を見せ友人を総突っ込み状態に。ポソリとつぶやく合いの手ぶりも効果的で、いいスパイスとなっている。という事で、以降新キャラがなかなか育ってこないのも彼女の成功を裏付けている(ホメすぎ?)。
ただ一点だけが引っ掛かって見続ける事になる作品というのが、4コマに限らず、あって、それはそれで大きな強みであると思われる。他(社)誌での活躍も期待したいところ。
那州雪絵
少女漫画で一時代を築き、近年は何故かボーイズ系で執筆されている作者の、4コマデビュー作は新境地?ほのぼのファミリー4コマ。で、ようやく単行本化もされた。『どーする!?わんこ』(ライフ)はしかし、ファンであるにも関わらず長らく読み捨ての作品であった。エッセイ漫画好きにしては珍しい事なのだが、作者に関してはストーリー作品が大好きで、後書き漫画や柱コメント(花ゆめは単行本にも柱スペースがある)は二の次であったのだ。「イリュージョン・フード・マスター」以来、さすがにボーイズ系は手が出ず、ファンタジー作品復活を待っていた身にとってこの巡り巡ってやって来たチワワ犬との平凡な日常活写は望むものではなかったのである。
しかし..しかし1/17に発売されたばかりの単行本1巻が現在手元にあるわけで..。動物と子供を主人公にした作品に不人気無しとは良く言ったもの。その辺りは手堅いと言えるのだが、やっぱり上手いよなあ(ネタの選び方とか、オチの付け方とか..)。ペット系はハムスターブームと共に過ぎ去ったかと思われたのだが(私見)、現在は犬猫を中心とした実話飼育もの(捏造語デス)が人気を呼んでいる。この型は昔から名作があるけれど、ここまで色々な漫画家のペットネタを読める状況になるとは思わなかった。無論、大歓迎のクチである。