〆の一皿でピタリ賞              麻王陛下

(初出:第323号 24.5.20)


CMにて某A〇Aが開業記念で都内1泊7千円。言うて予約サイトを覗けばとっくに埋まっている。これはもう何度も経験済みだから鼻で笑うところ今回は予約画面を見てニヤリ。そこが取れた笑いでは無く、「都区外」でほぼ同額で泊まれる宿が取れているから。そりゃ勿論都内の方が方々にアクセスは良い。だからお値段も今や一泊で5桁超え..。助成無い中での物価高、需要高は避けようが無い。底値も経験して、居心地は悪くなかったのだが近年殺〇事件も起きているスパイシーな土地で行きつけにするにはちょっと..。だから当分は都内を諦め周縁を目的地にして漁っているとチェーン店がチェーン店らしい相場で迎えてくれる。
某Aはペイと大浴場で片手まで下がる(勘定)、こちらは大浴場となんちゃって朝食が付いて同等、そして喫煙ルーム、プライスレス。着いてみれば部屋が格上げでベットが2つの超ツ豪イ華ン版に。前週は近場1泊片手でいつもと違うところを試してみたが、郊外だから部屋そのものは狭く無いものの..机とテレビの配置、収納スペースのバランスに寛ぎを感じられず負け。手詰まり気味の中、活路が見い出せた!

10余年無遅刻無欠勤となれば傍から見たら「社畜」ながらストレスを感じていないのは時間に追われた移動でないから。今回は都区外ということで久しぶりに時刻表とにらめっこ。焦る必要は無いのだが万事押し気味の展開で負担を感じまくった。
新宿の、信号待ち1回で早くもくじける。どこに、立っていたんだっけ?先頭?最後尾?
到着が30分遅れで、それでもまだギリ発車前ながらダッシュする若さは無いと観念しているから集団の外で待つ。外国人の2人連れが後ろに来ただけで尻のサイフが気になりだす。電車の中でも不安が消えぬ。これは治安云々ではなく、パーソナルスペースの問題。567禍で人混みが慣れなくなっている。
この路線もかつて良く使っていた。途中までは「ハイハイ、このラッシュが嫌で帰りたくなくてよく揉めたなあ(つまり飲んでいこうという駄学生)」と懐かしんでいたが、特急で各駅降りる人は多いのに乗ってくる人も多い。皆どこに帰るのよ..終点まで2時間掛からずならいずれも通勤圏ということか。もうこの生活に戻りたくは無いな..。
翌日の出先では徒歩15分の場所にて帰りは時間2本の間隔。いつ帰ってもいい身分ながら逃せば30分後というのが頭から拭えず、道中ついつい早足に。結果10分前に着いてしまう。ホームで棒立ち。
次の日佳那氏との待ち合わせ場所まで1時間の移動距離だから、13時集合ならチェックアウトから3時間後、つまり2時間潰さねばならぬ。ホテルに荷物を預けてロッカー代をケチったものの、乗り場から10分の距離で喫煙所での一服が11時半。11時50分発、ここから荷物を取って戻るのに往復20分。まあ焦らずとも。これが途中で買った土産をバッグに押し込むのに四苦八苦。何分掛かった?大丈夫、間に合う間に合う。乗り継ぎでトラブル待ちなどあったものの気持ち早い便での出発が功を奏し、無事待ち合わせ時間にドンピシャ着。「そのまま待ってて」の指示あるも車が現れたのは13時、36分..。優雅にお茶しても間に合ったんぢゃん..。
帰り新幹線、券売機で到着時間まで分かる、進化万歳!
35分に乗ると20分に着いて40分発、と見えたから40分の始発便で行こうかと思ったが空いていて座れたので指示通り。ところが遅延の案内も無いのに到着は30分、過ぎるぞ。いずれ乗り換えありで買った切符だから間に合わないことはあるまい..それでもホームに直行すればやっぱり発車は40分ですでに到着済み。指定号車を探すも先頭グリーンでその先が無い(と見えた)。慌てて逆へ。ここでドアが開く。最後尾まで行くも券の号車が無い。動悸が激しくなる。到着時間が違うんじゃね?というところから生まれた不審からプリントミスを疑う。1桁目の号車なんじゃね?と。
もう時間なく飛び乗ると席は空いていたのでひとまず座る。さて、便は間違いないから泥酔いはしておらぬ。停車駅の上野、大宮で乗って来なければ..とソワソワ。上野では乗って来ず。しかしその後のアナウンスで「グリーン車から○○号車へは通り抜け出来ません〜〜」と切符の号車が案内され乗り間違い確定。どうしようかあれこれシミュレートしていたら車掌さんが現れてくれて「あれお客さん..」「ごめんなさい!号車辿り着けなくて飛び乗ったもんですから!」と見え見えの言い訳。残念ながら「大宮で乗られますので..」としかし慣れた様子で別の席に移らせてもらい事無きを得る。
一連のやり取りはかつて「シロウトが..」と鼻で笑っていたお上りさん、爺ちゃん婆ちゃんのソレ。もうもうね、非効率であっても早くに出て調べもせず来た電車に飛び乗って到着先で待つなら待つ。この方がよっぽど精神衛生上よろしい。日々の通勤で実証済み。

近年の裏テーマというか、困った時の動機付けとして「思い出の地巡り」というのを訪問先の決め手としている。
某私鉄駅は居酒屋の宝庫として知られていることを酒漫画やロケ番組で知って意外に思う。だって当時は「飲み屋が無い!」と散々ボヤいていたから。ただしニュアンスがちょっと違う。我々は「深夜営業しているチェーン店が無い!」と訴えていたのだから。暖簾の店を気軽にくぐれる歳でも身分でも無かったのだ。それでも煤けた小さい焼肉屋が絶品なのを住人は知っていて、何度か訪れた。まだ食べ放題のチェーン店は数えるほどの時代。安心会計で言えば牛△ぐらいの頃だから、少なからず個人経営の店に行ったことはある。
今回はおかげさまで(残念ながら?)抑えの候補地を訪れずに旅回れたが、丁度行こうかと思っていた土地を帰宅直後にテレビでやっていて、行ったつもりでテンション上がる。年季の入った居酒屋を訪れ..ん?あそこで店ったら1軒しか無かったはず。ということは多分一度だけ訪れたことのあるあそこか!飲み足りずに帰ってまだ開いてたから入ってみて、ご陽気に飲らせてもらったがやっぱり常連さんの強い店、学生身分で通うことは無かった。ここまで掘り返せたが一見さんでは感慨は薄い。
また。足繁く通ったPチ屋を巡るドンピシャ企画も演者が一世代上だから店がラインナップがちょっと違う。そこじゃなく手前の隣の、実際巡った10年前はまだあって一服だけさせてもらった。5年前(567前)にはもう無くなっていて、跡地でしばし佇み感慨に耽った。
ハンバーグ店もここじゃなくあっちにあったのは?まだあるの?と、ロケ番組で馴染み深い場所が取り上げられても結局自分の経験に勝るものは無い。ということで来週はかつて住んでいた場所で古馬がビジホ泊!いやしかし仕事が..録画の手はすでに使えないから「酸っぱいブドウ」を唱えつつ泣く泣くスルー。いいさ、いつか自分の足で。


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