重力を感知せぬ

(初出:第304号 22.10.20)


ついにカウントダウンが始まった。某日、パソコンの画面上に現行OSのサポート終了が告知される。
もう10年(20年!?)来決まった使い方しかしていなくて、当然現状で全く不満が無いのに買い替えを強要される。常の憤りは今回に限っては無い。すでに16年に一度、買い替えを覚悟した経緯があるから(第234号)。買った当時のOSまで戻して何とか危機を脱し、あれから6年。当時で「2年程度」とあるから8年持った。4倍も寿命が伸びたから文句は無い。それより今回は何とかしてXP機からは卒業しないとパソコン3台持ちとなるから現役引退の前に隠居準備を行わないと。この辺りは実際に買い替えた顛末と共に記録しておくつもり。

HPも10年来変わらぬ仕様で運営していて不満が無いのだが、周囲の環境は目まぐるしく変容していく。300号を目前に告知を受けたのは「掲示板サービス」の終了。無料だから利用者が少なくなればスポンサーも付かず、か。こちらも掲示板とは名ばかりで発行、公開の告知をしておくだけの利用。交流の場というよりは心電図が動いている記録を残しておく(まだやってます、といった)感覚だったから、引き継ぎ先としてブログページを紹介されているのに手が止まる。それなら普段使いのSNSで十分じゃない。一応発行人としてのアカウントで持っているわけだし。しかし使っていないからSD公開の告知をし始めても違和感が無いとはいえ押し出しが強すぎるような抵抗感。たまたまたどり着いた先で楽しめるのが最上であって、読んで読んで、どうだった?というアピールはしたくない。SNSだとどうしても..個々の交流ありきのようで、一旦掲示板機能はストップすることに。
とはいえ方々に挨拶しないというのもなあ..何となくモヤモヤしていたところ、そう言えば「編集後記」があるじゃないかと思い至る。毎回「後記」と被らないような時候の挨拶を考えるの、苦労していたのだ(ほぼ定型文でしたが..)。この「編集後記」、現状は各種案内ページ(リードミー)の「並々ならぬ興味を持たれた方」向けのコンテンツとしてだいぶ奥まった場所にある。読まれる可能性が低すぎる。という事で、今号から「最新号」ページからも読めるようにしました。近況シリーズと何ら変わらない内容ではありますが、現状報告も読んでもらえる事になれば掲示板の代わりになるはず。
(交流という点ではまだメールという手を残しております)

こんな重い腰が上がったのはやはり喫緊の課題に直面したからだった。
車内をタバコ臭で満たさない!これがきっかけで加熱式タバコを購入したのは5年ほど前になるか。すぐに「どうせ俺しか乗らないし」「下取りにも出せないオンボロだし」と居直ってタバコに火を付けだし、そうなると加熱式タバコ、使う場面も無く。それでも「たまには」と旅先に持って行ったり、集合飲み(もはや懐かしい..)で使ってみたり。2年ほどしたら充電がどんどん劣化していって、ついに何度充電しても赤ランプのままになって使えなくなったので文字通り放り投げていた。結構高価かった記憶と、当時は競合も無くP社一択だったのだが今や数社の数タイプがコンビニで常に手に入る。そして年々厳しくなる紙巻きタバコに対する世間の目。もはや喫煙所にあっても加熱式を吸っている若者の横で煙をくゆらせているのが憚られるような疎外感。だから「いつかは..」買い直さないとと思いつつ、「まだいいや」とやり過ごしていた。
今夏。自宅の改装工事が入っていて、チョコチョコベランダに業者が出入りするようになり、日中のホタル族が出来なくなっていたものの、まだイレギュラーであり、朝晩は問題無かった。
某日。居間のテーブルに置かれていたのは「吹き付け工事のためベランダを目張りするので一切開けられません」という通知。しかも一週間!!これはマズイ。夜はまだ何とかなる。しかし日が昇ってしまえば玄関先で一服も人目に耐えられる度量は無い。仕事中の禁煙はすっかり慣れたが朝晩のホタルは日課である。「仕方ないだろ!」と部屋で火を付けられる身分でも無い(若い頃は普通に飲ってたけど..時代は変わる)。こうなりゃ..。
家では加熱式タバコを吸うしか無い。(禁煙とかは眼中にない)
週明けから始まるのでもう時間は無く、と言ってコンビニで買えるので仕事帰り、早速眺めてみる。M店はカウンター内に置かれてあるので店員さんを捕まえて見せてもらう。P社のものと指定したのは、家に買い置きが5箱ほど残っていたからで是非も無し。震災以来の備蓄品+吸いかけの1箱は、紙巻きと違い賞味期限が書いてなかったから数年来捨てもせず。で、メンバー登録していて週イチペースで新商品情報だの、キャンペーン実施中だののリリースを(タイトルだけ)眺めていて、どうも所有の機器はすでに無いと分かっていたのだが、店では変わらず昔からの銘柄が売られているように見えていたので一応聞いてみる。「ブレードタイプってもう売ってないの?」「はい、もう無いですね」
じゃあ今売っているあれ(見た目買い置きと同じもの)はどれで使えるの?買い置きのやつどれで使いまわし出来るの?疑問は次々湧いてくるものの、店員さんはあくまでコンビニので、メーカーのセールスでは無い。そして選んでいる最中もチョコチョコ、お客さんが並び出す繁盛店だったので早々にこの店での購入をあきらめる。
紙巻きタバコを買い、車に戻って一服。ネットで調べて出直すか、直営店に出向いてみれば買い置き消費の道も残っているが..その猶予は無い。買い置きは諦めて処分するか..。
見ているようで見えていなかった。コンビニによって扱いが違うのかな。次に寄ったF店はカウンター横に並んでいて、手に取ってじっくり吟味出来た。するとB社の機器で最安値980円がある。これは、いいな。使い捨て出来る価格だ。もう充電池が数年しか持たず、買い替え必須の消耗品であることは実感している。ならばこれで十分。さて、どれが吸えるのかな..?横にある同社別機種には「細い」とある。最安値は「太い」とあって、どうやらサイズが違うらしい。カウンター奥のラインナップは..ああ、B社の銘柄なのね。そこに特にこだわりは無いがサイズ違いというのが引っ掛かる。間違って買ったら損をする。今の紙巻きも、吸っていた銘柄が無くなって同シリーズのものを買っているのだが、フレーバーが数種類+プレーンがあって、たまに間違う(混雑時などテキメンに)。ミリ数を間違う事は無いので「たまには仕方ない」で済むのだが、サイズ違いじゃ吸えないから微妙だなあ..ぐらいに考えながら眺めていると、そうか、J社の商品は今吸っているのと同じ銘柄じゃないか。俄然身近に感じられ、J社の商品を比較検討。
最新型は別売りのリキッドを使うとか、訳が分からない。従来型で安い方のスターターキットは、アダプターが別売りと。USBでしょ、ならアダプターなんてどれでもいいじゃん。携帯の充電器で携帯プレイヤーを充電していた経験が活きる。P社の廃品も使い道あった。じゃあこれでいいな!(※出力仕様が違うとバッテリーが爆発する危険あります!)
結局買い置きが吸えないと分かった時点からP社の商品は購買意欲が削がれた。スリム、手間なし、必要無し。不格好だろうが家で吸うだけだからガラケーのようだった旧型でも良かったのだ。
最初に提示されたP社の最安値の半額だったからというのも決め手だったが、レジを通したら2000円引きと。「期間限定スターターキット2000円引き」と張り紙もしてあった。見ているようで見えていない。結果的にお得な選択をしたようだが思いとしては「え?これの倍額を2年後にまた払うの?」という抵抗感。
大人の嗜みとして、嗜好品に出費するのは結構なんだけど、普段の消費に相当額掛かっているんだから補助器具くらい100円ライター並みの手軽さにしてよ..と思うなら「もう止めたら?」という話か。

さあこれで公の場に出られる(?)装備を手に入れた。これを持ってどこへ行こうか。


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何のための買い替えか。。。