ワンパス                        箱中毒

(初出: 第285号 21.3.20)


冷え込みが過ぎるからなのか、アルコール消毒が引き起こすのか、加齢の所為か。いずれも関わっているのだろうが、今冬は手荒れが酷い。CMで見る「パックリ割れ」、何と大げさな..と思っていたら自分の手の指が映像通りに裂傷、血を滲ませている。痛みが無いから横着して、ハンドクリームなどケアをしていなかったら手の甲、指の内側も割れ出して、慌てて保湿に走る。
100均のクリームで済ませているが、身体に浸透していくものだし、天然成分の無添加のがいいんだろうな、など考え出している自分が何か嫌だ。

鍋で代用として思い付いたコンニャクが突破口としての救世主に。
健康診断に臨み節制したはずがギリギリ想定内だった体重。自粛継続で外出せずの日も出てきており、減らすどころか維持すら困難では?そんな焦燥感の中、休日の晩酌のお供を求めてスーパーを彷徨っていると、調理しなければ食べられたものじゃないコンニャク売場にて「味付き玉こん」に目が止まる。手に取ると「そのままでもうまい!」の煽り文句。そういやレトルトおでんなんかも夏場は温めないか、これは盲点だった。食べてみればしっかり、味が染みてスナック菓子が不要に。塩舐めりゃいい、の域にまた一歩近付いた気もするが..鍛えてないから外身の痩身はすでに限界。ならば次は内側から減らしていこうと。
567の混乱で昨年の健康診断が結果出たばかりなのにもう、本年分を受けることに。ただ今回は身体測定に毛が生えたナンチャッテなので摂生も何もせず受ける。体重はキッチリ朝食分プラス。これで逆に一安心。
もう意識して暴飲暴食、ゴロ寝の生活を送らない限り、現状は日常と言って良さそうである。苦し紛れの一食抜きなど無用。適量で止めておけば、自然ともう一段の減量は果たせそうだ。
ただ更なる高み、思春期の頃の体重に戻すのは到底無理..叶わぬ夢か。

お街に出なくなってしまったのは単に気分の問題ながら、きっかけは体感として若い人が目立つようになっていたから。年末に近付くにつれ若者が、集団で、賑やかにしているのを通りすがりによく見た。対して背広組はせいぜいが2〜3人、家族連れや年配の買い物客はめっきり減っている。まるで渋谷、中年の一人者が徘徊するのに適した地とは思えない。日々の報道がさらに拍車をかける。アクセス、行きたいところを踏まえると、そこが最適ではあるのだが、他に候補が無いではないから条件として天気だ気温だを差し置いて「お街でないところ」が一番に挙がるようになった。
ある程度の不自由を蒙っているものの、若いのが群れて喋り倒さなくてどうする、と振り返れば容認せざるを得ない。彼らが無頓着に日常を続けているからなのか、我々が過敏だから彼らが目立つのかはニワトリタマゴ。
そんなわけでいち早く夜の街解禁になったものの、隊長とのリベンジ飲み会をウジウジと誘い出せずにいる。個人的にはワクチン接種してからかな..なんて半年先、一年先まで行かないつもり??

今度の休みもまた、何のプランも立たずだけどまあ、前回と同じようなプランを探してみるか。
こんな感じで呑気に構えていたらどんどん52が延び延びになっていって..マズい、割引対象のはずの日程まで掛かりそう。といって日延べが出来る話でもないので、キャンセル料等々考え無しでは早期予約出来ない状況に。丁度過去台本の復元を頼まれて、これがまた楽しい作業だったのだが残念、一週ズレ。親も厳寒期に52無しで動くはずも無く..。飲みにも行かずでは家にいる間が持たぬ。
ついに休みに入るも割引は期間中何も使えないことが判明する。無為に過ごすのも普段の休日がその繰り返しで散々やっている。再開されてもタイミングが合うかどうか。
これでは経済は回らない。ここは一つ海外にでも行ったつもりでパーッと散財してやろうか。自棄で計算せずに前回と同じ行動をしてみようかと思ったら、単純に前回の倍掛かるわけで、おや、それだと安いチェーン店の宿なら2食付いて2泊出来るじゃないか。
お腹一杯で寝る、この楽しみを経験してしまったので、素泊まり外食せずのプランは少々気乗りしない。差額で焼肉の居酒屋のが出来たのはつまり52ありき。
観光せずに旅館を線移動して、夕食バイキングの朝食ビュッフェだけをメインにして、後は部屋で安酒飲んでダラダラ過ごす。移動自粛のご時勢にも何とか適合した閉鎖イベントに成るのではないか。
予約サイトではお一人さま、プラン自体出て来ないところが多いので、いずれ有名どころのチェーン宿、直接公式ページに飛んでみると..。何と緊急事態宣言解除まで休業中のところも多い。ここは対象外の地域なのに..影響は最早看過出来ぬ。早々に頓挫しかけるも、粘るとやっているところはオフシーズンでこんな状況だから?お一人さまも受け付けてくれ、値段も割高感が薄い。通常なら5割増しが3割増し程度の差額。これは..これなら割引無しの素泊まり鉄旅と変わらないと言えちゃうのでは??
そんなわけで日帰り出来る距離ながら温泉宿、2軒(2泊)予約が取れて。チェックイン目指して移動、チェックアウト後大回りして時間を潰し、再びジャストでチェックイン、滞在19時間は食事と風呂と、無料WiFiと睡眠だけで過ごし..2泊3日(実質丸2日)、ドライブだけしてきました。
なんちゃってではない温泉、チェックイン直後から朝は6時前から、ひたすら浸かる、出るを繰り返していたら気が付けば手のひび割れが消え、ツルツルに。効能か自己回復かは分からぬも期間中クリーム要らず。そして食い倒れ旅、炭水化物もスイーツも解禁して2時間くらい全てを賭ける。木を隠すには森、カップル、家族連れだらけだったので少人数の枠にハマりそれほど浮かず(ホロ酔いで気付かなかっただけ?)。体重は一気に一昔前に戻るがメインエベントをケチるわけにいかぬ。朝ビールは出来ず、路面は乾燥ながら雪景色の中を運転と緩みっ放しとはいかなかったものの、好天昼移動で通勤の延長程度の負担で済む(足裏が少々痛くなった程度)。宿泊費は予約通りながら持ち込んだ酒代だの、全て含めるとやっぱり相応の額になったわけだが、まあ何が安いの高いの言い出したらキリが無し(それ言ったらこの項記す意味無し?)。少なくとも今回の連休は慰安として満足(大は付かず)に消化出来た。
又も今回だけのプランになるのか、いずれ再び組むことになるのかは567後の世界に拠る。

日常に戻って。ついにここに来てしまったかの感はある。
某日。久しぶりにパック寿司を買って、これで一杯いきたいなと日本酒(ワンカップ)コーナーに行って逡巡する。これは..シャリに米か..。主食抜きの夜食も慣れた身にダブル糖質は抵抗が出てくる。
といっていつもの缶チューハイの気分じゃ無し、発泡酒も高くなった&寒いこの時期是非もので無し。
隣にあるカップ焼酎がクローズアップ。うーん、でもこの度数って、何か割り材要るんだよなあ。お湯の無い部屋でこの時期に水割りねえ..値段もそれなりだし..と、日本酒並みの度数がある。「前割り」、あらかじめ水割りにしてある。そして安い、これだ!
寿司に糖質ゼロの焼酎、いやいい買い物したとその場は大満足だったのだが、帰って早速晩酌、終わって空き瓶(プラカップ)を眺めると「やってしまった感」が物凄い。原色のキャップが悪い。
ワンカップのアルミ蓋をプシッと開ける、これはせいぜい六角さんを想起する程度の微笑ましい呑兵衛だが、赤だの青だののキャップを捻ってクイッと飲っているのは..昼から場外で出来上がっている歯っ欠け親父の姿しか見えない..。
しかし味は、飲みごたえは充分。炭酸要らない日ってのもあるよね、レモンすら要らない酒も欲しいよね。そんで割らなくていいんだよ..。考えてみれば飲みたての頃は金が無いの一点で、スキットルサイズの安ウイスキーを舐めてはえずいていた訳で、フリーター時代は合成酒2Lパックを愛飲していた。つまりは30年(あれ?)変化無しということか..イメージには目をつぶって、以来買い置きが常に、ある。


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