10年に一度の奇跡                21時

(初出:第281号 20.11.21)


隊長との今年初の飲み会は彼岸過ぎ。前回からほぼ1年が経ってしまいました。何しろ今年の前半は飲み会なんて言葉にも出来ず、自粛明けてからも様子見していたらいつの間にか夏が過ぎ..。とはいえ同じ市内在住で、すでに夜の街解禁しているのは「ドキドキ」で承知済みだから強引に誘い出せば行けるタイミングは幾らでもあった。
それが言い出せなかったのは「新しい生活様式」での外飲み、これが一体どうなるのか不安だったから。
昨年末の忘年会から状況は一気に変わってしまった。
行きつけの店が閉店。10年来通っていたから今度はどこへ行こうか?まるで見当が付いていなかった。過去に何度か、河岸を変えてみるべと別な場所スタートにしたこともあったが定着せず。元々私のフィールドは(強いて言えば)日本酒飲み放題で隊長のフィールドはバーはしご、と被らない。
「安かろうマズかろう、けど、悪くはない」居酒屋を探すのはなかなかに難しい。
さらに春からの完全分煙。トイレのようなタイミングで喫煙所に行き一服、すでに経験済みだがお互い喫煙者である隊長と飲んでてしゃべりながら食べて飲んで吸って..といけないとは..。感染防止を踏まえれば煙を吹かすどころか会話すらマスクして?
そして再び訪れる酒量問題。家での独り飲みだとついつい飲み過ぎちゃって、が無い。自然とコーヒー、お茶に切り替わるのが当たり前になっている。2本、せいぜい3本飲んだらそれ以上受け付けなくなっているが、果たして。

誘う側として最初の一軒目は決めなければ。行く前に一度、下見に行く。今まで必ずあった名前のチェーン店が、そこで良いという現在、いつの間にか無くなっている。「格安飲み放題」を謳う看板はいくつもあるが名前が聞き覚えない上に路上には相変わらず「居酒屋どうですか〜?」と寄ってくるキャッチがウロウロしていて..「ぼったくり」、往年の罠がチラついて不安。値段を踏まえれば大衆居酒屋、こちらの問題は個室が無い..。そんな滅多に掛かるわけない。対策、万全ですよ!分かるけれども気分の問題。出張か地元か定かでないサラリーマンと同席したくない。無無無。
そんなわけで過去の数少ない行った店の記憶を辿りながらウロつくと..いわゆる玄関口の集合ビル、看板には各種居酒屋がズラリ。飲み放題となっている店、完全個室だ。
ここにしよう、ベタだけどまあ、間違い無かろう。飲み放題だけどツマミはちょっと高く付くかもな..。通いの店になるとは思えないが、久しぶりの飲み会、舞台は整った、はずだった..。

いざ当日、「どんなもんか分からんけどね〜」なんて早くも言い訳しつつさあエレベーターで、と思ったらそのビルの案内板に「休業中」の貼り紙。ん〜と、そもそもこのビルでやってる店が無い!!?
外の看板は立ったまま、パネルに明かりもついているが「休業中」となっているんだからやっているはずが無い。早々に行き場を失い呆然とする私に隊長が「んじゃ待ち合わせ場所のビルの店見てみよう」と助け船。
そうか、あの一角もこの手の居酒屋ビルいっぱいあった。同じことだ、リカバリー成る!
「そうしようそうしよう、まあ、ベタベタだけどね、とりあえずお試しだからね」「しかし相当深刻だね、やってないってことは売り上げ無いってことでしょ?テナント料とかどうなってんだろ」なんてまあこの時点では早くも立ち直り足取りも軽い。ところが..。
エレベーターの前に立つとやっぱりここも「休業中」の貼り紙ばかり。別のビル、1Fの店はやっていて声を掛けられるが我々は旅行客じゃないので名産地酒で飲むつもりは無いのよ..。とはいえもう選んでいる余裕は無く、ひとまず目星を付けてエレベーターで3Fへ。扉が開くと店の明かりが点いていない..。隣は開いているけど焼き肉店。違う..。
再び別のビルへ。近くにファミレスがあるもファミレス飲みもいいんだけど、それなら家の近所の方がよっぽど寛げる。違う..。
すでに飲み放題云々の条件は無いに等しい。一応「お刺身食べたい」と言ってあるので和風の店を選ぶという選択肢だけは残していた。このビルに、海鮮系の店があったのでとにかく行ってみる。そうしたら「エスニック風海鮮居酒屋」だかだって..。絶対違うと分かっていたが、すでに4〜5軒満席で断られているも同然の状況なのでとにかく入れれば良し。

入り口で検温され無事入店。個室だったのでもう安心、安全。飲み放題はやっていない。
まあいいのいいの、今日はもう値段云々より久しぶりの会合を、無事開催を祝うべき。
そんな気分が早速くじかれた地味な一撃は「ビール、グラスサイズじゃん..」。隊長は早々と2杯目をレモンサワーに。そして感染予防には「大皿からの取り分けはやめよう」、好きなもの個々で頼もうか、提案しようとしたら食べたいと言った刺し盛りが2人前より。あ〜もう無理無理!店員さんが障子を閉めた瞬間マスクを脱ぎ捨て、再び付けることは無かった。
途中、トイレ〜タバコを吸いに各々立つ。ん〜、やっぱり何か違う。喫煙はまあ仕方ないけど、個室って、別に要らんなあ。この状況下だからこっちの方が良いってだけで、間隔空いてれば解放感あって、賑やかな方が気分が盛り上がる。とは言え密密の大衆居酒屋では厳しいご時勢であるわけで..適度が難しい。がしかしここでは無いのは間違いない。
極々普通の居酒屋ながら、それがあまりに物足りない。安けりゃ満足だけどお会計もやっぱりそれなり。ダメだコリャ。で1時間も経たず出る。

何かもう、「申し訳なし!」といった気持ちしか無かったが、2軒目は当たりと決まっている。いつものメキシカンバーは変わり無く盛況で一安心。そして遠慮していたら何と喫煙、OKですよ!と。いつものペースを取り戻し、気が付けばやっぱり酒は会話してると以前と変わらず飲めるんだわ〜とこれも安心。ただ喫煙は、1軒目で制約されていた分吸い始めたら立て続けで、昔ならそのまま咥え煙草で帰って何とも思わなんだが昨今の風潮に毒されちょっと、周囲にご迷惑だったかな、と帰ってから反省。もう嫌煙傾向は止められない。
「500円になったらさすがに考えるわ〜」と言っていたはずが今やキャッシュレスで「あれ今いくらになったんだっけ?」とマヒしているが、この流れで止めるという選択肢も浮かんできている。
ともかく。
超久しぶりの飲み会は1軒目で派手に転んで宵の口で解散。次の当たりが見つかるまで、試行錯誤が続く。


若手が息子と言っても違和感が無いくらいになり。
「オレ、飲むのはやっぱビールすわ。絶対朝日!」なんて発言を微笑ましく聞いている。
もう大概の味を知ってこだわりなくあれこれ漁っている中、ようやく今年も巡り合えたのは、昨年終り掛けにハマり追い切れなかったハイボール、赤紫蘇。やっぱり季節限定フレーバーだったんだ、と嬉々としてルーティンに入れようとしたのだが。昨年あんまり手ごたえ無かった?限られた店にしか入らず、あっという間に棚から消える。そして改めてじっくり味わったものの..うめ割と何が違うんだ?あ、色が違うか(ラベルにそう書いてあったので)。って缶から直飲みだから気付きようも無い。シソを感じて好きになったんじゃあ、と今度はゆかりのハイボールを見つけて飲んでみるがこれは甘すぎる。結局昨年ほどの感動なく、まあほのかなしょっぱさがあればいいや、同シリーズか男梅で十分、の結論に。
バカ舌じゃんと笑うなかれ。こんな話をご存知か。「かき氷のシロップは、香料と色で味を演出しているだけで、実は全て同じ砂糖水」。先日、果実感を謳うシリーズの桃チューハイを飲んで感動した。甘いだけじゃない、種に近い部分の微妙な酸味、その周りの微かなエグみまで出せている!まるで冷した桃に直で噛り付いたような本格派!ラベルを見て愕然、「無果汁」ですって..。
もうね、人工甘味料だろうが「コーヒー」表記で香料が入っていようが何でもいいですわ。だって違い分からないもの。
日本酒もワンカップに逆戻り。安くてマズくなけりゃ文句無し。

「待てば海路の日和あり」会心の結果となった。
プリンターが今夏、1枚目を普通に吐き出したと思ったら2枚目3枚目が白紙で出てくる。「!!?」モニターを見る限りインク切れでは無い。ヘッドクリーニングを何度か掛けてみると、文字列の一部分だけプリントされるように。他のカラーは問題無く印刷されるので、どうやら黒のヘッドの不具合と分かったものの、駄目元で純正インクを買って来てもう一度だけ試してみる。結果は同じ。そりゃ黒だけ何年も使っていれば寿命は来る。調べてみたら12年にヘッドクリーニングが出来なくなって買い替えていたので今回は8年持った。充分。
買い替え..という結論には至ったものの、かなり腰が重いのは、このプリント機能以外はピカピカのままの機械をまた1台買うのかというウンザリ感。多機能の方が安いという矛盾とも戦わなければならない。すでにパソコンと一緒に使い出して四半世紀、コピーもスキャナもカラーインクも要らんのじゃ!
しかしプリンターが無ければSD誌はミニコミ誌としての唯一の砦を失ってしまう。無論買いますとも。ただわざわざ買いに行くのは業腹だ。休みの日に車を使ってまで買いに行きたくはない。雨で仕方なく車を使わざるを得ない休日に、ついでで量販店寄ってみる。隊長にはそんな訳で少々待ってもらうことに。ところが..。
まず雨の休日が訪れず。やっと機会あって寄ってみると最安値帯が悉く「在庫なし」。在宅勤務で需要が増えているようで..とのこと。親切な店では「入荷4週間待ち」「予約受付中」の札が並ぶ。予約中ってのは新品ではなく入荷未定ということで、極端なものは来年ですって!?わざわざ予約してまで「カラープリンター」、欲しくないし..。なんてグズグズと買い渋っていたらあっという間に3カ月。これはさすがに待たせ過ぎだ。
そんな思いに駆られ、休日の度に家電量販店は立ち寄るようになり。自然と目星の付く型番も覚えてきた。しかしどのメーカーも、最安値はやはり展示はされているが商品が無い。やっと、在庫が置かれていたものは、いざ買おうとして仕様をじっくり読んでみると自分が普段使っている用紙サイズに対応していない。別にいいか..日和ろうとするもしかし封筒に入れるにはあのサイズがベストなんで..見送る。「もう予約した方がいいだろうなあ」と思いつつ、そうするとメンバーカード持っている駅前の店でないと..でもあそこ、品揃え悪かったんだよなあ..などまだグズグズ。再び雨の休日に最初に行ったきりの店へ。変わり映えしない状況だがもう今日こそはの気持ちだから諦めきれずウロウロしていると、プリンター売場の向かい側に妙な在庫を発見する。展示されていない型番の在庫が棚上に置かれている。箱のサイズからしてプリンターのみのタイプだ。これって買いたいやつじゃないの?でも型番は違う..よねえ?
すでに結構通っているのでここに来た当初の素人では無い。メーカーカタログを取り仕様を確認する。「これって買いじゃない?」予感がしているので気ばかり焦り、見つけるのに5分10分と掛かり相当手こずるもどうやらモノクロプリンターで間違いない。別のメーカーでこのタイプは見つけていたが勿論在庫無し。というか今使っているメーカーでモノクロプリンター、出してたのか!これは意外だった。ということは..マック時代に使っていたスタイルライター以来、15年くらい探し求めていた黒だけのシンプルプリンターがついに目の前に!
しかし最後の不安が「展示されていないから価格が分からない」。モノクロの小さいサイズのプリンターは、レーザータイプならたくさんある。値段はなかなかのもの。これもやっぱりそうなの?欲しい仕様だけどさすがにエントリーモデルが2台3台も買えるお値段なら見送るか..しかし1万チョイくらいだったら..どうしよう?
運命の瞬間。店員さんに伺って値段を調べてもらう。「6480円ですね」「これ下さい!」
食い気味に返答。
予約していれば1月で済んだところ3カ月掛かったが、見事念願の「黒」だけのプリンターを入手。もうね、一生このタイプを買い続けますよ。勿論「純正」インクを使います!

つべで懐かCMを観る、なんてのはもう何年もマトモにしていない。そもそも過去は有限であって観まくっていればコンテンツはいずれ枯渇する。CMソングにしても楠トシエからのこいのこなど有名どころはほぼほぼ聞いた。それでも..。何か、足りない気持ちが残っていた。あの特徴ある声は..誰だったんだろう..。
別口で懐メロを探していて、関連動画でフト目に止まったのが「藤本房子」。CM蒐集家の錚々たる面子が結集して作られた前後編の大全が上がっている。久しぶりにどれ、眺めてみたら大当たり。
「○ルビーのポテトチップス」「○ジッコのお豆さん」「ヨンヨンマルマルワンワンワン」etc...
これらを節付きで読んでしまえる方、世代です。
はあ〜っ。変わらず有難く繁盛店であり続けているメキシカンバーで流れているラテン音楽の元ネタには未だたどり着いていない(マトモに探してもいない)のだが、CMソングに関してはこれを観て満ち、足りる。そうか、記憶に刻まれていたCMの声は、私にとってこの方だったのか。
さらに。一通り観ていくと関連動画に新たなコンテンツが。地元の懐かCMは、長年探していて一向に出て来ないので諦めていたら..2年前にある方が上げていた。しかもそこから年代別〜年別に現在も続々と!過去は有限、これは間違いないけれど、コンテンツはまだまだ増え続ける。ありがたや〜ありがたや。


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