不要不急の歩き飲み                キンキン

(初出:第276号 20.6.20)


単身赴任の知人がGWに入って帰宅。今年はGW16連休!自粛状態とはいえ久しぶりに家でのんびり出来るわ〜とリラックスした直後。「県をまたいだら2週間仕事復帰NG、自宅待機せよ」とのお達しが出て慌てて赴任先アパートへ戻る。それでもそこから2週間、独り暮らしでステイホームと..。
いや想像だけで震えてしまいます。「休み。出掛けるな。14日連続」となれば生活が乱れまくる確信しかない。学生時代、「25時間生活」で頻繁に昼夜逆転していた日々で平気だったのは若かったから。現在ならすぐに起きる体力すら失ってしまう。
(この知人は幸いなことにニート適合者?だったようで多趣味を活かし「それなりに満喫出来た!」と返ってきた)
そう考えれば通常勤務、休みは行動自粛、程度で済んだ私がブツクサと言える立場ではない。

とは言え。いつも通りアテの無い束の間連休になるはずが今回はついに「無駄遣いすら許されぬ空気の休日」になった。まず遠出は問題外。地方へシケ込む、も訪問ご遠慮の嵐に手を出せぬ。近場に泊まるという禁断技も、外出自粛要請まで出て頓挫。というか、もはや伝染るという危険性云々よりこちらが伝染す側に回らぬようひたすら留意せねばならぬ。「休みに遊んでたら罹っちゃってました〜」でまき散らしては冗談で済まされぬ。
考えてみると風呂行く?お街出る?図書館籠る?いずれもいずれも、感染リスクが付きまとう行動しか私の常の休日はしていない。これらを折角の連休にするのは無為な使い方と思っているのだが、それすらも出来ないとなると..。
部屋の片付け車のタイヤ交換などで日中をやり過ごし、夕方以降は飲みながらひたすらHDD消化を繰り返してみる。すぐに飽きる。楽しき自堕落暮らし、いざやってみればなかなかの苦痛也。学生の頃にはもはや戻れぬ..。
外は快晴暖かく、桜が満開なのだ。不要不急の外出自粛と言われても、これでは衛生上実によろしくない。そうだ、隊長に送る用の茶封筒が無くなったんだった。これを100均に買いに行くのは必要事。徒歩2分の店ではなく、あそこ(2km先)かあそこ(1km先)で..。理由付けをしてから外へ飛び出す。ブ〜ラブ〜ラと散策×→移動しながら、大回りに大回りを重ねてひたすら歩く。風は強いが日射し頼もしく、痛かった腰がほぐれ腹が凹んでいく(ような気がする)。お散歩、日光浴、乳幼児に有益な行動は中年にも有効である。とはいえ大人としては物足りぬ。
期中酒は日が暮れてからとラインを引いていたが、本日は昼下がりながらもう飲んじゃえ、とコンビニで普段は買わぬバドと一番高いレモンハイを購入。当然飲みにも出れずだったからここでプチ散財。ロケーションとして目星を付けていたスタジアム周辺へ。本来なら試合は開催しており、TV観戦(転寝)で眺めているはずの球場は閉鎖のまま。場外は解放されていてチラホラ人が居るもほぼ無人の外周を回り、隙間から見えるグラウンドをスマホ最初の1枚に収める。
そのまま花見のメッカへ出向くとこちらはなかなかの人出。自粛ったってそりゃ無理だわな、と私の言い訳も含めつつしかし満開の桜並木にブルーシート一つ置かれていない名所は違和感が物凄い。ホロ酔いでも「長居は出来ぬ」雰囲気がビンビン伝わってくる。例年なら「絶対に近付かない」超混みイベント会場に立ち寄っている不思議。お陰で普段は通りすがりにチラ見するだけの桜をじっくり眺められたが立ち止まることなく一周で外飲み終わり。早々と帰路に(用事の買い物へ)つく。
これだけでもその後体調がどうなるか戦々恐々と。
連休、以上。無意味に過ごすどころか「何もするな」でした。こんな休みって、そりゃないよ..。

追記:状況いよいよ厳しくなり、上記のような徘徊×→散歩をくり返している中で、2年ぶりくらいに半○屋の飯に再会。駅裏にあるので週ペースで食べることは可能なのだが、昼を食べる習慣が無いから旅先帰りなど年に何度かしか訪れていなかった。そしてそこには「生にんにく」「にんにく七味」が置いていない..。同じく年に数度あるかないかの早上がりの仕事終わりに、郷愁に誘われて足を伸ばして立ち寄ったバイパスの店は、24時間営業のはずが私の訪れる3時間も前に営業終了..(時短営業しているのかすでに営業時間変更になったのかは不明)。今回たまたま「そう言えばあそこにもあったはず」と思い付き、近付いてみるとこのご時勢でも健在、そして通常営業中。腹は減ってな..何でもいい、久しぶりに創○のつゆの「かけそば」にありつける、リベンジ成る!と昼下がりのご入店。
もはや牛丼屋であっても夜はテイクアウトのみの営業で、夕食環境は乱れまくっており、いつもと変わらぬ豊富なおかず群、かつての日常を前に心躍りまくる。これもまた、時短営業中でしばらく行けていない定食屋での定番おかず、チキン南蛮を手に取ってしまう。おかず食うとなるとやっぱりご飯も必要か。折角の機会に豚汁も食べておきたいところだけど..さらにかけそばではさすがにしんどいな..。レジ前まではあれかこれはと悩みに悩んだものの、レジに行けば「並(ご飯)とかけそば」、かつてのやり取り。
行きつけが閉じてすでに2年が経とうとしている。その間他支店ではありつけていなかったので、あまり期待せずに調味料コーナーへ移動すると..あった、「にんにく七味」だ..!!そしてチューブタイプながら「生にんにく」もあるじゃないか!!
こうなるとテンションマックス。お口の云々もマスク常備の昨今何ら気にする要も無し。やがて呼ばれたかけそばをいそいそと調味コーナーへ持って行き、思うさまそれらを加味して..。
はあ、これぞかつては「安いからそれなり」の週2ペースだった夕食である。
たとえ衣6割のペラペラのチキンであろうと、小麦9割そばであろうとも、「食べたいものを」頼んで会計が他店(現状)の半分で済むこの定食(屋)、そしてチョイ足しならぬバリ足し!
改めて、通いの店を失った痛さを思いながら「これよこれ!」と堪能する。5分足らずで片付くのもいつも通り。
しかし..。
食べ終わって余韻も味わい、することが無くなるも腰が椅子から上がらないのは普段食べない昼食のせいか、2年経過した加齢の仕業か。ようやく立ち上がると、今まで使ったこともないコップに水を入れ、元の席へ。チビチビと飲みながら、遠くのメニューを眺めながら、帰りの道順に思いを馳せながら..あ、ダメだ。腹が落ち着くまで動けん..。
ちなみにかつてのパターンで言えば、おかずはもう一品あったはず、そしてご飯は中(他店の大盛)だった。2年前の7掛けの量で、イレギュラーな食事ではあるものの立てなくなるほどの負荷が掛かるとわ。
食後30分ほどもしてからようやく店を出るその背中は煤けまくっているに違いなく。
という事でこの散歩コースは、すでに足の向かなくなった北京の1kgつけ麺と同様「追憶のメニュー」に仲間入り..。
それでもまあ、美味かった!!自粛という制約もこういう事に結び付くのは悪くない。

この機会にじっくり長編ものを観よう、とまではなっていないものの、TVがず〜っと同じ内容なのでさすがにHDDの消化は進んでいる。近年はせいぜい休日にビジネスニュースを観るようになったのが変化と言えば変化だが、ジャンルはほとんど変わらず。ただ、確実に年上の(あるいは同世代の)話しか面白く感じなくなっている。やっぱり齢を取る=経験値が上がるのだろう、若手の事象はかつての出来事に重なってどうしても退屈に思える。
先日も第7世代がメインだった雨の特番を録りもせずスルーして、BSの芸歴20年組を集めたゆる〜い演芸グランプリを生で観る。ネタも展開も分かり切ったやり取りがしかし、心地良い。つべではナイツをヘビロテ中。理由は単純で40を過ぎるとあるあるネタは「黄昏」であって「恋愛」や「欲望」ではなくなるから。「混沌(ギャグ)」というのももはや受け付け難い(※個人の見解です)。観ちゃえば何でも面白いんだけどね。
と言って向上心の欠片も無いではなく、ウンチクを聞く、これだけで酒が飲めるジャンルもある。音楽番組である。
スージー・マキタの「カセットミュージック」は毎回あえて録画して、後日酒を飲むタイミングで再生(ライブだとすでに飲み終わっている時間..)。そしてCSでめったに観られないのだが、「クラクロ」は2回観ていずれも大当たり。昔の名前が出てくる、往年の裏話が聞ける、ミニコーナーの取材が紙媒体!などなど、今さら脳裏に焼き付けるような保存版扱いではなく流しっ放しではあるが実に旨い。
「駅ピアノ」で誰かが言っていた。「音楽と踊りは人生に必要」だと。踊りには未だ縁無いが、音楽は確かに私の人生に関わっていると言える。
しかしただ単に「懐かしい音楽を聴く」「新しい曲に巡り合う」だけでは興味は続かない。歌謡曲好きだがCSの「B面コレクション」が楽しめる域には達していないし「ヒット曲集」だけでも物足りない。知っている曲に知らない曲がチラホラ混じってくるバランスが重要である。M系チャンネルを流しっ放しにしておくと丁度その状態になるのだが、飲んでいる時にはもう一味欲しくなる。「カセミュー」の出番である。全ての曲にウンチクが入るのはご馳走に薬味が加わるようなもの。同趣旨で言えば夜中のCD通販番組も通用する。ワンフレーズしか聞けないのが難だけど。まさかムードコーラスに食指が伸びるとは思わなかった。これらはネットサーフィン(自力)ではたどり着けないコンテンツと言える。
「観たいものを好きなだけ」というのがネットの強みだが、「啓蒙される」という点ではTVがまだ辛うじて勝っているのではないかと思っている。仕方なく観る、番組で新しきを知る。昭和のあるあるだがこれは通っておいた方が良いと思う。


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