さけ三昧                        からし

(初出:第263号 19.5.20)


ここまで心躍らない買い物がかつてあっただろうか。というくらい気の進まない切り替えを今年果たすことにしたのだが..。
モバイルWiFiの契約更新と、ガラケの契約更新が重なった今年。スマホ切り替えはこのタイミングで、と考えていたので繰り越しにしていた懸案をこの春に解決すべく重苦しい腰を上げる。自宅に引かれた有線ネットをWiFi環境に切り替える作業。
調べてみると「現状のルーターにWiFi機器をつなげる」だけでレンタル、自前で購入の2択となる。月々延々と料金を取られるより最安値で購入すれば半年程度で元が取れそうだが適合しなければ丸損だし、進化に伴ってこれまた気の進まぬ買い替えも発生するだろうし。少々迷ったものの、それでも購入したところで真っ青になる出費ではないから思い切って買ってみる。プロバイダに設置申請しなくて使えるのか、とか料金に変更が生じるのか、とか諸々の不安は抱えつつ、慎重にルーターと同メーカーの、底値よりちょっと高価いものを購入。開けてみるとえっ!?と思うくらい小さい機械。これで家中ネット環境が整っちゃうの?ここは進化の成果に素直に感心。ルーターとWiFi、双方の取説を眺め回して接続作業。最初の方法ではつながらず。「うーん、でも説明書では利用可能なんだがなあ」と、まあ無駄骨でもあきらめのつく価格ではあったから動揺することなく、別の考え方でつないでみたらおっ!ビンゴ。
有線契約から早13年、思い描いていた夢のネット環境がわずか1日、たった小一時間の作業で到来する。これで20年以上自前で調達していたネット契約が不要になり、程なく訪れた更新月に早速ショップへ行き、10分程度で解約、完了。「当月分までご請求になりますがよろしかったですか?」「何でもいいです」
もはや通信量を(それほど)気にせず、その気になれば常時接続も出来るので用済みの代物也。

さて次はいよいよスマホに買い換えか..。
すでに現状機種は3年後に機能終了が予告されている。買って10年使いたいは平成の昔話。もう、換えて然るべきなのである。
かつての「通信費1万円」の時代から半額以下になっていて、今またネット利用料が無くなった。スタンダードなプランにしたところで大幅な出費増になるわけでなし。
すでに友人からの(余計なものが付きまくった)メールが読めないのは常。テキストだけの読めるメールをくれる友人からも「ラインを使え」「既読で伝わったか分かるから」と説得力のあるお言葉。
例えば先日、佳那氏と数年ぶりに駅前の日本酒飲み放題の店を訪れた。「出張で帰り寄れるが?」「そのまま泊まっていけよ」と話が進んでの話。当日ざっくりと夕方待ち合わせで、仕事の進捗と電車の到着時間を随時メールでやり取りし時間を合わせる。結果普段通りの休日を過ごしながら、見当より1時間ほど早まった到着に改札前でお出迎えと、これはもう携帯の頃からの当たり前の光景ではあるが、送って返信がしばらく来なければ読んだの?このまま向かうけどいいの?と不安が生じる。..そこまでつながっていないとダメになっちゃった?
思い返せば学生時代、家を出るのが集合時間、という横着ものでいた我々が分刻みのビジネスマンに?実際なっちゃっているんだが滅多にない会合だから、遠路はるばるお越しだから、という意味合いが大きい。
自分にそこまであれもこれもいつでもどこでもつながっている用があるだろうか。
娯楽機器の側面をとっても、今年は徘徊×→歩き回る機会が多いのだが最近は音楽も聞かずに散策の域に入りつつある。生活音や季節の香りを感じる方が心地良い(後述)。
ゲームはもう、ゲーム機が目の前にあってデモ画面が流れている状況でも手に取らないだろう。もう知っている娯楽。快楽の湧かないツール。甥っ子どもが思春期になり、久しぶりに会ってもゲーム、スマホをいじっている。自分がやってきたことと全く同じ。平成ネット史で元グラドルが語った「(SNSを)使い倒してきた同年代がもういいと卒業している」のに大うなずき。学生時代猿のようにやった結果、使いこなしたか使い倒したかは別として「もういいや」となったのは間違いなし。

で、じゃあ「持つだけ持ってろ」と格安スマホに向かおうともするのだが、無料通信量がタイト過ぎて「アプリ更新だけでオーバーする可能性アリ」で「課金対象になる」んですと。
その料金で持たされるのがあのサイズ..。手ぶら大好きな身としてはパブリックな飲み会でアイコスを持っていくのも面倒に思うから常時胸ポケットに収まらない携帯を持つのがイヤ..。そして今年に入って相次ぐ月額料金値下げの予告。
結論。月賦のまだ終わっていない(もう1年ある)間は保留。2年縛りの解約料が掛かる間も保留。寿命を迎えるか3Gがサービス終了になるか、ともかくそこで「もう一度考えてみる」。
4Gのガラケもあるようで、さらにしがみつく可能性も無くは無い。
あって損するわけでないのは分かっている。しかしパソコンで10まで行って8に戻した、あのウンザリした思いをもう一度するのにひたすら尻込みしている。

てなわけで、念願の日本酒飲み放題の店に再訪した。店の名前をすっかり忘れていて、ビルの前で「あれ?なんて名前だったっけ?潰れちゃった?」なんて失礼な放言をしてから入ったのだが、開店間際ですでに退店時間が設定され、(追い)出されるころには満席予約ですら出待ちの大繁盛店。値段も相当だったが思わず唸る刺身など食べられ、日本酒は各々6銘柄くらい呑めたかな?で大満足。
しかし日本酒、実はすっかりブームが冷めていて、(機会が)あれば飲むけど家呑みではさっぱり。やっぱり舌が肥えてしまってワンカップがつまらない、けど1合瓶はコスパ的に気軽さが無い4合瓶は飲み切れないetc...たまに(年レベル?)嬉々として飲む程度の嗜みに落ち着いた。
今年に入って原点回帰。「レモンサワー」を飲みまわっている。
そもレモンサワーと言えば学生時代でさえ嫌厭した、ありふれ過ぎて飲むに値しないと考えていたお酒。これが飲まず嫌いであったことに気付いたのは、たまたまビネガー入りのシリーズにハマったのがきっかけ。酢、クエン酸など付加価値についつい魅かれ、飲んでみたら酸っぱいの美味しい!で全5種?6種?のアソートパックを買えば買い置き分も調達出来ると良い事ずくめで迷うことなく買っていたらその中に「レモン」「グレープフルーツ」が入っている。これがねえ、美味いんですわ。
酸っぱいの好きなんだからレモン嫌いなわけ無いじゃないか!で、この弩スタンダードなフレーバーは全てのメーカー、シリーズから出されている。値段、味、アルコール度数、全てが千差万別で缶コーヒー同様気分次第で適当に買って楽しんでいる。宝の山は目の前にずーっと存在していた!

缶コーヒーと言えば。
気が付けばブラックを飲む比率が一気に高くなった。ブラックは缶コーヒーでは飲まない人だったのが、ロングボトルの大容量サイズが登場してからその習慣が無くなる。水、お茶と同じ感覚でコーヒーと選択するようになれたのが大きい。そこで抵抗が無くなると、缶コーヒーも気分次第ではブラックを、となる。そして毎朝必ず起き抜けで飲んでいた缶コーヒーを飲まなくなる。前夜の飲み残しのボトルコーヒーがある日が多くなったから。
今年は腹回りのスッキリ維持で薄着になるのが楽しみ。なんちゃって低糖質ダイエットの効果と言いながら普通に大盛のご飯を食べているから真相は闇の中。
..あれ、もしかして1日数本必ず飲んでいる缶コーヒーがブラックに切り替わった糖質オフ効果もある??

飲み歩き、ならぬ歩き飲み、が私の独り飲み。
3本飲み切れぬ家飲みを外で、といった程度の感覚ながらつまみを食べないので安上り&ヘルシー?(胃にはよろしくないか)お陰で休みに寧ろ身体が軽くなる好循環。
月に何度かの頻度で天候に関わらず歩いて外出=歩き飲みの日。基本、夜の帰り道に一杯引っ掛けてくるを飲みながらのんびり帰宅、にしているが、ピンと来る日は昼酒を目論む。
某休日、案の定昼過ぎにやることが無くなり、といって帰るには早過ぎると、向かった先は家と反対方向の川沿い。まあ全て自分のさじ加減ですが。公園に会場が出来ているはず、つまり花見酒を洒落込む。途中のコンビニで調達して、と思っていたらミニスーパーがあって嬉しい誤算。スーパー眺めるの、実は趣味の域に入りつつある。歩いていると普段気付かないところにあれこれ中小スーパーってご健在なのね。見知らぬメーカーの商品を発見したりと、マンネリ打破にも有効。今回は見知った某大手なので勝手知ったる、普通の買い物はせず、新発売の発泡酒を2つ調達。辛口、強炭酸、高度数と期待上がる仕様。
咲き始めだったか見ごろだったか、覚えていないのは桜を見ていないから。屋台が出て宴席が設けられた方には向かわず、川が見える散策路を歩きながらここでプシリ。ジョガーに遠慮して端っこを、川に視線を向けてひたすら歩く、缶を傾ける。広い公園を横断したところで1本飲み終わり。丁度人の往来の少ないエリアがあったので、そこで立ち止まり小休止。縁石に座り込んで、2本目へ。
咲いて間もなく寒の戻りがあったものの、この日は太陽が眩しくて日向はポカポカ。川は雪解け水で水量たっぷり。ボンヤリ眺めていると遠くの川沿いに桜が1本。花見イベントクリア。
昼酒は楽しいというよりひたすら心地良く、いい季節になったなと肌で感じる。こういう日はわざわざ出掛けんでも家で洗濯でもしながらチビチビ飲れば最高の休日なのに、とまで脂の抜けた年齢になり、ちょっと一人暮らしを懐かしく思うものの、例えば東京でもこういった風景やシチュエーションはザラにあるけど、この景色は学生時代から見知ったいつもの光景であり、歩いて帰れる距離に存在している。先ほどから早速小を催しているのだが、ここだとあそこ、あのコンビニでも良い。把握しているから家まで何のトラブルが起きても対応出来る。大安心の環境の中にある普段は見ない非日常。これは都心の一人暮らしでは望めないだろうなあと、望郷、郷愁の念を理解する。
悟ったようなピント外れのような、妙に高尚な気持ちで終始イヤホンを耳にすることなく、昼下がりの街中の生活音を拾いながら帰宅の途につくと、「社長、店決まってますか?」とキャッチに声を掛けられた。反射的に手を振って拒絶を示すも時間的に居酒屋では無さそうで。今のは風俗か?
内面の高尚さが面ににじみ出ていないものですなあ。休日昼間に物欲しげにほろ酔いで彷徨う中年親父に見えますか..。

もう無いであろうGWの10連休は、4日働いて1日休み、3日働いて1日休みとごくごく通常モード(週休二日になってないからちょっと忙しかったか)。なのにいつもと違う目に遭遇した。
夜中、従業員通路が閉められていたので外の駐車場を歩く。すると奥から車が急に速度を上げて近づいてきた。輩かよ..と多少身構えつつ歩いていると、やってきたのはパトカー。私有地なのにちゃんとパトロールしてくれてるんだ。こちらは残業で日越えの帰宅じゃ、と後ろめたいことが何一つ無いので構わず歩いて上に向かうと、見送るかの如く徐行して通り過ぎ、そのまま外へ出ていった。まあ見ようによっては侵入を企む不審者ですわな。これはまあ、納得。
後日。いつものように(実は久々に)コンビニの駐車場にてカップそばをすすっていると、パトカーが入ってくる。買い出しかね〜と思っていたら隣に停ま..らず、すぐさまバックして出ていく。あれ?俺見に入ってきた?後ろ姿が飲酒でもしているように見えたかしら。しかし普段と同じ行動をしているのに巡回遭遇2回とは、連休ならでは。休みに働く、ご苦労様ですと、職質まで至らなかったので純粋に感心したものの..。
ちょっと、ズレてるんじゃないの?すぐ近くの量販店の駐車場で輩が大騒ぎしてるがな..。1台しか停まっていないコンビニの駐車場で独り夜食を喰らっている中年をマークしてどうするよ..。


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