牛っ寺盛〜                      異星人ズ

(初出:第239号 17.5.20)

格安で手に入れた最後の一本、泡盛の古酒(を、さらに数年寝かせた代物)をどこで消化しようかと考えて、何も思い付かない連休に開ける事にした。
買ったはいいが度数43度とウィスキー並みで日々飲めるものでなく、泡盛=ロックが自分のスタンダードなのだが氷もなく。ウーロン茶で割るか、と考えていたら箱に「昔ながらの飲み方としてお猪口でストレートをちびちびと」書いてあり。
猪口ではまどろっこしいので豪快に紙コップでストレート。熟成が進んだせいか甘い。そして強い、熱い。半分くらい入れたけど、飲み干したら二日酔いかしら?とウィスキーの苦い記憶が思い出される。ただこの香りクセ、嫌いじゃない。スイスイ減らしていったら百均30個の紙コップ、厚みにムラがあって何だかうっすら浸み出してきているじゃないか。
慌てて代替品を探すと、前日飲み干していた缶コーヒーのボトル缶がある。洗ってないがえーい構うもんか、と移し替え。すると..。
コーヒーの香りが泡盛に移り、嫌いじゃない香りが一気に爽やかに。これは!!
大発見。缶コーヒーの買い置きが無かったので次回になるが、泡盛のコーヒー割り、これはなかなかイケそうだ。
翌日は隊長とようやくの新年会。いつも通りの馬鹿話に花が咲き、早速発見したこの話題を披露すると、何と某バーで同じように残波(泡盛)を持て余していて、クセがなあなんて言われていたところで丁度あった缶コーヒーで割ってみたら「!!」と。その後メニューに「ザンコーヒー」という名前が追加されたそう。
うんうん、やっぱりそうか、ストレートじゃしんどそうだと慎重に飲み進めていたから、これで割って順調に空けられそうだ。隊長の話では砂糖、ミルクの入った普通の缶コーヒー、これが良いとの事だったが、甘いわけだから砂糖代わり、ここはブラックで良いのでは?と自分なりの発見にこだわる。
ウィスキーならダブル2杯も飲めば翌日の体調に不安を感じるのだけど、泡盛はそれ以上飲んだところで全く影響無し(この日も久米仙3杯)。合う合わない、体質ってあるよね、なんて話をしながら、でもウィスキーも美味いよなあとハイボールをカパカパ。前日そんな久しぶりの外飲みだったというのに、翌日すぐに泡盛のコーヒー割りを試している。何しろする事の無い連休だから。
思った通り美味しい!ただ調子に乗ってダバダバ追加すると泡盛の風味が強くなり、そうすると度数が度数だからキツくなってしまう。ウィスキー並みのシングル、ダブルの割合が良いのかな、普通の缶コーヒーはどうなのかな、など考えながらも缶コーヒー、ボトル1本空いたところで本日お開き。無茶したつもりは無かったんだが。
翌朝重苦しい腹と(これは食べ過ぎ〜)頭で完璧な二日酔い..。夕方までこみ上げるゲップと嫌な汗を掻きまくる。こうなるかもと想定して連休に飲み始めたわけだが、結論としてはいずれ飲み過ぎは身体に毒と。
言うわけで連休中にボトル1本は空かず。古酒の熟成過ぎで封を開けたらいつまで持つのかしら?貧乏人の安物買いはやっぱり銭失い、になりそうな予感。

この飲み会で「ドキドキ〜」でも触れていた電子タバコを試飲させてもらう。直前にコンビニで当たり前のように「品切れ中」の看板が付いているのが、何故か付いていなくて、「え?入荷したの?どうする?聞いてみる?あるなら買っちゃう??」と逡巡した挙句見送っていたばかりだったので期待値マックスだったが実際は..。重い、熱い、焼き芋..。「こりゃ、無いわ〜」というのが正直な感想だった。
しかし電子タバコに切り替えた人は皆、さして不満そうでもなく火を付けることなく水蒸気を吐いている。買った動機が私と違うのだろうか。地元限定販売はさておいて、私が差し当たり必要に迫られているのは車、家での喫煙。臭いと灰で家人にギャーギャー騒がれているし、火が付いているから加齢と共に万一のボヤ騒ぎが心配。なので「切り替える」というより「飲み分ける」つもりなので味はどうでもいいんだが..。と思いつつ、ちょうどやっていたモノクラーベの「電子タバコ対決」をタバコを吸いながら観る。
国産とすでに出回っている商品の比較は、臭いが国産の圧勝でほぼ感じないレベルとの事。形状はどちらもスティックタイプでくわえタバコも可能?(隊長のはブリック飲料を握っているような形)。唯一の難点はタバコを吸った気がしない味わいのようだが、室内ではおとなしくパイポをくわえると考えれば問題無し。となれば、買い時は国産の全国販売開始時期か。現在福岡限定、次は東京限定らしい..購入前にオリムピック契機の禁煙の波に飲まれて吸わなくなっている?

チャンネル数増のコンテンツ増、ビデオ200本分超の容量を抱えて早や云年、テレビ視聴のわがままが止まらない。特番は家にいてもリアルタイムで観ることは無く、一旦録画し後日観ながらうたた寝したり、飛ばしまくったり。それで「視聴済みフォルダ」に入ってしまったら数カ月後に消去となって何の悔いも無い。月イチで丸一日分のCS番組が補充されるので音楽番組など寝る前提で再生と同時にスリープを掛けている。ルーティン視聴から外れている「ブラタモリ」もいつの間にか半年分くらい溜まってしまっていたのがこの調子で一気に消化。容量が3/4から1/2を行ったり来たりしている中。
年を経る度に下の方に澱固まっているのが映画。邦画を中心に20本くらいは溜まっているのではないか。観たいと思って録っているわけだが2時間見続ける気力が沸かない。2時間の特番は順調に消化しているじゃないか。前述の通り丸で真剣に見ていない。
しかし何故か録ったばかりで真っ先に観てしまったのが河崎実監督作品。以前たまたまザッピングしていてたどり着いた壇蜜主演の作品を観切れたので、今回の『アウターマン』も抵抗なく流し見の気楽さで「再生」したら。笑って笑って、泣けてしまった。
テレビのヒーローが現実に現れて、人気番組が実は地球を乗っ取るための周到な下準備だったという真実に気付いた面々が、番組中にヒーローを唯一追い詰めた異星人に(これも現実に居た)今度こそ倒してもらおうと画策する。のだが..。
ファンが夢想するような世界観にお約束ご都合主義を平然と並べた極めて馬鹿々々しい展開に爆笑しつつ、これもまた安直なドラマ仕立てのやり取りで何故か笑顔のまま涙が止まらなかった。というのも、途中で「マイノリティー賛歌」というテーマに気付いたから。正義の味方と疑わない一般市民=常識に、真実を知り異を唱え戦いを挑む彼ら。
「人魚なんていないというのは間違いである。私は一人知っている。手を繋いだことがある。」
懐かしいロバート・フルガム「私は人魚」の末文。常識からはみ出てしまった人に対する理解と愛情。この一節を思い出すだけで涙を流すことの出来る私は、この作品で泣かないはずが無い。
観終わって全く何も残るものが無い典型的なコメディ作品だったが、久しぶりに涙腺が潤って気分は爽快だった。
コンテンツとして、途中興味が沸かないものでも仕様無し見続けて結果、いつの日か役に立つ基礎知識となっているかも知れないから録画したものはきちんと観切るべき、と思いつつ、飽きない見せ方というのもこのようにあるんだよなあと自身の活動を顧みてみたり。

まあ(大勢に影響しないから)いいか。


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