素人雑感・携帯版


(初出:第157号 10.5.20)



連休が入ると上京するのが私の常、であります。といって観光買い物は全くせず、友人宅へお邪魔して、単純に言えばおしゃべりして帰る、という旅。
今や通信によって距離はどんどん縮まっている時代。電話も友人間無料のプランがあるし、チャットなんてのも覚えれば。それこそ、毎日でも会話は可能。しかし普段はほとんど音信ナシ。やっぱり、会って話すのが楽しい。
そんなアナログ派の私ですが、今回は携帯一つで行けたんじゃないか、いや寧ろ、携帯だけは持っていかないといけないなと感じた旅路となりました。そしてネットの有用性も再認識した次第。デジタル万歳!と諸手を挙げて称賛したり、ケータイ万能説を唱えるわけではありませんが、何だか色々と便利だぞと。気付いたことを、たまに反発、私見も交えて申していきたいと思います。

初日。新幹線に乗ったところで方々へ日程の確認をメール。いつも思うんだけどあれだけの高速移動中に何故メールが送受信出来るのか不思議。トンネルに入るとちょっと慌ててしまうがちゃんと送信は完了される。頭の中のイメージで、どうしてもデータが矢印状→にアンテナへ向かっている感覚なので、急速に遠ざかるor遮断されて大丈夫なのか?と思ってしまう。その為のアンテナがいたるところに設置されているんだろうけど、ドライブしててトンネル内でラジオが途切れる、隣県でいつものラジオ局が聞けないなどの体験をしているからなんでしょう。電波って、何となくそんな把握しやすい性質のものだと思っていたのに..いつの間にか底の知れない全貌を現してきましたね。5日目の蕎麦屋でそんな話をしたんですが、原理は全く変わっていないのに、システムがこちらの処理能力(理解の範疇)を超える機能を持っちゃっているので何とはなしブラックボックスにしてしまっているな、と。一般人として別にその職に就きたいわけではないから、専門的な知識を身に付けるまでには至らずとも、せめて仕組みくらいは知っておいた方がいいと感じています。じゃないと、結局はプロにいいように振り回されてしまいますからね。知っている、知っていないの乖離が大きくなればなるほど、付け入る隙が出てまいります。..トンネルでメール送信を躊躇するようなレベルの人間ではさすがにマズイですな。今後は科学書も嗜んでいかないと。
さて仕事終わりの今日の泊まり先と、横浜の某駅前で待ち合わせ。こちらは8時くらい?という言葉だけで夕方フラリと家を出る。一応東京着の時間を少し修正(出るのが早くて着くのが遅い便に乗った)して7時半、目的地着。先方は携帯で到着時刻をチェックして、1本(8分)遅れの便で到着。学生時代は待ち合わせ時間に家を出る、といった言語道断の所業が日常茶飯事だったのが、今やビジネスマナーを身に付けた立派な大人に..なったもんです。とはいえいつもは仕事が押して1時間は待たされるのが常なんですけどネ。仕事さえ順調に済めば、こちらの到着時間に合わせてタイムラグはほぼ解消されると。今回ようやく実証されました。

2日目。近郊にスーパー銭湯(日帰り温泉)が2軒あって、今回はどちらにすべえと言っていた矢先、駅前で少し遠い場所の送迎バスが出ているのを目撃。これはいいかも!と早速ネットで検索。結局時間が合わず、しかも遠すぎるということで見送ったものの、次回は行くかも知れず、収穫でした。バスを目撃したのはアナログながら、即詳細が調べられるのはデジタルの強み。バス停には出発時間しか出ていないから、勢いで乗っちゃってたら帰りがエライ遅くなるところでした。何の制約も無ければ、それこそ初めての場所へ地図も持たず車で向かい、道に迷った挙句夜更けに温泉に入って夜中に飲み始めるなんて強行軍を..実はその前の週にやらかしている我々なんですが(急な出張で来仙し、一泊していったのです)。待っている家族がいるので、そこは分別のある大人、無謀無茶な日程は今回は組みません。この辺りはアナログの醍醐味とデジタルの利便性、上手く使い分けられているんじゃないかと自画自賛しておきます。

3日目。横浜から東京へ移動。勝手知ったる路線の、降り立つ駅が1つ手前なだけで位置関係があやふやに。橋の上に掲示されている地図をしばし熟視、してようやく落ち着きました。携帯のナビを利用すれば迷うことなく目的地までたどり着けるんでしょうけど、これは時間に追われたビジネス向けで都内では必要ない感じ。コンビニさえあれば地図売り場にて所在地、目的地は確認出来ます。周辺を巨視的に見れて、位置関係を掴むのは携帯画面では心もとない気がする。
お昼を呼ばれた友人宅でアイフォーンとご対面(ご子息とも初対面でしたが..)。無料になって誰も彼もと言う割に、周辺で見掛けて無いのだけれど、電話とは別物でということなんでしょう。やっぱりソフトや機能の充実&くだらなさっぷりは噂通り。今さらながらマック(イズム?)から離れてしまったことに一抹の寂しさを覚えました、が。後日秋葉原にて中古マック市場を視察したところ、一昔前の廉価版は見かけられず。やっぱり縁が切れてしまった感じです。そういやパッドどころかアイポッドも未だに持ってないや..。旅先の、というより移動の際の音源も携帯で足りています。リスモはすでにCD6枚分入っていますが、まだまだ余裕アリ。普段聞かないのを入れてあるので、300分超の音楽があれば充分充分。

4日目。帰宅予定も早々に延泊することにして、着替えを買いに駅前へ。途中銭湯があり、寄ろうよとなって開店時間を確認。いざ時間となって行ってみると..シャッターが閉まっている。隣のコインランドリーに張り紙があって、3月末にて閉店しましたと..。近くにもあったはず、あきらめきれずに向かったら、ここも閉店告知は無いものの、あきらかに人気も無く。勿論シャッターは閉まったまま。住宅街なので決して周辺全部が無くなるはずは無いのですが、行ったことが無ければ場所など分かるわけが無い。無無無。一旦家に帰ったものの、やっぱりその気はおさまらず、結局だいぶ離れたところの銭湯へ。先日行ったのだそうで、さすがにここまで足を伸ばして定休日に祟られる..ことはありませんでした。ここも寂れてお客はまばらながら、一見としては有難い限り。のんびりじっくり浸かって大・満・足。家に帰ったのだからネットで検索してみれば近くにある銭湯を発見出来たのかも知れません。情報をネットで拾う習慣が身についてない証左ですな。夜にネット通販の話題になって、個人的にはこれが欲しい!というのをすぐに入手出来るが、それでは自分の知っている範囲のものしか手に入れようとしないのではないか、いわゆる出会い買いのような視野の広がる機会が無くなってしまう、と否定したものの、考えてみれば銭湯は行ったことのある場所しか回らなかったわけで..どっちもどっちと言えなくも無い。
風呂から上がって別口の飲み会に、新宿待ち合わせで目の前の駅は果たして直通なのかしらん?地下鉄となるとその辺がさっぱり分からず、またもコンビニへ。地図には路線図が付いていますからな。そうしたら、乗り換えで結構手間と分かる。帰り道の途中に大江戸線の駅があり、そこから乗ることに。ここからおおよそ30分と見込んでいたら、お呼びが掛かったのが7時過ぎで、7時半集合と。どうやら新宿でフラフラしていると思っていたらしいが、ともかく慌てて向かう。着いたのは7時45分で、ほぼ推測どおり。距離感と所要時間の感覚はまだ鈍っていないようで、ここは携帯に頼らずとも問題無し。何より、たいてい待ち時間無しで電車が来るから東京は良い。帰りも来た電車が快速で3つ先の駅にしか止まらないんだけど、次の各駅停車が20分後だったので飛び乗る。そうして、この時間各駅停車しか走っていない上り線で後戻り。着いたのは下り各駅停車の着く「前」。携帯では教えてくれないであろう、こんな裏ワザが使えるのも東京ならでは。
その、新宿の飲み会でまたもアイフォーン。持ち主はツイッターをやっているそうで、いろいろフォローも入っている。アナログ人間として世代遅れ、時代遅れは何となく感じているところで、ネットに関しても今やブログにコミュニティにツイッターと、分秒単位でメッセージが送れる状態。月イチ更新のHPの存在意義は..と、少々弱気になってしまっていて、その辺り悩んでいる話をしたのですが。方々からお叱りを受けました。こうやって、書きたいことがある日々なのですから、結局は続けていくのでしょう。本音としてはツイッターのコメントを眺めていて、レス返すの面倒だな..と思ったり。姿勢は相変わらず難あり、問題大ありですか..。

5日目。帰るつもりだった日。この日こそ、携帯の必要性を痛感した日はありません。
小雨の中、ひとまず駅前へ。家主が病院で診察なので、小一時間喫茶店で待つことに。家を出た時、携帯を持ちませんでした。単に朝食を食べに出ただけだったので、まあ、いいやと。
途中で別れ、アーケード端の喫茶店を待ち合わせの場所に。コンビニで立ち読みなどして、そろそろかな、と件の喫茶店へ。ボンヤリ待つこと..30分。あれ?遅いな..。まあ混んでりゃそんなもんか、別に焦ることは無いのですが。何しろ携帯を持って来ていないから、こちらが動くわけにはいきません。新聞でも買ってくりゃ良かったとは後の祭り。しょうがないので、このまま来なかった場合を妄想シュミレーション。一応物書きですから、トコトンまで考えます。そうなると、結構マズイ展開も浮かんできました。万一待ち合わせ場所がここではなかったとする。電話番号もすっかり覚えなくなって、分からないから連絡は取りようが無い。階下がダイアルロックになっているので、部屋までたどり着けない。最悪このまま帰って、荷物を後で送ってもらうか..など、考えているところで、やあお待たせ。
場所を変えて朝食中。お互い休み(家主は怪我で休職中だったんです)なんだからもう一泊すればいいじゃない、行きたいとこ行って明日はのんびり帰るだけにしたらいいよ、なんて流れになり、雨降りながら実に珍しい、観光へ。スカイツリーの話題を来る前にしていたので、ちょっと見てみようかなと。そこで、そのまま電車に乗ってしまいました。
携帯を持ってこなかったので、家主の携帯で写真を撮ってもらうことに。カメラマンと助手みたいな感じで、こちらは傘を持ち家主はパチパチと。そのデータはメールで送ってもらうことに。しかし結構な量になりそう。しかも下手な圧縮掛けられたら困るなあ、と、今さらながら不携帯を大後悔。でもまあ同じ会社のだからたぶん大丈夫だよ、なんて話していて、ハタと気付く。赤外線でデータのやり取りって出来るんじゃない?まさしくその夜、写真は転送ポン、で済みました。赤外線なんて、合コンでもしない限り使わない代物だと思ってました..プロフィール交換のためのツールぢゃなかったのね。
その後せっかくなので浅草へ。中学校の修学旅行以来、いやもう一回くらい来たことがあるか、なんて場所ですからもうもう方向感覚は完全マヒ。同じようなアーケード街をぐるぐると、昼飯にしようかと言ってもどこがいいのやら。名物っても柳川鍋とかはなあ..ということで、結局私のそばが食べたいというリクエストでそば屋へ。ここが全個室の夜は飲み屋も兼ねる店で、ランチもやっていて安くて居易く大正解だったのですが。こういう時こそナビの出番、だったんでしょうねえ。しかも翌日コンビニで東京ウォーカーを見かけたら特集がズバリ浅草で..名物料理の店がたくさん載ってました..。まあ、そば焼酎の蕎麦湯割りなんての飲んで、昼からご陽気になりましたが。
雨が止んだので、そのまま上野〜秋葉原までちぃさんぽ。一杯引っ掛けて、ついつい話しに夢中になり、気が付くとここはどこ?という状態。家主はバイクであちこち走っていますから、大通りに入ればすぐに分かる。移動ルートは完全にお任せ。従って後を付いていくわけですが、ともすれば露店やワゴンセールに足が止まってしまう。しかし気付かずに行ってしまわれると、連絡出来ないのではぐれることに。そんな状態で、ひたすら離れずで半日歩き回りました。さすがに独りで途方に暮れることは無いものの、携帯一つでここまで不便と感じてしまうかなと。電話や住所録、メールにカメラに、移動時の暇つぶしに音楽やゲームまで。考えてみれば衣類は現地調達出来るから、今回のような勝手知ったる場所には、財布(お金)と携帯だけ、つまり手ぶらで行けるわけです。お金もおサイフ機能でイケルのか、携帯は何にせよ不可欠と、そんな旅行スタイルになっているんです。

その夜。我々の間でずっと話題になっているCMを観ようとテレ埼(いまはテレ玉だそうですね)にチャンネルを合わす。
実名でいいよね、龍前住建という会社のCMなのだが、私が在京時代から流れていて、内容はともかく小雨のパラつく曇天に撮ったらしい映像が極めてユニーク。天気待ちってグラビアとかでも良く言われるから分かりますよね。そりゃ晴れてた方が絵面は良いに決まってます。なのにこのCMは..もちろん曇り空の必然性は全く無し。何でわざわざこんな日に?そんで使ってんの?と思わず突っ込んでしまう。そして今、そのニューバージョン(話の流れ的には続編)が流れているそうで、こちらをまだ見たことがない。家主の説明によると..ロケーションは共通で、川の土手でのんびり釣りをしている。今回はちゃんと晴れている!晴れているんだが今度は..あまりに天気が良すぎて、川面の反射光が登場人物の顔をテカテカと..照らしているのだそう。そういうのって、ちゃんと調整するのが常識なんですが、前回といい今回といい、気ぃ使わな過ぎ!いや、これはもはや明らかに狙っている!作ったのは超一流のクリエーターで、地方CMの話題賞を狙ったんだ!と思わず深読みしたくなるほどの秀逸なお粗末さなんです。
思わず語ってしまいましたが、急に見たくなったものの、そうそうタイミング良く流れるはずもなく。そこでやっと、動画載ってるだろとパソコンを付ける。
ユーチューブで検索かけて見るもダメ。会社のHPも映像は流しておらず。検索ワードを徐々に広げていくと、「てれたまでよく見かけるCM集」を発見。ビンゴ!ようやく新作を拝めました。しかも前作と連続で収録されていて、雨降ってる!照かってる!と大笑いで突っ込み入れられました。
そこから笑える映像つながりで、家主が教えてもらったという「サザエさん逆再生卵」なる傑作動画を見る。百聞は一見に如かずで、説明はしませんが普通に見ても何となし笑える迷作の回が逆再生によって物凄い台詞の応酬になっている。涙を流しながら大爆笑。こういうのは勿論、テレビで見られる内容ではありません。さらに付けっ放しのテレビで深夜アニメをザッピングしていたらロボットアニメの話になり。また家主が私より二世代くらい前の、個人的に大ハマリな作品群を良く知っているものだからスパロボの主題歌集を引っ張ってきて深夜の大合唱に。
かつてはこういう、話の流れで急に見たく、聞きたく、読みたくなる作品、人に勧めたくなる作品というのはソフトを所持、持参してはじめて共有することが出来たものです。しかし今やネットにつなげれば(少々高価くつくけど携帯でも)、即座に入手披露することが出来る。さすがに全てとはいきませんが、とにかく自宅にブロードバンド環境というのはそれだけでとてつもなく巨大な資料庫を完備することになるわけです。これは大きな資産価値を持つものですが、結局はそれを利用できる下地が必要と。つまり導入に関してはやっぱりアナログな方法で培ってきた知識経験が無いとどうしようもない。その土壌が積もり過ぎて下のほうが掘り返せなくなってしまっている我々にとってはズルズルと芋ヅル式に引っ張り出せるネットの有用性を、今ようやく享受しはじめている状態。ネットを始めたての頃は、それこそサルのように毎晩..なんて表現をしましたが、今や常時接続がネットの主流、一日中..ってのが当たり前の時代ですからね。ネットを介した情報のやり取り、もちろん個人での収集が、今後益々増えていきそうです。
ついでに翌朝、ワイドショーを見ながらかつてのバラエティ談義。「笑う犬の生活」に出ていた女優さんの名前が出てこず。年だなとは思いつつも、やっぱり出ないと気になるもの。どうしても、出て来ないのでついつい携帯で検索してみる。するとあっさり出てきました。それで、ベッキーも昔バラエティ出てたなと、何だったっけ?これもまた出てこず、携帯で今度はベッキーの経歴を調べたらあっさりと。こういうのも昔は記憶が蘇るのを待ったものでしたが..記憶を記録として無尽蔵にしまっておける、ネットのデータベースはどんどん密に広大になっていますね。常に正確さが課題として付きまといますが、個人利用については問題は無いでしょう。少なくとも、何だっけ?と思い出せずにいる内容に関して検証する場合においては。
ただし先にも述べたように、ネットに蓄えられた情報に対し、その中身を理解できる基礎知識を持っていなければ、波に乗れず渦に巻き込まれて流されるだけになってしまうような気がします。ただ面白い、じゃなくて、なぜ面白いのか、まで考えが及ばないと、またそれに対する答え(解説)が出ないと、知り得た情報もさっぱり身に付かないのではないかと。たまに意味も無く深入りして夜更かししてしまう自分へ、自戒を込めて。

延泊の2日間は、現地で買った服を着て、着替えたものはコンビニで段ボールをもらい、宅配便で自宅へ。帰りのバッグには携帯と充電器くらいしか入っていませんでした。いや正確には文庫やら携帯灰皿やら飴ガムetc...言っても手ぶらでとはいきませんけど、普段の休日に歩き回る程度の装備で上京して連泊しているのが近年の状況です。しかし繰り返し、携帯だけは必須アイテムですね。普段は不携帯でたまに置きっ放しで外出orバッグに入れっ放しな私でも、明らかに依存に向かっているようです。これは悪しき傾向ではなくて、必要な機能が一つに集約されていっているだけのこと。より身軽に、より手軽になってきているのですから、歓迎される未来像と言えるでしょう。ただ携帯が止まってしまうと弊害が計り知れないことだけ、ちょっと気を付けなければいけないかも。それこそ、携帯が無いから外出が出来ない!なんて未来も有り得るのでは??



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年末に地デジを購入..