素人雑感−地デジ前年−

(初出:第164号 10.12.20)


予算とスペックは早いうちに決まっていたので、後はどれだけ安くなるか、あるいはグレードを上げられるかと楽しみに待っていたのだ。予想通り型落ちが出てきてしめしめ、と、思っていたのが3月ほど前。これで年末には「いい買物」が出来そうだと思っていたら。思わぬ落とし穴が「エコポイント半減」。今にして思えば大した影響では決して無かったのだが。買おうと思っていた時期が1月ほど早まっただけ、むしろいいきっかけだと、その時点では思っていた。電子マネーに交換すれば実質値引き扱いだからやっぱりフルでもらいたいもの。それで1週ほど前に下見に行き、買いたい機種をほぼ確定する。その時に買えば良かったのだ。古いテレビのリサイクルやらで、連休の時のほうが良いと考えたものだから..機を逸してしまった。
一週の間に、状況が一変してしまう。まずは超破格値の掘り出し物を見つける。限定予約で生産終了の型落ち品。しかし..サイズが、大きすぎる。諦めきれずに部屋で採寸してみたら、やっぱりデカすぎ。自分の中で年々テレビの存在価値は下がっているので、そこまでのものは欲しくない。それでスッパリ諦めたつもりだったが、価格はどうしても意識してしまう。つまり予算の上限が、一気に引き下げられてしまった。勿論個人の思惑内ではある。
そして連休初日。午前中に古いテレビの配線を取っ払い、念入りに掃除も済ませ、本当にフラッと出掛けてすぐ買って戻るつもりで、意気揚々と家を出る。近くにある「大型」家電量販店に行き、愕然とする。あったはずの、買うはずの機種が影も形も無い。それなりに繁盛しているはずの店なのに、その近辺は軒並み空っぽで..閑散とした、閉店セール終盤のようなコーナーに。気を取り直し、駅前に出る。下見も駅前でしたので、そこにはあるはずなのだ。何しろつい一週間前に見ている。車停めづらいからと郊外店にしたのだが、この際そんな贅沢は言ってられない。慣れない立体駐車場だろうが何だろうが構わない。ちょっと、浮き足立って向かったところ..。平日なのに何だこの人込みは!そしてここもまた、あったはずの機種がキレイに存在を無くしている。代わりに置かれている機種の前には、「商品入荷は1月初旬」「2月末」などのPOP..。冗談ではない、今日、新しいテレビが観られると思って部屋を片付けて来ているのだ。しかし「持ち帰り可」の商品は、自分の要求しているものとは程遠いものばかり..。小さすぎるのも嫌だし。
意気消沈して車に戻る。つまりは「駆け込み需要」なのである。後日談だがその週末にはテレビも新聞もまさにその状況を報じていた。待った挙句が品薄の超売り手市場へ乗り込んでしまった訳だ。「限定予約品まだ間に合うかな?」とチラと思う。しかしそれもまた、間に合ったところで商品を手にするのは1月後の話。今日、新しいテレビを部屋に入れるつもりでここまで来た以上、あっさりと引き下がりたくはない!
完全に舞い上がった、テンパッた状態で、次に選んだのは隣町の店。街中がこうでも、田舎なら意外と残ってるんじゃ?という浅い考えである。ところがこれが、意外とビンゴだった。それでも2軒、回ったけれど、そこには確かに、自分の欲しいスペックのものがそこそこ残っていた。しかし..価格である。新商品ばかりが残っていて、それなりの価格..グルグル回っても、結果は同じ。当たり前。そこで、要求スペックを変更する。ハードディスク内蔵型を所望だったが、この際外付けHDDでもいいかと。そうなるとテレビだけで予算内(頭の中で下げられた)のものが2、3ある。外付けはお幾らなのかしらと、探してみたがどこにあるのか分からない。ここでようやく店員さんに声を掛ける。すると「純正品だと2万くらいしますが、半値でサードパーティの結構出てますよ」との事。テレビ+1万弱か、そうすると小さいの買わずに済みそうだな..と妥協しかけるが、やっぱり当初スペックが捨て切れず。店員さんにその旨を伝えつつ候補を絞り込んでいくと。価格的に予算オーバーの、買うつもりだった機種の1サイズ小さいものが、最新価格調査を反映させると表示価格より一気に3万円下がった。予算的にはそれで問題無い。本音はしかし、生産終了のこの前のシリーズなら同価格で1サイズ上だったのに..掘り出し物よりサイズ3ランク下で5千円高いのかよと、泣く泣くではあったが、「持ち帰れますよ」が決定打だった。
平日だというのに1時間弱、手続きを待たされながら、「コレで良かったんだ」と念仏のように唱えつつ、ともかく地デジ購入となった。

こんな顛末で、完全に煮え湯を飲まされた気分でいたのだが、溜飲を下げられたのはこれでもまだ間に合った方で、週末以降は完全に商品が無くなってしまっていたと伝え聞いたのと、部屋に置いたら意外とサイズ、間に合ってたということ。今までが今までだったから(1X型テレビデオを何と13年使っていた)、考えてみりゃ横長テレビってだけで充分なグレードアップですな。

さて、デジタル放送である。BSの入らなかった時代からチャンネル数が一気に倍増する。近年は前述の通りテレビへの関心がどんどん薄れつつあって、欠かさず観ている番組はすでになく、朝にワイドショー(ニュース)を出勤まで流しっぱと、ゴールデンタイムにザッピングする時がある、というほどに。勿論新聞でまず目にするのはテレビ欄であり、日々何かしらは観ているのだが、観られなかったらそれまで、何とビデオ導入以前の感覚に戻ってしまっている。新たに追加となるBSの欄もチェックしていたのだが、どうもその..コンテンツが増えている感じがしない。それなのにデジタルテレビを新調しなければならない辺りが購入姿勢に表れていたのかも知れない。待っていたのではなく、買い渋っていたのだろう。その点では「エコポイント半減」はいいきっかけであった。今やお目当ての型落ち品はほぼ売り尽くされ、年が明ければエコポイントの対象ですらなくなってしまう。年末の買い時は11月末までだったのは間違いないところ。返す返すも、下見の時点で即購入に踏み切らなかったことだけが悔やまれる..いや、あるいは来年の買い時を狙うべきだったか..と堂々巡り。
そんな、いわく付きのテレビであるから画質音質どうでも良し。唯一楽しみだったのはCSが一週間お試し視聴で観られること。これは居間のテレビが地デジになった時に知っていたので、自室で気兼ねなく観まくれるのが念願だった。丁度連休明けはしばらく休みなしのシフトだったので、夜はひたすらテレビを観ようと決めたのだった。
CSの良いところは、勿論専門チャンネルの充実であり、もう一つ気付いたのは、番組中のCMがほとんど無いこと。ドキュメンタリーを結局NHKで観ることが多いのは、つまり雰囲気を壊すことなく結論までたどり付けるからだと気付く。ナショナルジオグラフィックでの宇宙の話はBSでも特番でやっていたが、合間の全く関係の無いCMが実にわずらわしい。そこをじっと待つ前に、手がどうしてもザッピングに走ってしまうのだ。最近どうも映画とか、2時間ずっと観続けることが出来なくなっているなと思っていたのだが、理由はつまり、そこにあったようだ。ずいぶん前に勧められていたサスペンス映画、「バタフライ・エフェクト」など、加入案内の画像が左下4分の1にずっと居座っていて字幕がほとんど読めない状態だったのに結局全部観てしまった。面白かったのは当然ながら、グッと入り込める環境がCSにはある。(ただしこの字幕が読めないのにはさすがに閉口して、以降は吹き替え版しか観なくなった)
そしてレンタルですらもはや観ることが出来ない昔の番組を次々と観られるというのは課金制チャンネルならではとつくづく感心した。ニコ動などでオープニング映像くらいは入手出来るものの、内容は知らなかった懐かしの特撮、アニメは実に馬鹿々々しく、爽快だ。スタッフロールも楽しい。何しろ大御所連の駆け出し時代だから知っている名前が続々と。新作が出続けている以上、懐かしのといっても徐々に年代が上がってくるのだろうけど、それでも黎明期の作品は繰り返し掘り返して欲しいと、切に望む。まだ見ぬ旧作は星の数ほどある。それらが平易に見られるのは、もはやCSしかない。「仕置人」から「バトルホーク」を観笑しつつ「空手バカ一代」を待つ。何という贅沢!

ここへきてちょっと余談。隊長の彼女さんはスカパー加入してますな?「スタトレ」、新旧と深夜にやってますね。毎晩やっているので何となく観てましたが何でだろう、海外ドラマって一度観出すと止まりません。ついつい最後まで観ちゃう。さすがに加入まで踏み切れないけど、ハマる要素は充分にありますね。
そう、CS素晴らしいとさんざん言っておきながら、結局無料視聴が終わればそれまでだった。月4千円ほどはまあ、問題ないけれど、生活サイクルに深刻な影響を及ぼすのは必至と、改めて分かった。テレビから離れられない。それは私の場合、致命傷になってしまう。
というわけで、地デジ購入から一月ほど経過した今..。あれ?購入以前と全くテレビの見方が変っていない。相変わらず朝はワイドショーを流しっぱに、「新聞」を見て今日のお目当てを探し、間に合わなければそれまで。あれだけ懇望した内蔵HDには..岡村復活の「めちゃイケ」1本が録画されているのみ..。

テレビへの関心がそれほど戻らないまま、いよいよ地デジ元年を迎えマス。



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