社長のみなさん!7月ですよ!         広瀬 浩四

(初出:第111号 06.7.20)

いつぞや隊長(本誌執筆人、アトミック海口氏)が近況でファミスタの成績を送ってきたので(87試合時点でマジック3♪独走首位で2位と42ゲーム差。松井は打率.492、ホームラン54、打点142)、こちらも思わず懐かしいフレーズをタイトルに。といってこれらは今年も新作が出ているお化けソフトだけど。桁違いの処理能力を有したハードでも、やっているのはかつての延長線上にあるようでちょっと安心。
そこはかとなく前回より続く。
ゴルフの協会CFを引き合いに出してマスを絞ったのもアリでは?という提案をしたら、直後に行ったCMフェスティバルですでにその傾向が現れていた。静岡の作品が今回大賞候補で最後まで争っていて、結局は万人受けでないという権威付けの真っ当な理由で某国際的飲料メーカーの商品が競り勝つ。しかしこの地方CM、アピールする社名、ジャンルが全く不明で、ただ啓蒙家の如く世の不正を挙げ連ね、それを正す名も無きキャラクター(オジサン)を全面に推した内容。まあ御当地の人々にとってはそれで企業が想起されて業務内容とのギャップで笑える、印象に残るという意欲作な訳で、これはここ数年来の名物シリーズらしく今回大賞を争うまでになったようだ。
対して地元広告賞はいつも通りの老舗オン・パレードで格調高い、教養溢れる内容。「低予算でも、大手製作でなくても全国区で通用するCMが出て来ている」という総括を聞いたのだがここ御当地ではクリエイターの努力以前にクライアントの了承を得る方が大問題と思った次第。関西ほどの許容はないからね..不毛の地という響きが久々に実感されマス。
CM絡みでもう一ネタ。「おさいふケータイ」機能の付いた900シリーズのCMに嫌悪感を覚える私は病んでるの?←置いといて。どうもその、「欲しくない?」「ハイ、どうぞ!」「じゃケータイで」というやり取りが短絡的というか節操無しに思えて仕方ない。実際一日出歩けばその位の出費は当然で、15秒に凝縮されているから即物的に見えるのだろうが。それとあれだ、望む物(店)が飛んでくる演出が悪いんだ。突発的な購買意欲に対応出来ますよ、とだけ唱っていて対価(代金)が発生しているようには見えない。何がお前をそうさせるんだ!?というくらいに「アーイースー!!(買って!!)」と泣き叫ぶ子供を散見していて(いつの時代でも見られる光景だけれども)、この便利機能が提唱する近未来の新しいライフスタイルには少々危惧を抱いてしまうのデス。すぐに見かけることが無くなったけど、やっぱり..?(蛇足)
先日久しぶりに会った知人と飲んでいて、特撮話で大分盛り上がった。深夜枠でかなり面白い作品が多々あったらしく、放映が無かったかあるいは見逃したので歯がみしていたら、有名どころも今年は注目らしい。深夜アニメも今クールは面白そうだったのだが気付くのが二歩くらい遅れた感じ。やはりエア・チェックは定期的にするべしと反省しつつ..次節。
だいぶ前になるがNHKスペシャルでサイボーグ技術の最先端を見た。立花隆がずっと追っているシリーズで、好きで見ているのだが今回は先見の明ということで押井守の映画「攻殻機動隊」及び続編「イノセンス」がフィーチャーされ対談がメインになっていて二重に楽しめた。ただ一点、「義体」という言い回しを何故使ったかについて答えていた箇所が編集されていたのは気になった。それも道理で原作を読んでいればこの単語が漫画「攻殻機動隊」に出て来るもので、つまりそもそも使ったのは作者の士郎正宗であり、出自を改めて読めば(彼の)造語ではない事が分かる。その流れを説明しようとしたところからカットされ、「..つまり義肢、義足などと同じような表現法です」という推測(!)のみ語られたようになっている。勿論本筋から外れてしまう内容なので編集は妥当とも取れるけれど、ちょっと困った顔になった監督の表情が印象的だった。テレビというものを漫然と見ているのは馬鹿げている、これは良い見本と言える?
ああ、ウィンタースポーツ好きなんだなあ。と、トリノ五輪が終わって気付いた。考えてみると幼少時毎週末ジャンプ大会がテレビ放映される地域に住んでいたのだから競技への関心が高いのは当たり前、か。だからこそ、黄金期を知った上での凋落を嘆く前に世界レベルのハードルの高さは承知している訳で..。選手の場違い勘違いぶりもひどいもので、それはナイナイ岡村がラジオで喝破していたので溜飲が下がったが、そもそも長野での数々の奇跡はホームだからこそ起こった出来事で、毎シーズン行われるワールドカップの戦果を見れば実力で表彰台に上がる事がどれだけ難しいかは戦う前から分かっているはずなのだ。寧ろメダルには届かなかったが4位、あるいは8位入賞など、これこそが今期オリムピックでの日本勢の正当な実力を遺憾なく発揮した成果であって、大いに賞賛すべきものである。実況アナウンサーの一言「これで何か間違いが起これば日本のメダルが確定します!」という辺りに本音は現れていた。
期せずして、サッカーW杯も終わってみれば(悪い方の)予想通り。ただこちらはもうちょっと、何とかなったのでは無いか?..と、あくまで素人評。
今年は半期を待たずに映画を結構観ている。といってテレビ放映がメインだけど..。2000年以降の作品で、観たい、か、なあ、と思っていたものが登場してきたからだろう。「ロード・オブ・ザ・リング」は実に久しぶりに全シリーズを観た作品になる。(架空)歴史大作らしい精密な描写に興味があって、ストーリーは二の次だったのだが、主人公の度重なる苦難に呆れるを通り越して感心してしまった。人間が主人公なら逆に興醒めだったかも知れない、ホビット族が強靱な生命力を持つ、と勝手に設定して納得した。そうすると、フロドは「指輪物語」の作者(=主人公)としての存在感が確立されるのである。主人公足るもの7度死ぬ目にあっても全てくぐり抜けねばならぬ。これは大いに参考にさせて頂く。
邦画というとどうしても昔の作品が良い、となってしまう。近年のタイトルは北野作品であっても見過ごす事の多い中、やっぱりこの人の、好きだわあと再認識したのは井筒監督の「ゲロッパ!」。最初の掴みから笑いっぱなし。笑って笑って、最後に泣けて..と、終盤の西田敏行(役名ド忘れ!)がJ・B(のソックリさん)に成り変わってという件が少々唐突過ぎてうーん、と思っていたら、ラストはもう一捻り、あって最後のどんちゃん騒ぎで締める。改めて再会を喜ぶところで終わりだと思っていたから前述の不満が出たのだが、描きたかったのは最後の大団円であったか..ならば良し。ヤクザとしての悲哀なんて関係ない、これはコメディ作品なのだから。
温故知新。久々にヲ心をそそられたのが西村しのぶ公式ページでのリリース、「メディックス」の単行本化。6月30日「頃」、小学館IKKIコミックスシリーズで刊行との事。慌てて「IKKI」誌を手に取れば、なる程「俺、医者になる」のアオリで告知されている。今さらの感無きにしも有らずながら何年ぶりかに発売日が待ち遠しい。6月30日、ひとまず帰りに手近の書店に寄ってみるも..無し。多少の憤りと新古書店の弊害(に、一枚も二枚も噛んでいるという事実)を省みながらこの日はあきらめる(雨降ってたし..)。翌日別件で同じ本屋に寄ると..ありました!新刊にふさわしい真っ白な表紙を、手に取り迷わずレジへ。実に14年ぶりの再会であります!(90年〜92年、BCスピリッツ不定期連載作品)
とにかく思い出があり過ぎて、書き出せば色々あるのだけれど。現在の作者は「消えた〜」でもなく健筆を奮っておられるのだから。ここは後書きにあるように当時のイズムを継承している連載中の諸作品をこそ注目すべきとオールド・ファンには呼び掛けたい。女性誌でのファンにも気後れせず手にしてもらいたいところ。勿論、未読の方は是が非でも。



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