今日もどこかで怪人退治           GARRYDER

(初出:第117号 07.1.20)

これ前に書いたことあるかな?
サブリミナルCMをご存じだろうか?アメリカで、映画の前説中にコーラの画像を瞬間的に断続的に流したところ、売り上げが上がったとされる潜在意識に訴えかけるという宣伝方法の事である。この実験に関しては少々眉ツバものなのだが..現在でもテレビで放映されていること、ご存じか?
気付いたのは10数年前、学生時分である。深夜番組を録画していて、フト気になったのがCM明けに一瞬写る別CMの映像。地方でキー局の番組を放送する場合、CMは地方独自のものに切り替わる。ともかくそれで、多少のタイム・ラグが生じ次のCMあるいは前のCMの最後がチラッとだけ流れてしまうことがある(あった)。ただその時の映像は、見た事のない「絵」であったから気になってコマ送りしてみたところ..現れたのは電車の車内広告のような..今で言うと山手線の車内テレビで流れるような音の無い、静止画の広告。あまり有名でないチェーン店、宅配弁当屋の広告で、そのマスコットキャラクターの笑った顔が残像として残って「今のチラッと写ったCM、見た事無いな」で気付いたのである。他にこちらも当時はまだ無名だった、ピザーラのバージョンもあった。ともかく、深夜に?はサブリミナルCMが流されている、と、興奮したものの特に効果は無かったようで..。
先日某ニュース番組を見ていてあっ!となった。CM明け直前に現れたのは、録画していないので確と確認していないが確かにあの頃と同じような静止画像の瞬間CM。今回のは虫よけスプレー「サラテクト」だった。さて効果の程は..。

海外CMの面白さはまさに異文化というところにある。「CM INDEX in SATELLITE」をやっていない地方ではなかなか見る機会に恵まれないが、今年はフェスタが開かれて、それも観に行けなかったのだが..地元番組でダイジェストをやってくれた。解説も翻訳も一切無しなので、雰囲気と映像そのものだけで内容を把握するしかない。これは一種の頭脳ゲームである。
サファリパークでスリル満点のドライブを楽しんだ家族。帰路も興奮覚めやらず、「アフリカ」を合唱したり..その、車の屋根には密かにライオンが乗っている!ガレージに入ってシャッターが閉じられたところで..「お電話下さい」(これは英語で読めた)、つまり保険のコマーシャル、とみた。
キックボクシングの試合。がどうも勝手が違う。お互い腰が引けっぱなし。急所に当たれば大騒ぎで、足を掴まれ顔面をボコボコにされても何故か下半身のみをガードしている。テロップに何が書かれているのか丸で分からないが、某医薬品メーカーのロゴでつまりは性病注意の啓発CMという事が分かる。
危ないのもある。例えばサッカーのPR広告。高い所から下りられなくなってしまったペット。ついに飛び落ちてしまう!あわや、というところでキーパー並のダイビングキャッチを見せる青年。無事に保護!周囲はヤンヤの喝采。ところがこれ、サッカーのCMなのよネ。次の瞬間、キーパーよろしくペットを蹴り飛ばしてしまう..。
作品のオリジナリティを尊重したノーカット放映には拍手。良いか悪いか、はこの際置いといて。どれがどこの国(地域)のCMだか、この説明だけでも何となく分かりません?大人ならこの面白さに理解を示さないのは勿体無い、と思う。

最近の深夜の供は実はテレビでも、活字でも無くラジオ。私の聴いている地方局では「かつて聴いていた番組が今もやっている。懐かしいなあ」というPRCMを流しているが、何の現役である。なかなか新作が出来ないから必然バラエティー化してくる芸人番組より、ラジオでは構成作家顔負けのハガキ職人が今でも新ネタをどんどん提供してくれるからである。..ずいぶん昔、ウンナンで締める黄金時代はそういう聞き方をしたのだけれど。近年はナイナイのオープニングトークで「めちゃイケ」等の裏話を聞く位が楽しみだったのだが。先祖帰りで再び深夜の顔ぶれが芸人揃いになったから、いつしかヘビーリスナーに逆戻り。深夜放送は確かに今静かなブームで、ラジオ深夜便が何周年だかでフィーチャーされたしひと頃ほどではないがたまに聞く、いい番組である。ただ結局はそう言った導眠番組より深夜ならではのナチュラル・ハイを求めている。という訳でイチオシは「金曜ジャンク2 エレ片のコント太郎」になる。エレキ・コミックと片桐仁(ラーメンズ)のユニットでやっているこの番組、言葉の笑いにとてもどん欲で、正直エレコミのコントは小劇場のノリっぽくて余り好きでは無い方なのだが、声だけでいくとドンハマリ。
「一度ラジオリスナーになった人はいずれラジオに戻って来る」往昔のオールナイトDJの言葉である。3時台というのが「かなり」ハンデではあるが..かつてのリスナーさん、試しにどうですか?

話は熱かった頃に飛ぶ(懐かしフレーズパクり)。
昨年の高校野球は言うまでもなくドラマチックだった。地区予選から熱かったので尚更に。で高校野球と言えば公共放送である。どんな延長になろうともあらゆる番組を押し退け、CM無しのノーカット放映。だからわざわざ民放が同時にやる、意味が良く分からなかった。今回、たまたまある試合を民放で。5回、応援合戦のコーナー。校長がやや空回り気味にアジっていたところで画面切り替わり、相手チームの打球がスタンドイン。いやいや、大笑い。なる程民放はサービス精神がある。これはまあ余興として、解説、実況とも下情に通じているというか感情的。どちらも頑張れという姿勢は同じなのだが観客の視線に近い。あくまで客観的な内容を、とどちらを取るかは好きずきだが初めての民放高校野球はなかなか新鮮だった。少なくとも同じ試合を同時にやる、単なる視聴率狙いは置いといてそれなりの意味はありそうだ。

「無知」は言い過ぎか、「無関心」が問題だと思う。とあるクイズ番組で「南半球の国の首都を挙げよ」という問題に女子アナが答えられなかったのは象徴的な例。北半球ならばヨーロッパの小国であっても割に思い付くだろう。しかし南半球はアフリカ、南米、オセアニア..までイメージ出来ても国名すら浮かび難いのではないか。失礼ながら報道人の端くれ..いや、スピーカー(広報)か、まあでも少なくとも一般的な常識人ですら出て来ないという結果に、グローバルな意識をと言うものの偏りを持っている現状が実感される。
危惧されるのは「関心が無い」ことと「大したことない」を混同することだ。折よく4年に一度のアジア大会が開かれていて(注:この項執筆時)、誤解を解くのに好都合と思われる。オリムピック種目では上位に挙がる事がほとんどない国だからといってスポーツが出来ないのではない。アジア大会ならではのカバティ、セパタクローなどの種目では無敵を誇っていたりする。
国力を民族、個人の力量とイコールで考えると双方共に色々な問題が起きる。応援も「日本頑張れ!」は良いとして、「あの程度の国に負けるな!」という内容にはしない方が良い。
..あれ?スポーツの話だったっけ?

原点回帰は衰退期に入った事を現しているのではないだろうか。今年の年末年始バラエティはダウンタウン、笑点、タケちゃんと老舗、大御所がズラリと並んだ。爆笑ヒッパレも13時間のうち若手登場は5時〜8時までで、イロモネアでもキャリア組の登場が目立つ。そして象徴的と思えたのが「異例尽し」で歴代最高視聴率を奪ったM−1。話題性が先行した結果のように思え、初めて見た視聴者がリピーターとなってくれるかは少々疑問。コンビ結成10年以内という縛りを持つM−1は若手芸人の勢いが反映されるから、今後はっきりとした下降線を辿るようなら昨年が今次お笑いブームの頂点だったと言われることになる。個人的には05年がピークと考えていたのだがちょっと先走りだったね。いずれにせよ最近見るお笑いは停滞ムードが漂っているように思える。
といって全てが面白くなくなった..わけではもちろん無い。あくまでも「ブーム」の盛衰を云々しているだけで、盛り上がった分これから淘汰の試練が待ち受けると。視聴者としては一刻も早いブーム再興と新しい波を待ち望む。



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