ついに通算100回を記録した本誌の看板記事、アトミック海口氏の「ドキドキ東京」。勿論最長連載である。
その歴史を少々紐解いてみると、連載開始は97年7月の第7号。おお、フィーバーじゃん!←置いといて。ただ本文を見てみると97.4.14の記事とある。初出を見れば瞭然だが、第6号と第7号には3ヶ月の開きがある。思い起こせば当時、専門誌の濫立で自身の漫画記事提供に疑問を感じ、という名目にかこつけて発行を滞らせていたようで..。その後も同じ号に2回分掲載されているのはつまり発行間隔に滞りがあるからで、海口氏はきちんと月イチで原稿を寄せてくれていたのだ。なお、初期の原稿にはおそらく郵便事故と思われる届かなかった幻の原稿が1本あることを一応記しておく。それらを考えると、実に10年近くに渡りSD誌の皆勤賞を続けている。本誌にとっての「鉄人」である。
さて、本題。05年春の病欠くらいでほぼ途切れた事のない月イチの寄稿であるが、第8回と9回の間に唯一、4ヶ月(で3号分..)の空白期がある。そして再開した第9回、「望郷編」からタイトルに毎回副題がつくようになった(ちなみに現在ではお馴染みとなったもう一つの書式、冒頭の外国語短文は第20回から)。毎回毎回、ネタ元は多岐に渡り、また創作によるものと思われるものもあり、ぶっちゃけて言えばあまり重要視はしていなかった。というより無意味に意味があるのであって、そこに内包されているものはない、と考えていたのだ(というほど深遠なものでもないだろうが..)。ふと、興味を持ったのが先日の第95回、「ただマイヨジョーヌのためだけではなく苦労のために」編。「ただマイヨジョーヌのためでなく」という書物が、図書館の馬・格闘・武道(つまり、趣味)のコーナーにあったのを思い出す。中身を、読んだことはないのだが、おそらく名馬の回想録みたいなものであろう。ただ無意味な単語の羅列であるならば、書名をそのまま抜いてくればいい訳で、付け足した部分は何らかの意図をもって創作されたものである。あるいは本文の一節にこれがあって、それを抜いてきただけかも知れない。ちなみに本文は特にタイトルに掛かった内容ではない(と思われる)。
急に気になって、この際ネタバレをしてもらいたくなった。単純にメールで聞けば事足りる話だが、そこは「個人の今」を伝えるためのSD誌。発行人として、連載第100回を記念したものにしてしまおうと目論んだのだ。某日、歓楽街チェーン店居酒屋にて全てを明かしてもらった..。
冒頭、乾杯と同時に濃い話題になる。実は会うのは半年振りなのだが、近況はつまりコピー誌たるSD誌と原稿のやり取りにてしているので、自然久闊を叙する事はなくいきなり最近の話題となる。ここに、というよりネットで流す事が憚られるような内容で、とにかく一盛り上がりしてしまった。ものの見方にはやはり独特の視点を持っている。今後副題を解説していく上で、改めてそれは明らかになっていく。
発行人(以降、発)
「さてさて、そんな訳で100回を迎える訳ですけど、10年ですよ..!」
隊長(以降、隊。海口氏の通り名。私はグッさんと呼んでいますがここでは便宜上こちらを使います)
「ねえ、まあ正直ネタが無い時とかもあったんだけどね。」
発「枚数のバラつきにそれは感じられます。特に初期の頃は短文でしたし、内容もSD誌の当初のコンセプト、本に関する話でした。」
隊「テレビや映画の話とかもしてたねえ。」
発「ええ、模索していた感じで、だから早々に中断してしまったものと思われます。そもそも当時は『PURE
COUNTRY』誌(ロドリゲス石垣氏が発行していたミニコミ誌)に『2時以降の文章』というコラムを連載していましたから、ネタ探しには苦労していたでしょ。」
隊「ああ..やってたねえ..。」
発「で、まあフリートークに近い感じで片っ端から書き綴る内容になったのが初めて副題が付いた第9回になる訳です。ちなみに近年は話題転換に『閑話次話』という造語を使っていますが、第10回からしばらくは『話は〜へ飛ぶ』という形式で様々な話題を提供されています。」
隊「コメント通り、雑文ってことで。あと閑散の『閑』ではなくて、よ〜く見ると『閉話次話』なんですよ。」
発「えっ!!!?..マジで?うわ、そうだったんだ..。ゴメンナサイ、完全に勘違いしてました。」
(編注:数がハンパでないので修正は見送ります。ゴメン!)
発「えー、話を戻しますと、記念すべき最初の副題は『望郷編』ということですが、元ネタは?」
隊「『火の鳥』だねこれは。多分その頃読んでたんだ。」
発「説明不要と思いますけど手塚治虫の漫画ですね。なる程。」
隊「ちなみに誕生日が一緒なのオレ。さいとうたかをも!」
発「漫画界の巨匠達とそんなところで被ってますか。そう言えばこないだの『情熱大陸』で〜(以降たかを話しばらく続くが割愛!)」
隊「次の『登校編』はツッパリハイスクールロックンロール。」
発「ああ、アラジンの。」(編注:横浜銀蝿の誤りでした..)
隊「そうそう。これって(登校編)ってあるんだけど、他のバージョン知らないよねえ。」
発「そういやそうだ。虎舞竜みたいに続編あるのかな?まあ、いいけど..。一応ここ2回は〜編というそのものズバリの副題が元ネタになってますけど、次の『バルミツバー編』これは..」
隊「あのねえ、ユダヤ教の祝日じゃないかなあ..何かで読んだんだよ。」
発「ちなみにこの回の話題はテレビ評。一時期このネタを主に書かれているんですが、置いといて。全く、関連してません。次の『ヒチリキ音色好々的俺編』は、つまり篳篥(楽器)が好きと?」
隊「いや、別に。ラジオをやっていた時にヒチリキ何とかのラジオネームでコキリコ節(民謡?)をリクエストしてきた人がいて、それを思い出したんだろうね。」
発「地域FM局での番組ですね。隊長はDJではなかったんだよね?」
隊「うん。たまたま知り合いがやってた番組に賑やかしみたいな感じで出てて、結局はコーナー持ったり、コメンテーターぐらいには昇格したけど。」
発「是非今度はメインで復活してもらいたいもんです。次、『ピンバッチ編』?」
隊「キャップ(帽子)集めてて、ピンバッチ付けてたのを飾ってたから、多分それを見てつけたんだろうね。」
発「部屋を見回してネタを拾う。ああ、分かります。」
ここでほぼ副題を作る際の基本軸は見えてきた。本人も言うように「基本的には頭に浮かんだもの」を付けているだけの事なのだ。これはこちらの想像通りで、まあつまり他愛のない根拠である。そこで次のヒントが出て来るまで、箇条書きで記していく。
第14回(サレルニターナ編)
セリエAのチーム(現在B。Cかも?)。中田の加入でヨーロッパの地方クラブもメディアに露出し始めていた頃。
第15回(あるいは風とタンポポの物語編)
椎名誠「パタゴニア」の副題。言葉の響きが良かったそう。
第16回(十字路・AT THE
CROSSROAD編)
正しくは「路口.The cross
Road」でした。ボビー・チャン(台湾の歌手)の歌。作曲が何と金城武!スローバラードだそうです..。
第17回(チャンベルリタシハマム編)
山の名前じゃないかな..との事。
第18回(ガッシャーブルム2峰8035m編)
つまりこれも山の名前。ちなみに隊長の趣味の一つにアウトドアがあり、当時無料カタログの取り寄せにはまっていたそうな。
第19回(ブンデスナーハリヒテンディーンスト編)
ドイツ系の語句と二人で推測。何かで読んだのだろう。
第20回(ツァールスコエ・セロ編)
「ゴルゴ13」で出てきた人名?→81巻から、1971年ニコライ皇帝が幽閉された場所でした。ちなみにこの回はアトミック ビアンコポモドーロ 海口名義。一見格好いいミドルネームですが、意味はビアンコ=白、ポモドーロ=トマト..!有り得ない単語。
第21回(それでも地球はまわっているのです編)
ドラクエ3でのイシスの町人の台詞。元ネタは地動説を唱えたガリレオの宗教裁判での名言。こういう台詞をゲーム中にさりげなく挿入する遊びのセンスは今後も失って欲しくないものである(近年全くゲームをしなくなった発行人談)。
第22回(ギャラクシー・オブ・キンバリー編)
「ゴルゴ13」より。ダイヤモンドを破壊する仕事の回で、宝石会社の会長が密かに所持していた非公開で史上最大のダイヤの名前(多分)。
第23回(バスク・空白の依頼編)
同じく「ゴルゴ13」。ゴルゴが初めて記憶を無くす回。この回はアクアミネラーレ・タクワン和尚・海口名義。アクア〜とはミネラルウォーターの事。和尚はこの人の名前を取って沢庵漬となったのを初めて知ったから、との事。まあ整合性は全く..ない。
第24回(MOSS・ヘリックス44000円編)
MoMAに初めて展覧されたテントで1本のフレームだけで出来ている!そんな栄誉あるものながら比較的手頃な価格のような..。でも現在は売っていないそうな。
第25回(サンテチエンヌ・デュ・ビガン・ダム編)
全く分からないが多分何かの本に出て来たのだろう..。
第26回(僕のハシゴはなくなり、すべてのはしごの一番下に横たわるしかない、心の中の汚れたくず置き場で。編)
何かの詩のタイトル。
アトミック氏の趣向を示すキーワードが随所に現れる。つまりワールドスポーツ、アウトドア、アジアポップス、西欧文学、漫画、ゲームetc...これらがルーティーンのようにタイトルに付帯していく。さらに見ていくことにしよう。
第27回(ゲンゲンバッハ編)
不明。全く何の事やら..との事。ちなみにこの回はアトミック・da cani ・海口名義。ミドルネームの意味は犬。
(編注:HPではcaaiと誤植。訂正致しました。06.2.23 発行人)
第28回(ROBT.BURNS編)
全く持って意味不明..。
第29回(サム・ライミ編)
映画監督。ケビン・コスナー主演の野球映画を観たので。
発「『フィールド・オブ・ドリームス』って確かケビン自身が監督したんじゃ?」
隊「いや、違うやつ。『ラブ オブ ザ ゲーム』っての。」
第30回(エビアントイ編)
深夜番組で紹介されていたカメルーンのちょっとHな遊び。女の子に足を開閉してもらい、バンブーダンスのようにするそうな(何となく分かる?)。
この回アトミック・ビアンコ・ポモドーロ・海口・ズッパ名義。直訳すると原子の白トマト海口スープ。全く意味不明。濁音系の単語が好きだから、ただそれだけ。
第31回(ラミィ・キューブ編)
「ゴルゴ13」より。どうやら世界的ゲームの名称らしいのだが詳細知らず。
第32回(チェリモヤ編)
南国フルーツの名前ではないかと思ったのだが、どうも下ネタ系の言葉らしい。
第33回(李 宗盛・ジョナサン・リー編)
台湾の音楽プロデューサー。サンディ・ラムの旦那だそう。
第34回(ドーパミンドックドク編)
ご存じ脳内麻薬。タイトルも「ドクドク東京」と改題。ただ内容には全く影響無し。
第35回(あんたリバプールあたし東京だよ編)
テレビでの誰かのコメント?まあ確かに印象に残る台詞ではある..。
第36回(レフェレンソーラ編)
第37回(シニャンガ高原編)
第38回(アンモドラムス・ニグレスケンス編)
まとめて不明。おそらく本を読んでいて出てきたフレーズだろう、との事。こういう時にインターネットというのは活用すべきだと今思っているのだが、だが、だが..。
第39回(ジャスミン慕情編)
ジャッキー・チェンの歌。日本語で歌っている!らしい。河合奈保子とデュエットも出した親日派のスタアです。
第40回(竹箸編)
久々身の回り品ネタ。愛用しているそう。
第41回(春..さよならもいわずに...編)
正しくは「春−サヨナラも言えずに−」。懐かしい!吉田戦車「伝染るんです」よりヤクザの下っ端が失敗して指詰めますと言うのを兄貴が止め、代わりにこのタイトルで詩を投稿しろと迫るギャグ。ちなみに「ペンネームは星ぽえ夢、これ以外は許さん。」
第42回(この建物には、彼によって救われた合衆国の人々の心のなかに宿るエイブラハム・リンカーンの記憶が永遠にとどめられている編)
何かの石碑?の文字かと..。ちなみに第96回では長い副題に「長過ぎるので割愛!」と編注を付けたのですが、すでにこの頃から黙って割愛していました..。歴史の深さが感じられるエピソード?
第43回(ボデガス・イ・ビニュドス・デル・マルケス・ド・バルガスのマルケス・ド・バルガスレセルバ・プルバーダの赤のフルボディ編)
フランスワインの銘柄だと思う。カタログもらったんだった!との事。しかしこれだけ濁音のついた単語は好き者にはタマランはず。
第44回(ユーベルマニア・ペクチンフェラ編)
不明ながら末語のエロい響きが気に入ったのだろう。ちなみにこの回のアトミコ・ウミグチョ名義は馬鹿校長ハマグチェ(めちゃイケ)に影響を受けてとの事。
第45回(シャドリ課長編)
これも久々椎名誠「インドでワシも考えた」より、観光課長の名前。
第46回(初仕事で『母心』を語る編)
バイトでのエピソード?全く不明。
第47回(翼君が2部リーグ!?編)
ヤングジャンプで続編を読んだ時の感想だろう。
第48回(依玲最高的愛情編)
連載史上唯一本文との関連がある副題。詳しくは省略するけど、今何をなさっているんでしょうね..。
第49回(トーキング編)
隊「トーキング・クロックってあるじゃない?」
発「ああ、時刻をしゃべって教えてくれるやつ。」
隊「あれのイタリア語バージョンを姉貴が買ってきたのよ。」
発「また珍しいものを。」
隊「もう壊れたけどね。」
第50回(不動院御加持道場編)
日本三景、松島で見つけた道場。バイト中だったらしいのだが、詳しい内容はここでは明かせません..(色々やってたんだネ)。
一気に半分まで進めてきた訳だが、例えば本から採る場合、決め手となるのは濁音のついた単語であるという事が新たに分かったくらい。ただ、やっぱり意味無しだったのね〜と漫然と進めていたのではなく、それぞれの副題にはそれなりの時代性だったり共有するエピソードが想起され、話は大いに盛り上がっている(同時にお酒の方もすすんでいる)。残念ながら?掲載を見合わせた話がいくつもあり、一応プライバシー保護ということにしておく(危ナ過ギ)。
では、少しずつ趣向が変わっていった後半を眺めていこう。
第51回(猪木が笑えば世界も笑う編)
発「まあ、有名なフレーズですねえ。」
第52回(国土交通省東北地方整備局道路部道路計画第ニ課編)
隊「長い漢字が書きたかったのよ。」
第53回(Oh Ee Oh
ロミオとジュリエット、どうしても忘れられない言葉を壁越しに囁く、ヴァイオレットの空を横切り手紙を書いて月へ送る。二人の愛は叶わないの?なぜだか教えて、こんなに愛しちゃいけないのかしら、キャンドルを燃やし続けるいつかあなたのそばにいくのよ世界が回り続ける限り、愛の翼わたしたちをふさわしい場所に運んでちょうだい編)
ウィルソン・フィリップスという女性3人ボーカルグループの「ネクスト・トゥ・ユー」の歌詞。しかし長いネ。
第54回(うす編)
杵臼のうすで、漢字が分からなかったそう。電子辞書で漢字を調べているそうで、たまにこちら側が戸惑って(読めなくて!)漢和辞典を引く事も。
第55回(住民税!住民税!!住民税!!!)編
督促状が来たそうデス。フリーターには覚えのある話..。ちなみにこの回「編」がついていなかった。便宜上HP公開版には付けています(後日もう1回アリ)。
第56回(キル・バーン編)
サッカー選手の名前。当時は日韓W杯。実は〜・キルバーンというのを間違えて..との事。
第57回(よそさまにくばるわけ編)
CMソングを聞いてそう聞こえたという、いわゆるソラ耳パターン。
発「そう言えば最近タモリ倶楽部見てないなあ..」
隊「俺も。」
第58回(LANPEN320編)
テントの商品名。320は型番。
第59回(ある貝だ!!)編
言うまでも無く。ダジャレ、当て字系はこの辺りから本文でも頻繁に登場してきます。
第60回(無為徒食な人編)
何かで読んで、意味が分からなかった(無為徒食)ので使ったけど結局調べてない..。
第61回(農用葉リトル・顔蛭編)
フェイス・ヒルの歌で聞こえたソラ耳。
発「という事は顔蛭はフェイス・ヒルの当て字?」
隊「そうなんだけどフェイスは訳しちゃったね..中途半端。」
第62回(プリンペラン錠編)
薬の名前。濁音系好みは前述通り。
第63回(カラマーゾフ兄弟編)
発「ドストエフスキー?罪と罰の。」
隊「読んだ事ないんだけどね。キャバクラで友達とそんな話をチラッとして..キャバ嬢ポカーンとしてたな..」
第64回(ギャギャ実務編)
「ギャギャジツム」という昔から気に入っているフレーズを変換してみた。
第65回(バーミキュラを大量に食べた!?編)
何かを読んで拾ったフレーズ。しかし..バーミキュラ?
第66回(天真正伝香取神道流・飯坂長威斎編)
密かな趣味というのがパズル誌購読。武術スケルトンで出て来たそうだが..縦横推測無しで答えられる人いるの?
第67回(スナックしじみ編)
拾ったライターに載っていたそうな。岩沼辺りにあるらしい。
第68回(分身くん編)
ご存じファミスタのキャラクター。今でもやっているそう(後述)。
第69回(風車小屋だより編)
本の題名。18世紀ころに書かれた雑記。しかしこういう洋ものを古本屋で見つけるというのは漫画と時代小説しか漁らない発行人としては驚異(蛇足)。
第70回(マンション通勤管理人編)
発「そういややりたい!って言ってたね。」
隊「履歴書で落ちた..」
発「本気だったんだ..」
第71回(紀三井寺の三井水編)
クロスワード・パズル、きれいな水スケルトンより。繰り返すが即答出来る人っているの!?
第72回(まあ!聖ピーター教会にかけ、聖ピーター教会にかけて申します編)
シェイクスピア、「ハムレット」の一節。隊長の意外な?読書傾向の一つにシェイクスピア好きがある。典拠を知らずともこのリフレインの言い回しはいかにも戯曲。
第73回(腹巫女叉辺栄御子沙遍出菜編)
有名な車のCMソングを当て字で。これは変換していてすぐに分かりました。この回はアトミック海口.com名義ですがまあ流行りに乗った感じ。
ここらで従来通りのルーティーンの他、徐々に創作性が現れてきた。当て字や洒落のオン・パレードはまさに無意味に意味を込めた副題である。身近なネタも尽きてきて..のバリエーションとも見えるが、徐々にメッセージ性を帯びて来たとしておく。そして、カギとなる回を迎える事になる。
第74回(恋はいつでも初舞台編)
梅沢富美男の名曲「夢芝居」より。
第75回(まってください。私は希望です編)
発行人はゲーム中の台詞と思っていたのだが、これは「パンドラの箱」が元ネタ。ちなみにこの神話(?)、最後には希望があると捉えるか、希望は最後の最後にしか出て来ないと考えるかで人間性が伺えるという..あなたはどっち?(蛇足)。
隊「精神的に飢えてたのかなオレ?」
第76回(金をやればいいってもんでもないだろが!編)
義憤に駆られるというか、怒りのエピソードは本文にもちょくちょく登場するが一言だけでは良く伝わって来ない状況である。
隊「これはねえ、自腹でギャラを出すからと言われて引き受けた仕事だったんだけど、いざ受け取る時に全て50円玉だったのよ。どうやら貯金箱から出した本当になけなしの報酬ってことは分かったんだけど..」
発「..両替って、思いつかなかったのかねえ..」
第77回(アルバセテ編)
リーガ・エスパニョーラのチーム名。
隊「はっきり言って弱小チーム。」
発「判官びいきって奴ね。」
第78回(シャーペンゼロなっ編)
CMのそら耳再び。典拠が気になる..。
第79回(カッペラ・システィーナの盛儀編)
イタリアの本を読んでて出て来た一節。同じ大手新古書店愛用者ながらこの読書傾向の違い。
第80回(Do Ryu編)
ゲーム「クロノ・クロス」、土竜の島より。アレンジしているところが進化?
第81回(ダイヤルイン編)
就職情報誌を読んでた?
第82回(強く手をにぎろほ編)
CMの平井堅の歌がこう聞こえた。モーホー説も捨て難いがまあ、ウラ声がウリだし..。
第83回(キセリョフ善六編)
日本人で(初めて?)世界一周をした人。石巻の人で、難破したロシアで帰化してこの名前に。
隊「こういう人こそ脚光を浴びせたいよね。」
発「同感です。私も中国ものは〜(長い話なので割愛!)」
ちなみにこの回アト三ック海口名義。遊んでますネ。
第84回(スナック小猫・スナックニューマヒナ編)
16時間にも及ぶ、本文ではお馴染みの交通量調査で見つけた。某求人誌によるとスナックマヒナもあるのだそう。
第85回(そのフォームをみると前世はサムライだね・大吉編)
ファミスタで試合後に出る新聞での一コマ漫画より。実は吉だったそうだが語呂を合わせたようだ。
発「今もやってるようだけど。」
隊「99年版のペナントレースをやってるよ。松井がすごいんだ、65試合経過で打率5割のホームラン41本、打点128だよ!?」
発「..まあ、同い年で10億とか、稼いでるからね..」
隊「....」
第86回(狸海坊編)
多分何かの本に出て来たのだろう。
第87回(俺の韓流パク・チャンホ編)
韓国人メジャーリーガー。当時ドジャース(現パドレス)でコリアンエクスプレスと呼ばれている。
第88回(ロッポンガー編)
CMのそら耳デス。
第89回(昭和編)
年号ではなく博多のスナックとの事。というと何だか分からないがつまりは武田鉄矢とか、井上陽水が演っていた伝説的なライブハウス(←ああ、この響きも何だか懐かしくなったなあ..)。
第90回(噂のあの娘はシルム出身編)
語感だけで決めたようで、シルムという単語はロシアの都市を想起させたのだが実は韓国相撲の意味。そりゃ有り得ネー!
第91回(お前のような弟はいない編)
飲み屋で聞いた印象的な一言。飲み屋でのエピソードは近年お馴染みだがこれも本文には全く絡んでいない。
第92回(木尻取編)
言わずもがなキシリトールの当て字。取るの字は合っていると思うが..。
第93回祝100回ドキドキ特別編(MoMAにて)
この回には前置きがいる。つまり当回の初出はSD誌第100号!で、その予告は後記などで散々やっていた。そして連載話数は実はHP公開に際して便宜的に付けているもので、本文に回数表記は(勿論いずれの原稿にも)ついていない。隊長はすでに毎号レギュラーであることを自覚していて、イコール100回だと思っていたようで..。
隊「一応(前フリに)合わせて100回にしたんだけど、フライングだったんだね。」
MoMAは御承知の通りニューヨーク近代美術館の事。本文との関連がこの回はあると言えばあるところが特別編?
第94回「デイトン・マーコス編」
野球史から、ニグロリーグの名前。ワールドスポーツに関する造詣は深い。ちなみにこの回以降( )から「 」表記に変わっている事に気付く。理由はページのリニューアルにあると思われるがナゾ。
(編注:こちらも訂正致しました。06.2.23 発行人)
そして、いよいよ本企画の発端であり、本記事的にもターニングポイントとなる副題が登場となる。
第95回「ただマイヨジョーヌのためだけでなく苦労のために編」
発「冒頭にも言ったように、元ネタの本を見つけて初めて副題には創作性がある!と気付いたんです。」
隊長はニヤリと笑い、淡々と解説を始めた。
隊「本のタイトルは『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』。ちなみに内容は競馬じゃなくて、ツール・ド・フランスに出場した選手の自伝ね。」
発「え!そうなの!?」
隊「マイヨ・ジョーヌというのは黄色いジャージって意味で、ツール・ド・フランスでトップの選手が着る服のことなのよ。」
発「え、あ、そう..そうか、確かに趣味のジャンルでロードレース関連の本もあったわ。そうか、馬の本の隣にあったからてっきりそうだとばかり思ってた。」
隊「で、著者のランス・アームストロングって人はフランスからアメリカに帰化した人で、癌で腎臓移植とかしたんだよ。」
発「手に取れば良かったんだな。反省..」
隊「ともかく、自転車レーサーの人なんだけど、この人シェリル・クロウと婚約したんだよね。まあ、最近解消になったみたいだけど..」
発「という事は、苦労のためにってのは..」
再びニヤリと笑う隊長。
隊「(シェリル・)クロウをね、分かる人には分かるっていうか。まあ良く気付いてくれたよ。」
発「そっか、自転車のね、そう言う事ね..」
この時発行人はどちらかと言えば己の凡ミスの方に気を取られていた。改めて、酔いが醒めた状態でこのやり取りを振り返ってみると、隊長はやはり意図を持って副題を創作(アレンジ)していて、そのメッセージが(より深く)届いた事を喜んだのだろう。しかし、この後の100回までの副題解説を並べるが、ひねりが加えられている(アレンジしてある)副題は未だこの回だけである。逆説的に言えば、だからこそ気付いた、と言える。
継続中の作品に断定めいた結論を出したくはないが、つまりはこの回の副題が、100回にも及ぶ雑文から得た成果を示しているのではないか。身辺からネタを拾う、この無意味な副題は無意味に意味が生まれ今意味のある無意味に昇華されつつあるのだ。
隊「基本的にずーっと変わらず、その場での思いつきだよね。」
全ての解題が終わり、総括してもらった時の言葉には謙遜が見てとれる。工夫を加えて創作されたこの副題は、素人文章から脱却した決定的な一歩であろう。まさに「継続は力なり」を実証出来た一端であり、図らずもSD誌の存在理由にまさしく合致している点は発行人にとって僥倖この上ない!
「ドキドキ東京」という、発行人が東京在住だった、ただそれだけの理由でつけられたタイトルはいつまで続くか分からない流浪のシリーズである事を象徴している。従って今後は予測出来ないがともかくアトミック海口氏が注目していくべき才人(タレント)であることは間違い無い。
第96回「ソソソラソソソミドドレミレミミソラソドラソソラソドドレドラドドソソラソラソミソミレドレレドレミソラソド編」
童謡「夕焼け小焼け」。何故か浮かんだのだそう。
第97回「隅田川馬石編」
志ん生さんの二つ目?時代の芸名だったような..。
第98回「マスター、トラジャコーヒーの意味って知ってる?編」
いきつけのカフェでのオッサンのコメント。この人は高倉健に会ったら「演技ってさあ..」と話すのだろうか?バカのコメントですな。..との事。
第99回(ブブカ・セルゲイ=シン・カネマル説編)
昔から考えていた、「もしも同一人物だったら驚く人」の中のNo.1
第100回(スガコハシダは世界遺産好き)
なんか知らんがショックを受けましたこの事実..。
..という訳で連載100回を記念した企画は幕を閉じる。時刻は2:00、我々にとって深夜である以上の意味を持つ時刻である。ともあれ、この内容は全て一夜にして語られた事であり..。
18時過ぎかな?店に入ったのは。「ラスト・オーダーです。」まで注文しまくり、「閉店です。」でようやく腰を上げるまで、食いはともかく飲みも飲んだり8時間!?この後旧友の店に移るも精魂尽き果て早々にお開きとなった。隊長、(読んでくれた)皆さんどうもお疲れ様でした!
>>>「ドキドキ東京」第100回に戻る