前に出てこい殴り合いだ 第1回

(初出:第44号 00.11.21)

科学関係の妙な記事をお伝えするコーナーです。準備期間があまりにも短かったため、手抜きも甚だしい内容です。訳のソースは生化学系HPの「BioMedNet」で2000年8月ころに発表されたニュースです。訳の間違いと見苦しい用語の使用についてはご容赦ください。

以下ニュース訳文---
でぶは接触感染性の病気か?
ウィスコンシン大の研究者たちによると、ある種のアデノウイルスが感染することによって、ニワトリ、ねずみ、サルが太るらしい。彼らは、でぶが接触感染性であると結論するまでには至っていないが、人間を対象とした調査では、動物の場合と同様の傾向にあると述べている。調査対象肥満者のおよそ1/3はウイルスに対する抗体を持ち、かつ、低コレステロール値を示した。この二つは、ウイルス感染者に顕著な特徴である。痩せている人々のうちでこのような特徴を示したのは、わずかに5%であった。small twin studyでも同様のパターンが得られた。研究報告では、アデノウイルスの感染が脂肪細胞を活性化して肥満化を促進するのではないかとの考えを提案している。
以上---

突然「でぶ」という衝撃的な単語から始まってしまいました。これは「obesity」(extremely fat、病的な肥満)の訳語です。「でぶ」は、短い言葉で病的な肥満のイメージを喚起する力を持っていると思い、採用しました。
このニュースで出てくるものどもが何であるのか、よくわからない人が多いと思います。アデノウイルス、抗体、コレステロール、small twin study、脂肪細胞、さらにはウィスコンシン大や肥満ということまで、よくわからないのです。肥満と健常の境はどこにあるのか、ウィスコンシン大がどこにあるのか、それは筆者にもわからないのです。さらに言えば、ニワトリやねずみ、人間の定義だってできないのです(説明はできるかもしれませんが)。
ということで、次回はこれらのことについて説明したいと思います。

忠告:明らかに肥満している人とは握手をしないこと。でぶが移るかもしれません。

以下ソース原文---
Is obesity a contagious disease?(posted August 7, 2000)
Infection with some adenoviruses can make chickens, mice, and monkeys fat,according to researchers at the University of Wisconsin. Although they are not ready to conclude that obesity is a contagious disease, their human research suggests a similar tendency. Nearly a third of fat people whom they studied possessed antibodies to the virus and also had low cholesterol, a hallmark of infection with it. Only 5% of lean people displayed those traits.
A small twin study generated a similar pattern. Lab research suggests that infection may boost fat cells, which would encourage the gaining of fat.
Holmes, B. 2000. The obesity bug. New Sci., August 5.


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