○ホットケーキを食べました。マーガリンにはちみつをたっぷし。甘くしたので、あのイチゴミルクセーキがすっぱく感じたほどです。厚目に焼かれたホットケーキを三切れいただくと、もう満腹なのでしたが、あんまり残しては奥様が気を悪くする、もう作ってくれなくなるとヤバイと思い、ぼくはもう一切れのホットケーキを大皿から移動させるのでした。
○予備校に出陣するふうにして、ぼくは遊びに行きました。マウンテンバイクになんかまたがっちゃって、コンクリートジャングルに向かうのでした。すぐに疲れちゃって、というかそこで休まざるを得ないように計画を立て、ぼくはコーヒー屋さんへ参るのです。ブタの花子さんが鼻をくんくんさせてこういいます。「あなた、またブラジルの香りがするわ」と。「そうかもね」とぼくはいいます。
○大学のフットボールを観てます。土手のてっぺんの草のふさふさしてるとこで眺めます。大きな体格の豆つぶ達がときどき弾け飛ぶのが楽しみなのです。うるさい虫ん子がよそへ行き、その代わりにチップスとファンタがあればいいのになと思いましたが「チアガールがいれば..」とはいいませんでした。サチコさんに失礼だからです。チアーズの居るときには、ぼくひとりで土手へ行くのです。
○秋になりますと、夏は縁側へ引っ越します。ポチやタマと仲良しさんでそこにごろらとしています。ぼくがナナに近寄った際などは「邪魔しないで」とナナは怒るのです。ぼくはほんとは秋が好きなのを彼女はこっそり勘づいているのでしょう。でもぼくは意地悪して、夏の匂いをいっぱい吸ってから逃げました。ナナは「ひひひぃ〜ん」と悲しく鳴きました。
○「この西部劇は何度もみた」といって西部劇をみている先輩がいます。ぼくは「阪神−巨人戦」を観たがっているのにです。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが馬で逃げていました。「どうせ逃げ切るのだろうな」とぼくがみておりますと、その通りでした。ぼくはロバート・レッドフォードっていいなと思いました。ちらりとチャンネルを捻ると、阪神が勝ちそうになってましたので、安心しまして、西部劇にチャンネルを戻すのでした。そして、タタターッとぼくは居なくなりました。どうせ何回もあの西部劇をみるのですから。
○カレーライスを選ぶとヒヨ子ちゃんは「またか」という顔をします。ぼくはインド人の日本語を真似て、「カレーはねインド人の命ですよ!!」と早口でいってやります。ヒヨ子ちゃんはぼくに、カレーについて一席ぶたれるのを恐れて「分かった。やめて、やめて」と懇願します。ぼくは許してあげてカレーライスを食べに行くのでした。ヒヨ子ちゃんは何故か必ずついてきます。
○「ノースウエスト・エアライン」のTシャツがあります。左右の肩口に虫喰いの穴があいてます。きちんとたたんで箪笥にしまっておいてたときに食べられたのです。とても御機嫌に気に入っていたラジオの懸賞品でしたので、その現実を受け入れられず、それを着て街を歩くと恥ずかしくなるのでした。ジュン子さんに白状してしまうと「それもいいではないか」とおっしゃるものですから、いまでは誇らし気でいます。
○「うまいこというねヤマちゃん」と旦那さんが申すので、ぼくは「ヤマちゃんではありませぬ」といいました。「また〜ヤマちゃん馬鹿いって」と申すので、ぼくは「別人です」とキッパリいいました。「なんだヤマちゃんそんな怖い顔して」とねばるので、ぼくは視線をずらして「・・・・」といってやりました。旦那さんは、「なんだこの意気地なし!」と捨て台詞を吐いて去って行かれましたので、ぼくは花見で出逢った二番目の女性(エミちゃん)を思い出すのでした。