山の波音

(初出:第65号 02.8.22)

夏の終わりの夜に ナナとボクは波の音に耳を澄ませた

闇に葉ずれる樹々の祈り それは遠い旅を終えてきた

メキシコ湾の荒波の如く 葉は沫を立てておおきく唸る

臆することなく ともすれば誰にも気づかれぬ危うさをはらんで

けれども 一握りの孤独な民は知るだろう 

風鈴が涼しさの代わりに 夏の名残を鳴らすときに
 



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