夏の終わりの夜に ナナとボクは波の音に耳を澄ませた
闇に葉ずれる樹々の祈り それは遠い旅を終えてきた
メキシコ湾の荒波の如く 葉は沫を立てておおきく唸る
臆することなく ともすれば誰にも気づかれぬ危うさをはらんで
けれども 一握りの孤独な民は知るだろう
風鈴が涼しさの代わりに 夏の名残を鳴らすときに