毎度持て余す連休に方々付き合って頂いておりますが、今回は予期せぬ事が起こり、思わぬ珍道中となったので記しておきます。
ひと昔前は年に2度3度と通っていた東京も気が付けば今回は1年半ぶり。かつてと違い活動に絡んでのビジネス旅行ではないので、そうすると特に観たいものも無く、出向く用件が無ければ付き合ってもらうのにお互い万障繰り合わせて、ともならず。
今回も1泊2日ではなあと積極的でなかったのが、仕事終わりが早いから当日会えば2泊構わんよ、じゃあしばらく振りだしお世話になります、としごく平凡な流れ。張り切る要素全くなし。無無無..。
20年来の付き合いで、今回の話題にも挙がったのだが、若い頃は西武線沿線住人ながら行動する場所は何となくJR寄りで、往復もまず「東京」起点で中野で迎えてもらう、沼袋から歩いて直接、といった方法しか思いつかなかった。
ところが近年は何をするにも専ら「練馬」。練馬区民であるから当たり前と言えばそれまでながら、例えば私は中野区民だったが最寄駅は高円寺だったり、場所によって拠点が違うから行き出すまでは何でわざわざネリーマくんだりに、という先入観があった。実際は歩いて行ける、それなりに店が揃っている。中野と比べると見劣りするが、その手前の沼袋で店が無いと騒いでいた頃を考えると何故もっと早く気付かなかったかと。まあ当時のコミュニティが早稲田通り沿いに固まっていたから北に視線が向かなかったのも詮無き事哉。
ネットで調べると仙台〜練馬は大宮で降りて〜池袋〜練馬と乗り継ぎ2回が安近短。東京からは候補にも挙がらぬ。
それでもかつての行動パターンから大した違いは無いと考えていて、前回も同じ旅程で行ったものの「まあ集合場所次第かな」くらいの感想だった。ところが今回は運も味方して快速急行と間をすっ飛ばしてピンポイント移動の旅程だったせいか、実感として「これは早い!」を感じることに。
大宮まで新幹線の直通は1時間10分。池袋まで快速27分。練馬まで準急、急行とも10分。ダイヤを確認せず改札を抜けてブラブラと、ホームにたどり着くと発車ベルの鳴っている状態で即滑り込み、全く焦ってもいないのに2時間かからずで練馬に到着。
家と職場を途中コンビニ寄ったりして単純に往復するだけの時間で、私は今360km離れた東京に居る!
ちなみに大宮から東京まで15分、中野まで中央線で..40分ぐらい?待ち合わせ場所を中野にしていたとしても2時間は確実に超える。練馬なら直接向かっても歩いて行ける距離。費用面でも大宮経由は当日指定券でも1万1千円以内。東京〜中野なら同程度ながら西武線乗り換えの沼袋なら足が出る。
こうなるともう「上京する」=「東京駅に立つ」という事は無くなるのかな、と思う。高速バスを利用するとしても、上記の旅程を考えれば池袋〜仙台をバスで、となる。本数が少なくて時間帯が合わなければ大宮まで出れば東京並みに出ている。
帰り道、東京駅ナカ、駅チカで土産物を適当に見繕って帰る、が定番であったからそこのところが少々悩みどころ。今回は池袋と大宮の駅ナカで一通り物色したが、特に見られるものは無く結局キオスクで面白味の無い定番品を購入。これではいずれ手詰まりになるから滞在中に土産を確保する必要がある、と含みを持たせておく。
座長(便宜上こう呼んでおく。実際呼んでますが)と会って何をするかと言えばひたすらしゃべり倒すのみで、前回はたまたま慶事が重なって新宿まで出掛けたが普段はファミレス〜居酒屋〜家を移動するのみ。今回も練馬でお茶してそのままお酒へといつも通り。しかし明日はどうしますかね〜、と話が進んだところで突然の提案が。
2〜3年ほど前に取りそびれていた車の運転免許を取得した座長。しかし都内在住で普段はバイクか電車移動で事足りているので未だペーパー。こちらもドライブ旅行は経験済みながら一人で高速移動+駐車場代と考えると上京に車という考えは毛頭無いから全く想像すらしていなかったが、何と現在「カーシェア」のメンバーになっているとの事。
駅前まで出向かずとも、近くの駐車場から車をレンタル出来る、と言えばピンと来るだろうか。つまり車は持っていないが車出せるよ、というのだ。
え!?じゃあ都内電車移動じゃなく郊外へ日帰り旅行出来るじゃないですか!?
これは思わぬ事になりました。まさか上京して更に足を伸ばせることになるとは。真っ先に思い付いたのが「富士山が観たい」。翌日は日中雨模様との事で、それは叶わぬとしても温泉ぐらいは行けるかも。途中道の駅にでも寄れば土産も確保。そんなバラ色の休日を夢見ながら大いに飲み食いしつつ日付変わる頃にはご就寝という辺りは齢を感じます。
翌日は明け方から雨の音。日の光も感じ無いながら日の出の頃には目が覚めてテレビを付けて観るともなくボソボソと会話が始まるのも齢の所為。
ワイドショーが始まった辺りでようやく本日の活動を始めるべく、パソコンを立ち上げる。座長曰く気まぐれにドライブなぞと考えるものの未だ使った事が無く、今回はいい機会だったというから実は初めて使うとの事。私もニュースで見聞きはしていたが使った事は無い。それでもスマホにネットと我々も素人ぢゃないからシステムに戸惑うはずは無い。平日昼間で予約は全く入っておらず選び放題。一番近い駐車場から迷いようがない1台中の1台を予約。10時?ちょっと間に合わなそうだな、じゃ11時から。6時間パックで4000円。スムーズに登録が完了して座長はトイレに。
私は早速ヤホーで「練馬 ドライブ 1時間」と検索。候補に挙がったいくつかをマップで眺めると..ムムッ、どれも高速経由じゃないか。ウーム・・・・。高速代を入れるとちょっとお高価いな。高速に乗らなければ..高尾山にすらたどり着けないか..。
その間にトイレから「駐車場の住所調べておいて」との声。ページを戻して駐車場を検索。『えーと、確か南〜〜だったよな』
出てきた駐車場の住所を控え、座長がスマホに登録。
何の疑問も感じない流れだったが、これがつまずきの第一歩。
さておき。目的地の検索を続けていると、道の駅すら到達しない距離しか往復出来ない事が判明する。とは言え高速に乗るのは張り切りが過ぎる。天気も悪いし丸一日費やすほどのイベントでも無い。そしてさっきから一向にトイレから出て来ない座長。
ようやく出てきたら、「昨日の鶏が悪かったかな..調子悪い」と。普段特に飲まないのに、私の暴飲暴食に付き合うから..とこれは責められぬ。ただまあ寝込むほどでも無し。
となると..前回バスで行ったスーパー銭湯、そこにしますかと。片道1時間弱、途中ファミレスでも寄ってブランチしながら、んん?車で大枚叩かなくても良かったんじゃ?
でもまあ、『雨の中徒歩移動しなくていいし』。まず今回は「車、使ってみる」だけでいい経験じゃないの。何となくトーンダウンしながらも、初めてのイベントにやっぱりウキウキしながら出発。
昼までとの予報ながら結構な本降りの中、通りのはるか先に『見える駐車場』へ向かおうとしたら「そっちじゃないよ」と。もっと近くにあるんだと。(『フラグ』めちゃくちゃ立ってます)
すぐに曲がっていつもの通りに出るともう駐車場、到着。「普段ここ通るたびカーシェアしてるの思い出すんだよ」「いやしかし近すぎじゃないすか?まだあと10分ありますよ」
駐車場の真向いの軒先で雨宿りしながら開店×→11時を待つ。待ちながら..
「あれ?ここにあるの予約した車種じゃないよね」「1台しか停まってないから..ここ違いますね」
間違いに気付く。ここでようやくスマホを取り出し、住所を確認。「あ、ここじゃないわ」
一番近い駐車場を選んだ=ここと思い込んでいたがマップ上の距離感では違っていたようで。改めて控えていた住所を目指すことに。しかしこれが..。
「大通り..まで出ちゃいますよ」「いや通り越えるわ、この住所なら」「ええ!?んじゃ住所検索で出てきた駐車場より遠いじゃないですか!?」「いやいや、地図見ただけじゃ分かんないわ」
雨の中、GPSと電柱の住所を眺めつつ、歩くこと10分..15分。「こっちは遠い」と選ばなかった方向へ、何故か歩いている。何かおかしいと言う感覚がビンビンしているが、登録内容から駐車場の住所を控えたという思い込みがあるので行くしかない。大通りを渡ると、ちょっと先に「あった!」「いやあれ別の系列だわ」「番地まで合ってきましたよ」「あ!あれ!!!」
角を曲がった先についに目指す駐車場が見えた。いやいや、ここを真っすぐ目指してきたとしても結構遠いよ?一番近くてここなの?などブーブー言いつつも一安心。カーシェアリングの幟も立っていて、間違いなし。さて我々の本日の足は..と、あ、あれ?これじゃない、これも、違う..え?無いんですけど!!
車名は確認したから間違い無く、そもそも予約したメーカーの車自体が無いから見落とす訳がない。スマホで改めて近辺の駐車場を検索してみるも、駐車場名、住所はここで合っている。レンタカーと同じとすれば乗り捨て可能で、別な車両が停まっているのにページの更新が追い付いて無かったんじゃない?ダメ元で置いてある車のキー解除を試みたものの、このセンサーに会員カードをタッチすればいいんだよね、雨で濡れてるから反応しない?傘にスマホにカードにガイドブック..平日午前中に中年男2人が車上荒らしよろしく駐車場の車の周りをウロウロ、コソコソ。文字通り右往左往した挙句、ギブアップ。
向かいのマンションの駐輪場に避難し、フリーダイヤルにヘルプコール。しかし個人的には「おたくのシステムの何と不案内なこと!」と文句の一つも言うべきだ!と思っていた。遠いし車無いし雨降ってるし..?
座長は丁寧に経緯を説明。会話の内容から、間違いなく予約は入っているという確認が取れた辺りから声の調子が変わる。
「はい、はい..あ!あの病院ですか!?はい、分かります!あー、あっち!?」
結論が出る。何と駐車場名が予約と違っていた。いや、控えた駐車場名が予約と違っていた。思い返せば予約をしたのは座長で、私はチラチラと横で眺めていただけ。駐車場の住所を控えたのは私で、その際は予約画面で確認したのではなく、ページの駐車場検索から当時の会話を思い出しながら『南〜〜だったよな?』と思い込んで控えていた。仕事でもよくある伝達ミス。
『雨の中』あっちへこっちへ、駐車場を探し回った挙句家を出た時に『見えていた』駐車場へ向かうことに。(『フラグ』回収されました)
皮肉にも雨が止んでくる。「いや〜、申し訳なし」「まあまあ、よくあることだよ」「しかしこれじゃ今ごろバス乗ってましたね」「いやいや、もう着いてたんじゃない?」
すでに車で銭湯へ行くという意味が全く見出せない状況になっているが、原因がこちらの確認ミスなのでいずれも責められぬ。「しかしこんな目に合うなんて..因果応報、何か悪い事しましたかね?」「昨日も大人しいもんでしたよねえ..」お互い自虐して、諸々の不都合をさて置いてともかく予定通りで問題は無しという事で前を向きつつ、もはや疑いようの無い良く知る駐車場へ。
と・こ・ろ・が。
予約していた車、やっぱり存在しないよ??
2人で2周しても見当たらない。そんなバカな..何が違うの?再びスマホで住所を調べると、もう、ちょっと、先?GPSはそう示している。通りの向かい。
路地を入ってさらに先へ進めば、一番最初に時間待ちをしていた駐車場まで出る。やっぱりあっちだった??11時まで先約があって車戻ってなかっただけ、とか?そんな内容じゃ無かったと思うけど..。
時刻はもうすぐ正午。1時間掛けて雨の中近所を徒歩でグルグル彷徨って、元の場所に戻る羽目になるとは..しかし戻っても車はやっぱり1台で、よくよく眺めればここは「カーシェア」の幟も無い。そしてGPSはやっぱりちょっとズレている。
普段の通り道をトラップが前に控えているアクションゲームよろしくチョコ、チョコっと進んでGPSのピンの真下に立って眺めると、この空き地?あの自前っぽい月極駐車場にある?それらしき空間は幾つかあるも、カーシェア、やってないよねえ..。
文字通り途方に暮れる。「これじゃ最初からここに来てても迷ってますよね」とこれはミスった後ろめたさのある私の言い訳。黙々とスマホと住所を見比べている座長が「あ、でもこのマンションの名前、駐車場の名前と一緒だ」と気付く。
住所とマンションが一致。やっぱり向かいの駐車場ではなく、当然月極駐車場でも無い。マンションの駐車場は住人の車が数台停まっているだけのスペース。「地下駐車場とか、無いですよねえ」「裏手にもあるのかな」ぐるっと一周してみるもマンションは、マンションである。
フト、ワイドショーで観たカーシェアの記憶が蘇る。「マンションの住人間でカーシェア、子供の送り迎えなど急な需要に手軽に対応出来て、マイカー2台持ち不要」なんて話だった。となればマンション駐車場に停まっている可能性も..。そんな藁にも縋る思いが浮かびつつ、「最初の駐車場に行ってもう一回電話して聞いてみよう」という座長を追いつつ、10台無い車を、せめて同じメーカーが無いものかと眺めていくと。最後の3台、の2台目がビンゴ、そして..。
「あ〜っ!これだ〜!!」
車メーカーのエンブレムを確認したと同時にその下に縁石のように敷かれた黄色のマークに気付く。
「これか..しかしこれは..気付かんわ〜」
ついに発見した喜びより安心感からガックリとしみじみと車を眺める。見つかってしまえばなるほど予約通りで、住所合ってる駐車場に入っている、予約時に1台しか無く迷いようが無く選んだカーシェア用の車はこの駐車場に1台しか無い(他の駐車場には2〜3台あった。思い返せば)。しかし幟も何もないマンションの駐車場に目印は車の「下の」地面に置かれたマークのみ..初体験には優しく無さ過ぎる。これはトラウマになってしまいます。
「この前を今だけで3往復くらいしたよねえ、いや疲っかれた〜〜」「まあ分かってしまえば確かに(家から)目の前ですし、次からは余裕ですよ、わざわざ雨の中近辺の駐車場全部把握出来ましたから」「しかしこれは..7人乗りですか..」
お互い車、詳しくないので気にもしてなかったが借りた車はステーションワゴンだった。ペーパーの座長はさて置いても、普段使っている車の長さ、奥行きでは無く密かにたじろぐ。会員で無い同乗者の運転は規則違反ながら、いざとなったら私が代わりますよと気軽に引き受けていたのが少々怖気づく。弟の車がこのサイズで、何度か乗ったことある。うん、たぶんだいじゃぶ。
すでに1時間、予約を待ちわびて点滅し続けているセンサーにカードをかざせばすぐに開錠。ボックスからカギを取り出し早速エンジン始動..は、キーレスエントリーですか、なるほど、ともはや順調。車が見つかった時点で私は一服したい衝動に駆られるも、車内禁煙だしすでに1時間車代を浪費しているからともかく出ようと、2人してあれこれと出発準備に集中。座長が初心者マークを付けたりと出発点検をしている間に、カーナビを使って目的の銭湯を探しますがすっかり、名前忘れてしまいました。何でしたっけ?
座長も覚えておらず、仕方なく地図を進めて最寄駅っぽいところから近くの施設を検索すると、そうそう!ネットで調べた銭湯の名前、出てきました。目的地に設定して案内スタートは、到着30分掛からず?車で30分は決して近場では無いけれど..ど、どライブ旅行って言える?
「んじゃ途中ファミレスでも寄って一服してのんびり行きましょうか」「大通り真っすぐだし、迷いよう無いね」
やっと、やっとの思いでカーシェア利用開始。大通りに出るまでは気付かなかったし、途中どこからか鳴らされたクラクションも「横入りしようとした車がいたんでしょ、我々鳴らされる理由無いですよ」と流していた、発車当初から感じていた「ビカビカのワゴンにしちゃずいぶん燃費悪そうだな、そんなに吹かさなきゃ進まない?」という異様なアクセル音に、あ、デジャヴ。
「座長ちょっとストップ。どこでもいいんでとりあえず横付けして下さい」焦らせないように落ち着いたトーンで停車を促す。
「どうしたの?」「いや、ちょっとシフトいじらせてくださいな。あ、やっぱり」
かつて、私も知人の車を借りて数百メートル進ませてしまったミスが発覚。その際も、大通りに出るまでは「最近の車は軽みたいだよな、こんなに吹かしても加速しないなんて」と思いつつ、大通りに出て異様な回転数、アクセル音なのに進まないので信号待ちでよくよく見れば、シフトがDの位置からちょっとズレていて、MTやNの位置になったまま走らせていたと。
「回転数があり得ない数字で走ってましたよ。この車格であのエンジン音はあり得ないっす」
「そうなの?あ、すごい軽い!」
この一連のやり取りで、座長がペーパードライバーだという事を実感。そしてナビの私も決して熟練教習者では、無い。
「これはもう、とっとと目的地に到着するべきだわ」そう密かに決意する。もはや一服どころでは、無い。平日昼間とは言え都内幹線道路を初心者ドライバーが行く。ドライブ旅行どころか決死行の覚悟が、要る。習うより慣れろ、事故なんて滅多に起こらないって。そう思いつつも、大通りを左折2回のみという旅程ながら「ほんとに合ってる?」という側道で突如現れた車幅制限ブロックにビビり倒し、「いやいや、これ通れる?」「止めましょう!今見てみます」後ろ3台を止めながら外に飛び出ればギリギリ..通れるんだねやっぱり。そしてあっけなく到着した目的地の駐車場、通りに面した入口は..「あーダメですここ出口専用、ですって」「さっきの横路地から曲がるんだ」「ぐるっと一周してもう一回戻ってきましょう」「戻れそう?」などのトラブルはありつつも何とか息災無く到着。したところで私の試練。
駐車場は空きスペースが点在しているとはいえ、2台3台空いているところは無し。となれば車庫入れは私の出番と。普段から停め慣れている右バックの状態になったところで「じゃ代わりますね」はいいけれど、入射角がちょっと、厳しい..。ハンドルを思い切り切ったら右が隣の車にぶつかりそう..いや、ぶつかるわこれじゃ。どうしよう?この角度で調整っても..左は大丈夫?バックモニター付きなのだがそもそもどう見ればいいのか分からないから放っておいて、右をぶつかるギリギリのところで後退していく。すでに次の車が先のスペースに入れようと待ち構えているから悠長にしていられぬ。ともかくぶつからずに一度入ってしまえばいい。物凄く右に寄った状態で何とか入ると、次の車を流しておいてようやく調整に入る。入ってしまえば後は微調整のみで、ここでようやくバックモニターの見方が分かり、きちんと左右スペースの取れた状態で車庫入れ、成功。時間にして1分弱、文字数200にも足りぬ出来事ながら私の本日の頭脳労働制限一杯であります。
這う這うの体で施設に入ったところですでに気付いていた話を振る。
「ここ前回のところと違いますね。俺初めて来たっす」「え?そうだっけ?」
パソコンで検索していた時に日帰り「温泉」としたから前回のスーパー銭湯はヒットしていなかったようで、正しくお目当ての施設にたどり着いていたが想定していた前回のビル銭湯ではなくここは平屋建て。座長にとってはあちこち行った事ある中での1つだから「んじゃ他のツレと来たのか。ここも来たことはあるよ」との事。
辛抱たまらなかった一服を済ませ、ではどんなもんでしょうかと早速風呂に入ると..これが「温泉」だけあってなかなか硬派な露天。湯温は最高42℃と冷えてはいないがクタクタの身体に染み入ります。内湯も各種泡風呂が充実、さらにドライだけでなくスチーム式のサウナまであって、一通り入っただけで1時間が過ぎる。一人の時のように日帰り温泉、堪能。
マッサージチェアも利用して、身も心もすっかりほぐされた状態で、さて、んじゃ飯どうします?帰り道ファミレスでも、うーん、ここで済ませてもいいんじゃないかな?食事処を眺めてみると、ピンと、来るものがある。
前回の一人ドライブで、日帰り入浴してそのままそこで昼を食べようとして、ざるそばカツ丼セット!と決めて入ったら完売していて、一気にテンションが下がって食べずに帰った記憶が蘇る。今ここに、つけざる(ざるそばのつけ麺風)カツ丼セットがある!
「いいですね、ここで食っていきましょう」
食べながらボソボソと話すのは、ここに来て良かった!車で来て正解!という自己肯定作業。行ったこと無い銭湯に来られて、しかも大当たり。ビールでも飲めれば最高と思いきや、この時間から飲んでしまえば後はグダグダで、やっぱり昼間は素面で動くべきなんですよと真実そう思うが別に車で来なくとも..という思いが頭をよぎる。
食後のひと休みをして、帰りやっぱりどこか寄ってお茶でも飲んで行きますかとドライブ旅行の元を取ろうと未練を残しつつ、日の出から起きていて無駄に歩き回った老体には座敷のゴロ寝が心地良すぎる。
隣の座長が軽いいびきをかき始めたと思っていたら、自分もフッと記憶が途切れ..どれ、帰る前に一服しようかと起き出して喫煙所で時計を見ればもうすぐ16時。何と3時間も施設に居たことに気付く。いやいや、ずいぶんのんびりした。6時間パック、片道1時間の遠出ドライブが実行出来たとして、残り時間ここまで寛げるイベント、場所があったか、どうか。行き先が風呂というのは少なくとも大正解だったと言えるのでは。
戻ると座長も起き上がっていて、んじゃ帰りますか。いや〜、寝ちゃったねえ。真っすぐ帰ってもいい時間になっちゃいましたよ。
帰り道は出口が入口と違うので自然別ルート。ナビで変わらず30分弱ながら、せまい通りは学童学生の下校ラッシュ。大通りに出れば退社前というのに相変わらずのプチ渋滞と、安全運転を踏まえても徐々に時間が伸びていき..16時40分、無事元の駐車場に帰還。両隣が空いていて、前の道も車通り無しということでここは経験値稼ぎと座長に車庫入れを任す。ナビするこちらも慣れていないので切り返しを10回近くしながら何とか格好良く収めることが出来た。荷物、持った。カサ忘れ無いね、んじゃ閉めまーす。で、もうひと騒動。どうやったらカギ、閉まるの?
車のカギは助手席のボックスに入っていたから元に戻すとして、んじゃドアのカギはどうすれば閉まる?センサーにカードをかざすんだ。またも反応せず。時間が来たら勝手に閉まるんじゃない?でもそれじゃ早めに返しても時間まで車で待機しなきゃならないの?マニュアルに載ってない?カーナビに出てた案内メールには?
あれこれやっていたら座長がモゾモゾしだし、コンビニへトイレを借りに行く。引き続き色々調べていたら、ボックスの中にあるスイッチにカギを差し込んで「返却」に回す。で車を出てカードで施錠して終了とナビに出てくる。スイッチは、あった。なるほどなるほど、で、最後のカードは座長が持ったままだ!
携帯の時計は16時52分。当初と同様にセンサーが点滅を始めて今度は施錠を待っている。まあ間に合うだろうと思いつつ、この車の時間はちゃんと標準時で合っているのかしら?1分違いでも返却遅れりゃ延滞料だし..少々気を揉んでいたら程なく戻ってきて、説明ももどかしくひとまずセンサーにカードをかざしてもらって施錠完了。トイレで時間は見ていたから間に合うと思っていたよとは座長の弁。
何だかんだで6時間、きっちり使い倒した初めてのカーシェアドライブとなりました。
その後今回の数々のトラブルの因果応報について結論に至ったのは、「初めてなんだからあまり欲張るな」という抑制が掛かったのかなと。中途半端に時間が余ればあちこち寄ろうとして、結果思わぬ事故でなくとも接触程度あったかも知れぬ。そして車探しから返却まで初体験の洗礼を一通り受けたのは、座長が気まぐれに夜中ドライブでもと予約していたらおそらく暗闇であの車を見つけられず、あるいは返し方が分からず、チョイ借りのつもりの1時間程度のレンタル料をマトモに乗れずパーにしてしまっていたかも知れなかったのを未然に防いだのではないかと。
実働1時間、駐車5時間のレンタルは果たしてアリなのか。費用対効果については少々再考を要する手段ではあるが、ともかくこれで、東京行きの楽しみが一つ増えたのは間違い無い。