制作の裏側 第3回

(初出:第261号 19.3.23)


初冬に行ってきた打ち合わせの内容をまとめてみました。

制作会議議事録  11月、某ファミレスにて。

萩原:
持参した資料(マーケティング戦略策定を使った進出フロー、前回掲載)を基に話を進めていきたいと思います。
まずは環境分析から。
一般環境・・現在のトレンドですが、どうなっているのでしょうか。
座長:
地方のキャラクターはゆるキャラ、被り物含めると様々あるからなあ。ネットや雑誌で調べてみるべきだろうね。
萩原:
分かりました。
では消費者環境・・メイン層はどうでしょう?
座長:
やっぱり子供、母子連れだねえ。
萩原:
子供向けというのは外せないですが、父親という層に食い込みたいですね。イケメン、参加型イベントで母子満足というよりは、カンフーアクションを見せて父子大興奮というのが理想ではないでしょうか。父子連れをターゲットにしていきたいと思います。
座長:
それで親子揃って武術を習ってみるか、となれば。
萩原:
では業界環境・・代表的なご当地ヒーローって何ですか。
座長:
千葉の鳳神ヤ○ルギかな、大手企業と提携して、店内イベントとかやっているし。
動画も本格的なの作っているよ。
萩原:
商業ベースに乗っているとなるとちょっと参考にはならないかも知れませんね。
独自でやっている団体のイベントって、どのような流れで開催まで至っているのか、調べられればいいのですが。
座長:
学生なんかは学祭とかでイベント打てるけど、一般のは自治体主催でないとあんまり聞かないなあ。
地方イベントで「ヒーロー大集合」みたいな形があるよ。うちも2年前に参加したことある。
基本は地元のお祭りとか、その手のイベントに参加しつつ、動画投稿になるかな。
萩原:
やっぱり相当な知名度が無ければ単体イベントは難しいですか。別主催のイベントに参加する形ですね。となると仮想競争団体を設定する必要は無さそうですね。どちらかと言えば共存共栄を目指すと。
座長:
あくまで武術教室のPR役、団体活動の一環としての役割だから、有名になる、話題になるのはありがたいことだけど、ここを中心に活動することはないよ。
萩原:
分かりました。それでは内部環境分析を中心に進めていきましょう。
全体像としては「小規模」なのである程度活動制約がある状況ですね。キャスト、裏方も少ないですし、専属という形ではありませんから。
座長:
だから単体でも活動していきたいね。俺以外の人でも動けるようにすれば、イベントのオファーがあれば対応出来るし。
萩原:
動画という形の活動にはこだわらないと。
座長:
今回のような短編映像であっても、制作するには少なくとも敵役含めて複数のキャストが必要になるし、プラス撮影役でしょ。コンスタントに上げていくのは難しいよね。
だからまず映像でヒーローそのものを紹介した上で、オファーがあればどこでも、何でも参加して、知名度を上げていって枝葉のように活動を広げていければと思っているよ。
萩原:
そうすると物語としては動画版として本編を作った上で、キャラクター単体としては被り物として活動することになりますか。
座長:
そう、話を中心にイベントを立ち上げる方向ではなく、キャラクターとしては「ヒーロー」の括りだけで自由にしていきたいよね。
萩原:
となれば本編の「多様性を受け入れない」組織との戦いというのは裏テーマとして認識します。
では強み、伸ばしていきたいところについてですが、これはやっぱりカンフーアクション、中国武術ということになりますか。
座長:
もちろんアクションがメインではあるんだけれど、それを見た流れで主催する武術教室に入りやすい導入になるような内容にしていきたい。子供向けを意識したキャラクターにしたいと思う。
萩原:
子供が食い付くようなキャラ設定..なかなか難しい注文ですが。
座長:
だから設定にある「サブカルに造詣が深いオッサン」というのはいいと思うんだよ。地域の特色にも絡んでくるし。
萩原:
年のいった大人の主人公と言えば「響」あたりですかね。考え方も大人だけど少々やんちゃなところがあると。参考にしてみますか。
では本編以降の活動についてですけど、独自の活動としてはどうしましょうかね。
個人的には投稿済みの、ヒーローが淡々と套路(空手でいう型)を紹介する動画シリーズがシュールで好きなんですが。
座長:
あれも単体で活動出来ないかと模索して作ったものなんだよね。出演も撮影も一人でやってるから。
子供向けということでは、ラジオ体操をカンフーバージョンに出来ないかなと考えている。
萩原:
ラジオ体操、いいですね。参加型のイベントにも出来ますし。
座長:
教室でも使えるしね。
今回メインキャストを俺以外にすることで、俺は裏方に回ろうと思っている。出るのはいいんだけど、ヒーローになるのはいい加減しんどいし、さらに撮影と編集も、ってのはさすがにね。
(編注:座長は近年まで盆暮れの行楽地でのヒーローショーでお馴染みのスーツアクターもやっていました)
萩原:
いずれ単体で活動をメインにして認知度を上げていき、武術教室受講につなげていくと。本編はキャラクター紹介を兼ねて、広がりは持たせつつメインにはしない。
他にPR企画の案はありますか。
座長:
ホームページを「武術教室」と「ヒーロー」別個に立ち上げます(編注:開設済みです)。それぞれで活動しつつ、リンクしていけば良いと思っています。

萩原:
それでは総括します。
現状のご当地ヒーローの活動を鑑みると、企業、自治体と組んで動かないと単体イベントは成立しない。その為にはやはり人材と資金が必要ということで、我々がそこを目指すのは難しそうです。
そこでメイン層ではない、父子連れの層を狙ってアクション主体の物語にしつつ、主人公単体で様々な活動を行い、それを動画なりイベント参加なりで紹介して「ちょっと、やってみたいな」と中国武術に興味を持たれるようにする。
ネットのページはヒーロー単体、武術教室案内を別個に立ち上げ、どちらから入ってももう一方に流れるような作りにする。イベントオファー、教室受講を受け付けるフォームを作成する。
武術、アクションの稽古を続けながら、受講生にヒーロー絡みの活動に参加してもらい、座長が裏方に専念できるように育てていく。
内容にこだわらず幅広く活動を続けていき、認知してもらう。
このスタンスを基に、では今回の映像(短編集)の内容についてですが...。

以下本編についてのアイデア出しが続きますが割愛します。

実際は前後含めると半日ほど、あれやこれやと話したものをまとめています。
こんなにスムーズに話が進むことはありません。
ただ、こうやって話し合いを読み返してみると、何となく狙いというか、方向性が見えてくるので少なくともゼロから話を立ち上げなくとも良いわけです。
後は各回のモチーフと全6話の流れを決めれば、それぞれの内容が形になっていきます。
残念ながら初回のプロットで募った皆さんからのアイデア募集は応答がありませんでした。(座長とはアイデア出しで色々頂きましたが)
独自で生み出した短編6話、次回シナリオを公開いたします。


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