制作の裏側 第1回

(初出:第256号 18.10.20)

久しぶりにオファーを頂いたのですが、すでに2年前に第1話の完成しているシリーズの話でして、しかもまだ撮影されていない作品になります。(舞台ではすでに掛かっています)
今回はそれのネット配信バージョンとして短編集を作りたいと、これもまたすでに2年前からお話し頂いていたのですが、私不得手のコメディ仕様で、ということと、それらを座長一人で完成させるという話でしたので、本編同様まあ完成には至らないだろうとかなり後ろ向きに受けて全く乗り気ではありませんでした。先日ようやく協力者が揃いつつあるということで、重い腰を挙げてみたもののまだちょっと懐疑的である。
そこでそれらのやり取りも含めて、一つの作品が出来上がるまでの流れを誌面にて公開してしまおうと目論んだわけです。

プライバシー保護の観点から、相手方の反応については取り上げず、こちら側からの応答のみを掲載します。またご当地についてはフィルターを掛けさせて頂きます(検索する甲斐はございませんが)。
そのためかなり不案内な内容になるかと思いますが、作品の裏側、感じていただければ幸いです。

第1回はプロット(概要)提示となります。


「都市名」守護龍ブローディアン  短編バージョン(全6話) プロット提案


設定:
ブローディアンの戦いの目的は、「多様性の容認」である。
様々な趣味、嗜好が交錯している「都市名」という土地柄にあって、偏見差別をもって独善的に振る舞う輩(=ガイアークとして集約)から攻撃される人々を守るのが使命である。

というコンセプトで2年前に送らせていただいたエピソード0及び第1話の、その後としてブローディアンの日々の活動を描くインターミッションという括りで考えました。

ガイアークの命により「都市名」に残り、伝説の剣奪還とブローディアン抹殺を狙うマダンはグンシーを使い「都市名」であの手この手の悪行を行いブローディアンを誘い出す。
ブローディアンが登場し、グンシーを蹴散らすと怪人が登場。毎回趣向を変えた攻め方でブローディアンを追い詰めるが最後は倒されマダンは逃げ去る。
(1話〜5話繰り返し)
第6話、ラストでリンの再来を匂わせて新たな本編を予告しつつ完。

このような流れとなっております。

キャストの面で、リン(女性)は今回出せないのかな?という事で彼女は一度仙界へ帰ったことにして登場させておりません。
ブローディアンの仮の姿である隆子も出す予定無し。(隆児はパターン変化を付けるため登場させました)
また設定ではシリーズ第2話以降に登場予定だったパンク学生も今シリーズに出すのは難しいと思い見送っております。

基本パターンは一律で、
OP〜
マダンたちの作戦会議(アジト固定)
街中での騒ぎ(脅しはするが目的はブローディアンをおびき寄せることなので一般人への危害シーンは無し)
ブローディアン登場
グンシーたちとの立ち回り
怪人との決戦
伝説の剣による必殺技炸裂
ブローディアンからの一言
〜ED(次回予告)

これで5分1話のペースで持っていきたいと考えております。

概要:

第1話 『「都市名」スラム化計画』

アジトにて作戦会議。迷惑行為をしておびき出そうという結論に。
ゴミをポイ捨て、さらに公園の樹木によじ登ろうとするグンシー(許可を得て撮影していますのテロップ入れる)
これらを咎める一般人を脅している(一般人目線の映像で一般人は登場させず)とブローディアン登場。

「ゴミはゴミ箱に。公園の樹木は大切にしよう!」

次回「急げ!全てを投げ捨て向かった先に地獄をみた」

第2話 『急げ!全てを投げ捨て向かった先に地獄をみた』

再び迷惑行為を検討し、駅前交差点の違法駐輪に目を付ける。
迷惑駐輪に、輪をかけて他の自転車を押しのけ乱暴に停めるグンシー(ボカシを入れ、イメージ映像ですのテロップ入れる)
これらを咎める一般人を脅している(一般人目線の映像で一般人は登場させず)とブローディアン登場。

「路上駐輪は歩道を妨げて危険だよ。駐輪場を利用しよう!」

次回「おもてなしDeath」

第3話 『おもてなしDeath』

パターンを変えてたまたま外国人に道を聞かれたグンシーたちが言葉が分からず混乱してヘイト発言をしたら隆児が居合わせていて人間(に見える)同士のアクションで完結。
そうしたら今度は隆児が外国人に道を聞かれることになるが、慌てずスマホを取り出し翻訳アプリで解決。

「困っている人を助けるのは誰でも一緒!」

次回「ガイアーク財政破綻」

第4話 『ガイアーク財政破綻』

前回の報告を受け、隆児を探すべく直接街に出たマダン(一行)は、個人的に欲しいものを見つけてしまうが持ち合わせが無く、万引きしようとして見つかる。
居直って強奪しようとするとブローディアン登場。

「万引きは犯罪です!」

次回「リアル○拳!?力は正義だ!」

第5話 『リアル○拳!?力は正義だ!』

プライベートでゲーセンに入り浸るマダン
eスポーツに熱くなり過ぎて直接対戦相手に襲い掛かろうとするマダン。
相手は隆児だった。
お互いブローディアン、マダンに戻り直接対決

次回「日はまた昇る」

第6話 『日はまた昇る』

(第5話からの続き)
敗れたマダンは敵わぬことを悟りながらまだ復讐の念に駆られている。
多様な人々で賑う「都市名」の街を眺めながら混沌はガイアークの思うツボであり、グンシーは無限に現れると嘯く。
そんな彼にブローディアンは混沌の中にも調和の取れた理想の未来像(「都市名」像)を語る。
心打たれ改心するかに思えたマダン..次の瞬間、ガイアークの叱責と共に怪人が現れマダンを木っ端微塵にしてしまう。
今までとレベルの違う怪人に戸惑うブローディアン。しかし戦いの前に空から光と共にリンの声が..!
画面は文字だけの次回予告
EDは過去回のダイジェスト


話し合っていただきたいこと:
とまあ、一連のシリーズを箇条書きにしてみたわけですが、ごみのポイ捨て(1話)迷惑駐車(2話)などどこも一緒の社会問題でわざわざ取り上げるテーマでもございません。
ただ、例えば「都市名」の実態を示すデータを追加してみたり、EDで「都市名」の取り組みを紹介したりすればPR活動を含んだ「ご当地ヒーローもの」としての役割も果たされるわけです。
それにしたってこんな話かよ..とは私も思いますので、ここは一つ皆さんに「「都市名」あるある」「「都市名」のトレンド」を踏まえたネタを提供してもらいたいなと。

最近読んだ4コマ作品にこんなエピソードが載っていて、その後実際に体験した話なのですが。
『河原にタヌキが住んでいるらしく、子ダヌキが生まれたんだって。通行人がみんなエサ投げるんだ、オレ達もやる?
そうやって餌付けされた子ダヌキは川から離れません。来週くる台風で流されて死ぬのでしょうね。
・・・オレ・・・そこまでは考えてなかった・・・』(海野倫「きっこと申します。」)
仕事帰りの深夜のコンビニで、入り口の前に猫が居りました。入ろうとして近寄ると、一応尻尾を立てて「ハァーッ!」と威嚇してきたのですが、距離を保ったまま「ニャーニャー」と鳴き続ける様は、飼ったことのない私でも分かります、「腹減った〜何かちょーだい」という懇願。立ち読みと買い物を終えて出てきたらまだ居る。丁度買ったばかりのソーセージ(何て食生活..は置いておいて)でも放り投げてやろうかしら、と、あまりの不憫さにほだされるところでしたが、前述のエピソードを思い出して止めました。餌付けされて自分でエサを取らなくなった野良は、与える人がいなくなれば餓死するしかない。私も毎日のようにそのコンビニへ行って食料を与えるはずがない。今、この場はそれで済むけれどもそれが彼らにとって本当に良いことになるのかどうか。
他方で余りの可愛らしさに、つい声を掛けてエサを与えてしまうオバサンとかの気持ちも良く分かる。
このように、人情味溢れるような一コマであっても、結局は単純に本能に従って行動しているだけで、知識を得て思考や想像を巡らせればそれが間違った行動であることが分かる。
単純な悪ではなく、一見これって正義じゃなかったの?と思えるようなエピソードが欲しいところです。

後は、近年特に感じる「不寛容社会」についても一石投じたいところですね。
今まで組織の力で封じ込まれていたタブーが一般人の力で公に批判を受ける。こういった話は快哉なんですが、人(ヒト)が他人(ヒト)のミスを許さない、機械のような完璧さを求める(他人に対して「のみ」)、こういった話も多くなったように思います。「人間だもの」と許容する余裕が無くなってきている。ガイアーク側にはその辺を突いた行動をしてもらって、ブローディアンがどう返すのか。
具体的な解決策など示せるわけもございませんが、問題提起が出せれば時代の空気を感じる特撮ものになっていくかと思います。
例えばブラックな話になりますが。
税金を滞納していて役所を訪れて一悶着起こした男が帰り道歩道のブロックが壊れていてそれに蹴躓き転んだ。慰謝料を払えと言う。
税金はそういった整備のために使われているので、実は未納が多く財政が苦しいためそこまで回っていない状況だったとしたら、間接的に自分の未納が怪我を招いたことになるのだが..。
あまりにも堅苦しい話なので使えませんが、こんな感じ。

こちらも試行錯誤を続けますが、何しろモチーフ(ネタ)が思い付きませんので..皆さまの力をお借りしたいと。

それからキャストについてですが、座長以外の皆さんの顔ぶれを私知りませんのでどのように描いていいか分かりません。設定上グンシーは台詞ありませんが、本シリーズではガイアーク側のやり取りも加えたいのでグンシーにもしゃべらせたい、となるとABCとしてキャラクター付けどうしましょう?
そして毎回のアクション、これも変化を付けるべきと思いますので毎回のテーマを提示していただきたいと。(この部分はシナリオが先かも知れません)

といったところを固めたところで実際のシナリオ制作に掛かりたいと思います。
「都市名」というご当地はかなりハードル高いと思いますが、非公式でも非公認でも活動出来れば大きい核になりますので、是非完成を目指しましょう!


最初のオファーに対してこのような提示をさせて頂きました。
さて次回、実際にシナリオの初稿は提示出来るのでしょうか、それともまだまだウダウダと調整が続くのでしょうか、乞御期待。


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