1.復刊本との比較(セリフ編)
(凡例)
小学館版/ページ数/人名・補足/修正箇所/→光風社版/修正箇所/
補足・・・人名はセリフを言った人。フは写植文字のセリフ。ふはコマ内の手書き文字のセリフ。ラはコマ外の手書き文字。効は効果音、効果線。
(...要は本を実際に見較べてもらえれば分かると思います。)
小6女ふ「美紅はよぉ」→ 光「あんたはさー」
8女ふ「キャー松田くんっ」→なし
9中原フ「本気だな。」→「おめー、本気だな。」
10相川フ「殴りたんねーよ。」→「殴りたんねえよォーッ。」
10男フ「まあまあ」→「うーむ、まあまあだね」
11男効ふ 汗あり 「だれも気ぃつかへんのかいな」→汗なし なし
11相川フ「若い娘は。」→「若い娘はよ。」
14中原フ「返さんかっ!」→「返してー!!」
14美紅ふ「はいってくんなっ」→なし
15中原フ「文化部会よ、使えないぞ。」→「文化部会だ、使えねえぞ。」
15美紅ふ「・・のわけねーだろ」→なし
17舞子ふ「ここにいたのね!!」→「ここにいたの!!」
18美紅効 どっひ〜ん →なし
28美紅フ「みてねーで」→「みてないで」
28舞子フ「オッハヨ」→「オハヨー」
32美紅効 なし→ ララリ♪
36美紅効 汗あり→ 汗なし
36美紅効フ へちゃ 「どしぇー・・・」→なし 「うわあ」
37美紅フ「うるせーよっ!」→「うるせー!!」
38美紅効 なし→ かあ
38舞子効 なし→ ぺらぺら
39美紅効ふ なし→「・・・・・」
39美紅効 なし→ カア
39有末フ「如月さん!!」→「美紅ちゃん!!」
39舞子効 なし→ ひいやあぁ
39中原他ふ なし→「・・・・・」
40美紅効 なし→ ういー
40美紅効 なし→ けらけらけら
40有末ふ「なんだそりゃ!!」→なし
40美紅フ「ウケてしまった。」→「いや本気なんスけど。」
41有末フ「きみには」→「あなたには」
44美紅効 よこらしお→なし
44美紅ふ「すげェ自信だなっ」→なし
45ラ 安全地帯→なし
60舞子他効 なし→ すたすたすた)))(立ち去る)
61効 なし→ HAIR STUDIO〜
62国香効 なし→ ’’’(美紅に気付く)
62美紅効 なし→`````(力が入る)
63美紅フ「あなたたちって」→「じゃああなたたちって」
64赤ちゃん効 ちるちう→ちう
65美紅フ「男の考えって」→「男のひとの考えかたって」
72美紅ふ「!!」→「う」
80美紅フ「はー生き返った」→ 次コマに移動
80美紅効 なし→ フンフン♪
83美紅効 なし→`````(手先の震え)
94相川ふ なし→「本当は世話好き?」
96百合フ「有末、」→「秋光、」
100美紅フ「気がするのよね。」→「気がしたのよね。」
100美紅効 チン なし→ ガチャ!!(受話器を置く音) はふっはふっ`````(興奮)
104有末フ「よいなあ」→「いいなあ」
107美紅フ「お願い!」→「人でなし!」
109美紅他効 なし→ じー
109美紅他効 汗なし→汗あり
119女フ「舞?」→「舞子?」
120舞子フ「聞ーてない」→「聞いてない」
121有末ふ なし→「そんでよー」
126有末フ「ムラができる!!」→「ムラができる・・・」
126ジョーンズフ「知らないでしょ?」→「知らないだろ?」
126ジョーンズフ「ないのかな?」→「ないの?」
126舞子フ なし→「そんな・・・」
127有末ふ なし→「やだねえ偽善者は」
129美紅ふ「芸も才能もないのに」→ 吹きだし付き
129中原ふ「はまりすぎー」→「バカだねー」
130ジョーンズフ「面」→「顔」
132女ふ なし→「買った買った」
133舞子効 なし→ ```”””(効果線)
133舞子フ なし→「行かない」
138ジョーンズフ「店終わり」→「店じまい」
140有末効 なし→「脳天気!」
140有末フ「かわいーぞ」→「かわいーな」
141ジョーンズふ「あんなの着てさーっ」→なし
141有末フ「しょーがねーよ、あるもんは。」→「しかたない、百合とはあるんだから。」
141ジョーンズふ「まだ続いてたのか」→「仲直りしたのか」
142美紅フ「んが。」→「え。」
144百合フ「有末!!」→「アキ」
147ジョーンズフ「よいね。」→「いいね。」
174ラ なし→「肩を抱いて」
176美紅フ「もう会えなくなるなんて・・・」→ 次コマへ移動
180百合フ「有末〜!?」→「秋光〜!?」
180百合フ「有末」→「アキ」
190美紅効 なし→ かああっ
194美紅フ「バスケやる」→「試合やる」
196美紅効 なし→ ふるふる
203男フ「あるだろ?」→「あるしよ。」
206有末フ「遊びに来ないか?」→「来るか?」
207美紅フ「花街?」→「花街だ・・・」
208有末フ「あ。」→「あ、そうそう。」
209美紅フ「スペアでしょーっ!?」「それにそれに」→「スペアでしょっ!?」「それに」
210ばーちゃん効 スス(障子を開ける音)→ 左に移動
214美紅効 なし→ かあ
215美紅フ なし 「元気してた〜?」→「わ〜ん」「元気だった〜?」
216美紅ふ なし→「いや〜ん」
219有末フ「貢がれェ?ああ、」→「貢がれって・・・」
222有末フ「七時に起こしてなー」→「水持ってきてえ」
223美紅フ「寝こけてろカバ者!!」→「寝こけてなバカ者!!」
224ラ「寝タバコはダメよ」→ なし
226美紅効 なし→ びくびく
229ラ「前も使ったな」→ なし
236ラ「オイラだって」→ なし
237舞子フ「あたし」→「わたし」
242ジョーンズふ なし→「うん」
その他句読点、漢字、ルビなどに修正点が、数ヵ所のセリフにトーンが掛けられている修正点が認められる。
2.復刊本との比較(作画編)
(注意点)
ページ数は小学館版。人名右の数字はコマ数。
32美紅4 口がついた
33有末2 鼻口修正
35有末1 笑顔に
35美紅4、6 口修正
36有末3 口修正/時計修正
36美紅3、4 口修正
38舞子4 鼻消去
39有末6 口髪修正
40有末3、5 口修正
40美紅3/5 口開け/口がついた
41有末3 目修正
42美紅2 赤面
42有末2/4 口髪修正/口閉じ髪修正
44相川6 赤面
59舞子3/4 赤面/口修正
60相川1 歯がついた
60美紅1 口開け
60有末4、6 口修正
62美紅6 顔修正
62有末6 目修正
63有末1 髪鼻口修正
63美紅1 赤面
65中原1 口修正
72美紅1 口修正歯がついた
78相川1 髪修正
84美紅4 髪に光沢がついた
98有末1 鼻口修正
102有末7 鼻修正歯がついた
105有末1 髪顔修正
107有末4 口修正
109有末美紅2 赤面
109美紅3 目修正
110有末2 手が肩に煙草なし
110美紅2 髪口修正
114ジョーンズ6 口修正
122有末他1 略顔消去
126ジョーンズ6 舌消去
127ジョーンズ2 赤面
130ジョーンズ2 口修正
130有末2 眉修正
138ジョーンズ5 口閉じ
140百合3 顔修正
140〜百合3〜 黒ストッキング着用
141ジョーンズ2 眉がついた
142有末1 目修正
144有末1 髪目口修正
146美紅他5 略顔消去
148有末5 顔修正
149百合1 右手消去
152相川3 目口修正
155有末2、6 髪修正
155中原6 髪修正
169相川2 顔にタテ線がついた
187有末3 髪顔修正
190美紅3 トリ肌(笑)
190有末4 口修正
198右下の男1 髪ベタ塗
209有末美紅3 セリフ中に顔
209有末4 目修正
210有末1 赤面
214美紅4 赤面
217有末4 髪顔修正
221美紅4 髪修正
226美紅2 口がついた
240有末5 眉修正
240舞子6 口開け
241有末2 口修正
241有末3 鼻口修正
242有末4 口修正
縮小率が違うので修正したか微妙なものもある。各扉絵は修正なし。有末の髪の修正は他にもありそう。
光風社版は印刷の濃淡の違いがページによって激しい(例:ダンパでのジョーンズのスーツ)。
3.「RUSH」との比較
「美紅・舞子」との時間差は約2年。従って全て一応の矛盾点。
学校の制服
有末と百合の家が別
百合の親友ミキ(美)→リツコ(R)
有末の始めての女性人妻(美)→百合(R)
その他「美紅・舞子」の時間軸(88年)を基準にすると、「RUSH」作中の小道具(ケータイとか)に無理がある(けどまあいいやね)。
4.考察
小学館版を持っていた人はどうしても変更点に違和感をもってしまうのではないだろうか。特に有末の人物設定は当初「耽美派、少女趣味」の二枚目であったはずだが、光風社版では登場からすでにその線は消えている。他には中原嬢の言葉遣いとジョーンズの女の子に対する話し方がやや乱暴になった印象がある。話の内容に関わるようなセリフの変更はなかったが、再読者には多少ひっかかるものがあると言えるだろう。
とはいえ作画の修正点の大部分は正直なところ「アリ」と言っていいのではないか。特に表情が豊かになった効果は大きい。口を大きく描くのは中期以降の先生の作画の特徴であり、少女漫画的な描写のまだ見える「美紅・舞子」ではどうかと思っていたが、特に違和感をもつことはない。しかし「109美紅3」の「タドン目」が「ドングリ眼」に修正されたのはどういう意図なのか、これだけはひっかかる(笑)。
「RUSH」はやはり別物と見たほうが良さそうである。「RUSH」を読んでから「美紅・舞子」を手にした読者に対するサービスかも知れないが、百合の有末に対する呼称の一致程度の話では両作品を結び付けることは出来ない。何といっても「RUSH」の百合は「伊達女」であり、「美紅・舞子」の百合は「強気の下に寛容と包容力をもつお姉さん」なのである。「RUSH」の百合がこのように成長するとは考えにくい。せいぜい「美紅・舞子P140(小)の、百合「ほんとー似合うわ、ひよこみたい。」を、文脈上は「ひよこ=ヒナ」ととるべきところを「ひよこ=日良子」と読んでしまう」くらいの関連で楽しむ(?)のがよかろう。
結論。「小学館版と光風社版、ふたつ持っていて損はなし」。