新・現在4コマ漫画レビュー 第78回

(初出:第277号 20.7.21)


-TOPIC-
デジタル原稿が主流となった近年は作品の保管が極めて容易になったと思われる。埋もれた生原稿の束から引っ張り出して、なんてこともなくUSBから呼び出して..しかも印刷すら必要無く電子オン書籍ラインで公開=販売と。
こうなると「幻の作品」なんて無くなるのではないか、4コマ誌自体も丸ごとWEB配信となればコラムや柱コメントなど含め半永久的に読み返せるのではないか、など夢が広がっていく..ことは無いようだ。
ブレイクした漫画家の過去作品がこの機に乗じて単行本化、という流れは変わっていない。

瀬戸口みづきの過去作「恋は地獄車」(芳文社)の完結版が電子書籍のみで販売。単行本は1巻だけ出ていたので最終回が残らなかった哀しい型だがこの通り。ちゃんと原稿は残っていて完全版で読める機会が巡ってきた。
とはいえ本作は、エッセイ調が強かった(4コマ)習作時代と言える頃のものであり、当時の4コマ誌を読んでいた身にとっては「初恋・症候群」(竹書房)は何とな〜く引っ掛かるものがあったんだけど..(紹介するに至らず)、程度の認識。
これを電子書籍で読もうとすると、お値段660円(×2巻)也。
ウーム・・・・。

作品にハマり作者の全てを読みたい、読み尽くしたい!と思えた頃ならこの電子書籍も夢のあるツールだったのだろうが..。今や「電子書籍限定の描き下ろしエピソード付き!」とあっても心が騒がない。
4コマ誌だけに載って、残ることのない企画ものを今までいくつ読んできたか..現在もだし。

過去作の復活より先月出された『めんつゆひとり飯』(ライフ)の最新3巻を手に入れたことにテンション上がるのが現実である(たとえ5月に読んだ話が6月に単行本化!?されていても)。
これもまた、作画の向上であったりエンタメ色の強いエピソード、展開で提供してくれる作者の努力が実った結果のブレイクであると、やっぱり市場主義には勝てないか。

ただ洗練されてきたようでも下地は隠せず。往時の下卑た笑い(誉め言葉)が時折入ってきて、思わず吹き出してしまう辺りは意外と過去作、相応に楽しめるんではないかと思ってしまったり。
いつまでもそこに気付ける愛読者でありたい、とは思っている。


-REVIEW-
コンビニで立ち読みすら「遠慮ください」という時期があり、それならとこの機に全誌購入してみたらやっぱり、今まで「読んでいない」からスルーしていた作品で、面白いことに気付いたものがいくつかあった。中で「単行本買おう」まで興味を持った漫画家についてご紹介。

渡井亘『恋愛感情のまるでない幼馴染漫画』(ライフ)
漫画は瞬間を切り取る表現に秀でているメディアである。これを最大限に活かして意味あり気なカット、シーンを随所に交ぜ込み、微エロラブコメを演出しているのにタイトルで全否定という!
連載当初はもっと直截的な内容で反響を呼んだようだ(立ち読みで見出すことが出来なかったのも道理)。不条理4コマ作品が一番正統派に見えた、今は無き「まんがくらぶ」誌の迷走時期と重なっている。混沌の中から金の卵はやはり生まれていた。
他愛のない会話を楽しみ、サービスショットを眺め、和気あいあいのままの展開で満足する、ハーレム環境での草食学園ライフは疑似家族ものを突き抜けてビジュアル系の新たな王道に成り得る。
作者はラノベ作家でもあり、字も絵も達者なマルチタレント。繰り返すがこの確信犯なタイトルは実に秀逸で、ストーリー4コマ推しであっても注目せずにいられない。(今さらですが..単行本3巻目が先日発売されています)



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