新・現在4コマ漫画レビュー 第71回

(初出:第259号 19.1.20)


-TOPIC-
トレンドに乗っかるのが4コマの得手とはいえ、悪い流れも右に倣えとなった。
昨年春の芳文社の2誌休刊時に記した話をもう一度繰り返しておく(第67回)。
『紙媒体については身も蓋も無く言ってしまえば「単行本の売れる作品で固めて発刊ペースを上げてやれ」で「WEB4コマで一発当ててやろう」というのが竹書房の4コマ誌における今後のスタンスではないかと読んでいる。』(一部改編)

年末、もう置いているコンビニが少なくなっていてやっと見つけた『まんがライフMOMO』誌(竹書房)を立ち読みしようとして、表紙を思わず二度見。「感謝」「ありがとう」の文字、そしてももせたまみ「せんせいのお時間」(竹書房)のイラスト..。終わって久しい作品が載る、ということは。反射的に裏を返してみると「15年間のご愛読ほんとうにありがとうございました〜」という結句。これで確信して購読に切り替える。
結果論として「もも」せたまみの載らない「MOMO」は永続しなかった。ポストももせを担った樹るうも巣立ち、「きらら」誌(芳文社)のような独自路線も取れず。しかしながらラインナップを見れば他誌でも同時連載のあるキラーコンテンツが揃っている。
という事でこれもまた某社に倣って連載陣のほとんどが他誌に移籍継続とつまりは枝葉切り。
そして個人的にも即座に思ったのは「これでまんがくらぶがまた4コマ誌らしくなるなあ」という安堵感。ショート作、ワイド4コマの比率が上がっていて革新を目指していたかに見えていた竹書房の元祖4コマ誌だが、これで迷走していたことが判明。年明けに早速移籍された作品が並ぶと、近年何故か唯一4コマ誌を感じさせてくれていたsaxyun『ゆるめいつ』(くらぶ)がようやく再び異彩を放つようになった。つまりは先祖返りが果たされることに。
元祖たる「くらぶ」が王道を守り、「ライフ」シリーズで新機軸に取り組む(ex.WEB4コマ「まんがライフWIN」)。数年前に見られた既定路線に戻ったようだ。
さらに一時代が経った頃、コーナーの片隅にしか置かれていないガラケのような存在に紙媒体がなってしまうかもしれないという危惧を孕みつつ。

-PICK UP-
4コマ(誌)もついに成熟期を経て衰退期を迎えたのかと思わせる近年の発刊状況ではあるが、このような事例が出てくるとまだまだ時代をリードする、トレンドを発信するメディアまで成長していなかったことが知れてしまう。
何で話題になったのかご存じないが、少なくとも4コマ作品ではない、いわく「2018年、最もアツい作家となった幾花にいろ」初の一般向け単行本が(という事は成人向けでブレイクしたってこと?)来月刊行される(芳文社「机ノ上神話 幾花にいろ初期作品集」)。
収録されるのは同社の4コマ誌に載った3作品だがまずもってタイトルに冠された作品は新人賞の投稿作。そして他作品もいずれ短命に終わった試験作と言っていいレベルのものである。つまり全てをかき集めて1冊にした、この「売れるものならどんなものでも」という姿勢は4コマらしい。
しかし「読者の支持を得られず」「単行本に足る分量まで至らなかった」作品を、作者の活躍に応じて慌ててまとめるような便乗商法をやられると、「何故4コマで育てられなかったかね?」と。
私は売れ筋を追えと言いながらシモはそぐわないと言う評価になるのが疑問だった新人賞で「机ノ上神話」を、辻灯子の系譜に連なる逸材として「同姓同盟」を過去に取り上げている。少なからぬ可能性を一般読者が感じ取れていたにも関わらず、現在作者は4コマに居らず、成年誌やWEB誌にてご活躍..。
この単行本化が4コマ凱旋のきっかけとなってくれればまだ幸いである。


-REVIEW-

おりがみちよこ『河原課長とギャル部下ちゃん』(ホーム)
独身中年と若すぎる部下との異文化コミュニケーションは少しだけ甘い期待を感じさせる、まあとはいえ親子ミュニケーションの域を出ないオフィスもの。中年の悲哀と歳の差を感じさせるエピソードが結構シンクロすることが多く、現実のイライラを昇華させてくれる新たなサラリーマン4コマのひな形となるのではと思ってみたり。
作者は別名義(折紙ちよこ)でのBLが主戦場..。なるほど、男を良く研究していらっしゃる。


池田乾『ふみのさんちの大黒柱』(ホーム)
今は無き「ファミリー」誌での疑似家族ものは「ホーム」誌に移籍しても元気一杯。新たなキャラクターとのエピソードも増えて作品世界は広がりを見せている。分かりやすいキャラ設定はテンプレの域を出ないものの、引き出しが多ければそれだけエピソードも積み上がる訳で。ロングランになる秘訣はつまりどれだけキャラクターを描き分けられるかにある。
作者は新書館で活躍中と言えばピンとくる、こちらもまたBLの方。しかしながらそれだけではない活躍を見せてくれているのが4コマ作品ということに拍手を送りたい。


じろあるば『鬼ムコさんと花ヨメさん』(ホーム、ゲスト)
大正時代の政略結婚、スパイとして送り込まれた箱入り娘が純粋な新婚さんの目で相手を眺めてみれば意外にも?
中性的なキャラクター描写とシチュエーションはこれもまたいかにもBLを想起させるものの、内容はなかなか凝った設定で読み応えある大河浪漫になるのではと期待して青田買いしてみたが残念ながらゲストまでとなるようだ。
今回「まんがタイムホーム」誌(芳文社)でまとめてみたのは「あれ?もしかしてBL系に侵食されてる?(失礼)」と思ったからだが作者はノンケ。昨年から本格的に漫画発表されているようで、是非とも4コマで大成してもらいたい。


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