新・現在4コマ漫画レビュー 第34回

(初出:第188号 13.1.20)


-TOPIC-
師走も押し迫った30日、久しぶりに定時で帰れたので4コマ誌を数誌、買い込み酒の肴にしていたら、胡桃ちのの柱コメントにしばし呆然となる(「まんがライフMOMO」誌、竹書房)。
野中のばらへの追悼コメントであった。巻末にはさらに編集者も同様のお悔やみを。
ネットニュースに載ってなかったよなあ、と慌てて調べてみると、自分の普段使いしているサイトでは取り上げられておらず。11月16日に急逝されていた、との事。住んでいた北海道では地元紙で4コマを掲載していたこともあり、かなり大きく取り上げられたようだが、こちらでは..。
にしても、確か「まんがライフオリジナル」誌(竹書房)で普段通り『奥さまうでまくりっ!』を読んだはず、とさらに後日確認してみると、柱には追悼、そして再録の告知。完全にスルーしてしまっていた。立ち読みの限界である。
ただまあ、この手のニュースはどうしてもっと早く気付かなかったのかというより出来ることなら知りたくなかった部類に入る。現在4コマ漫画家の訃報はただただ残念に思う。個人的には未刊で未完となってしまった超長編『奥さまうでまくりっ!』(200回を超えていただろう)のせめて傑作選でも単行本化をかねて切望していたが、校正もセレクトも当人がいない今となっては難しいだろう。エッセイコミック、特に定評のあるネコものでは直前まで単行本が出されていたから、もって瞑目するしかない。
最後の砦とは言わないまでも、時代の波に流されないスタイルでいた作者の突然の旅立ちに、心に穴の空いた気分が未だ続いている。

-PICK UP-
前回予言した「ストーリー4コマ」の隆盛は、芳文社だけを取り上げていたが、早速「まんがタウン」誌(双葉社)でも動きが見られたのでご報告。新年号(2月号)で一挙3本の新連載がスタートし、いずれもストーリー要素をもった設定だった。
うず『きぐるめくるみ!』(タウン)は重度の人見知りである主人公がきぐるみを着て高校デビューするか?という第一話。この突飛な設定だけを見れば学園コメディに思えるが、父親に呆れられたり(励まされたり)と結構深刻な症状として描かれており、一歩ずつ成長していくならハートフルストーリーの4コマ作品となりえる。その萌芽はすでに別の作品で見えていて、『炊飯器少女コメコ』(ジャンボ)ではロボット(炊飯器)である主人公が人間的な感情を持ち始めて戸惑っているところ。ややありきたりで展開の選択肢が限られている内容だが、こういった変化を終盤以外のところから描き出すのはストーリー4コマへの一歩に当る。
野広実由『大正 乙女カルテ』(タウン)は大正時代に医師を志し、学校に入学する女の子が主人公。歴史ものは最近色々出てきており、大正ものも過去に例があるが、雰囲気や設定を借りてきて現代風の話というのが大半。作者は『パティシエール!』(芳文社)に代表されるようにルポものは得手のはずなので、本格的な内容が期待出来そう。早速設定が女子医学「専門学校」に入学となっており(おそらく現在の女子医大の前身、東京女子医学専門学校がモデル)、ちゃんと調べてある。但しこれだけだとどこがストーリー要素?となってしまう。裏としては現在連載中の『惑い星と花』(ライオリ)という学園もので、思春期特有の悩みや変化を生々しく綴っているから。ルポものに、時代を感じさせる悩みやそれに挫けない決意が加われば大河ドラマになりえる。
もう一つの東屋めめ『押しかけ時姫』も、突然450年前から家臣の末裔の家にタイムスリップしてきた姫が主人公とSF要素満載。ちょっと不安なのは過去から「よろしく頼む」と自ら記した巻物が最初から登場している点。つまり戻れるのは確定事項であって、そこが主眼では無いようだ。ただこれがキーアイテムであることは間違いなく、取った行動によって内容が変わってしまう(ことに気付く)、なんて設定が加わると俄然緊迫性が出てくる。
そして気が付くと、「まんがタウン」誌はストーリー性をもった作品が増えてきていた。前作『そんな2人のMyホーム』(双葉社)で従来の恋愛もののラストエピソードにあたる交際(結婚)を2年ほどかけて完結させた樹るう『ぼくの奥さん』も野生児の奥さんが意外にコンプレックス持ちで単なるコメディにおさまらない感じだし、前作を読んでいなかったらそのものずばりまんが道を描く松山花子『少女よ漫画の星となれ』も始まっていた。さらに来月号では4コマ好きが高じて作者を交えてのトークライブなど展開している天津 向が原作者となり、これもまた現役の声優が作画を担当した新連載が始まるという。内容云々より、ストーリー性が強まっていくと必然的にブレーンの存在が必須となっていくから原作付きというのも増えてくるはずなので、この注目コンビが宣伝以上の効果を挙げてくれると4コマ原作者という職業もクローズアップされる可能性が出てくる。
現実として今回の新連載の面子を見ても分かるように他出版社の人気漫画家を取り込んでくるしかない状況にあって、ストーリー4コマを看板(特色)として掲げるのはいい選択だと思う。この場合1誌しかないというのは通読、購読に極めて有利に働くはずだ。今年伝統の神風吹くか。


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