新・現在4コマ漫画レビュー 第27回

(初出:第178号 12.3.20)


-PICK UP-
たまらずに買ってしまったのは「まんがホーム」誌4月号。前回言った強烈なヒキを受けての、新刊はパラパラとめくり始めるのではなく、裏表紙をそーっとペラリ。おーはしるい『夫婦な生活』は近年ずっとこの位置だから。するとドアがパタンと閉まる音に「ありがとう」。これを見ただけで、レジに向かった。
やっぱり終わってしまったんだと。どうもそんな予感が去らずに単行本を読み返したりしていたものだから、読む前から感慨に浸りまくる。思い返せば4コマを語りだしたのが丁度同じくらい、並べるのもおこがましいがずっと共に歩み続けてきたと言えなくも無い。キャラが固まってルーティンになっていたけれど、いよいよ新しいエピソードは読めなくなるのか..。
ところで、一方の小石川ふに『センセイあのね?』は何事もなく。すでに表紙から単行本「1巻」が5月に発売の告知が出ていたので、以下続刊確定ぽいと。さらに先が読めることになって嬉し過ぎる展開に。
ノロノロと読み進めたもののついに巻末へ。「最終回」の文字と「ついに完結」の単行本告知が決定打となり、劇的な幕切れなどではもちろん無く、ホームコメディらしい新生活への第一歩で締める形にただただ、心の中で拍手喝采。早速次号より「新シリーズ」スタートという柱に少し引っ掛かったものの、おまけのエピローグかあるいはスピンオフでもやるのかな、ぐらいにしか考えていなかった。ともかく個人的には一つの時代が終わったといえるほどの区切りを迎えたのだ。エッセイ好きがエッセイ漫画好きになり、エッセイ風の4コマに至る。そんな時期の代表作であった。
ところが2、3日後。もうすっかりセンチメントを忘れて酒のツマミ扱いで読み返していたら。本誌の次号予告を見て噴き出してしまう。『もっと!夫婦な生活』というタイトルで新シリーズ連載スタート!!..ですと。長期連載の続編登場は過去に例があるけれど、十数年やってからの第2期突入とは考え付かなかった。
言われてみれば読み返していた単行本の中で、設定が12巻までずっと27歳だった主人公夫婦が13巻で一気に29歳に進んでいた。全15巻、すでに2〜3年前から次の段階、30代の夫婦という新たなテーマで描くことを想定していたのだなとこれは後付けの話。読んだ直後は上記のような随分と感傷的な想いを抱いていたわけで。ツイッターなんぞで即つぶやいていたらとんだ赤っ恥だったと苦笑い。
ともあれ人気漫画家の代表作、まだまだ続くことには諸手を挙げて大歓迎であります。

-REVIEW-
近年完全に主流となった「エピソード積み上げ型」の作品であるが、従来と違う弊害が見受けられるようになっている。極めて些細な問題なのだが丁度好例が見つかったので挙げておく。
単行本化がスタンダードになって、いわゆる「ジャケ買い」が出来るようになった。マトモに読んだことは無いがとりあえず買って(読んで)みようかと。そんな一人、安田まさえ『数学女子』(くらぶ、momo)は単行本で注目し、そこから掲載誌で読むようになったのだが。先日脇役同士が付き合うことになるエピソードが登場し、呆気に取られてしまった。単行本1巻から出てくるキャラクターとはいえ、当初の描かれ方で両者に接点はほとんど無い。そこから何らかの展開があって、今回の結果に当然なったのだろうが、読みはじめたのが最近だから途中がすっ飛んでしまっている、から状況が分からない。
かつて恋愛沙汰は全て確定項であり、進展するイコール大団円であった。まして脇役同士のカップリングなどあってないような代物で、本作のように話が進んでから改めて惹かれ合い交際に発展するといった流れは4コマで存在しなかった(と言い切ってしまう!)。
だからどこから読んでも差し支えなく、だから読み捨て漫画だったのである。現在は一度読み始めれば順を追って読み続けない限りこのように連関するエピソードで戸惑ってしまう。これが上手く購買意欲に結び付けば万々歳なのだが、よく分からないからや〜めた、とならないように尚一層の努力が求められることになる。
ご安心下さい、本作は通じて読むに足る、実に完成度の高い作品である。数学科という専門度の高い学科を舞台にしたキャンパスライフで、作者自身の体験も含まれたエピソードは知的好奇心をくすぐられる上に主人公はノンポリの落第生で、我々素人にも取っ付きやすい等身大の目線になっている。2009年のゲスト登場以来、掲載誌が示す通りの人気作で単行本もすでに既刊2冊。初コミックスということからおそらく初連載作品でもあるのだろうが、当初から絵柄は整っており多分に漏れず同人で活躍していたに違いない。結婚後の遅咲きデビューということで、エッセイ風の作品も今後描いてくれるんではないかと楽しみにしている。


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