新・現在4コマ漫画レビュー 第10回

(初出:第152号 09.12.20)


-TOPIC-
先般ご承知のように、「クレヨンしんちゃん」の作者臼井儀人が不慮の事故で亡くなられた。最悪の結果が明らかになった直後、「まんがライフ」誌(竹書房)は25周年記念号で、作者のお祝いコメントが当たり前だが元気一杯に載っていた..。紹介済みの通り、作者はいがらしみきおの系譜に連なるギャグ4コマで一時代を築いた人であり、近年(「スーパー主婦月美さん」以降)4コマでの連載作からは遠のいていたものの、ショート作品である「クレしん」はアクションの伝統的神風から特集号での自立を経て3巨頭の一、「まんがタウン」誌(双葉社)を生んだ立役者。
先渡しの原稿が12月号分まであり、さらに数ページの「遺稿」が見つかったため、3月号までの継続が告知されている。とはいえ先渡し分はともかくとして、たった数ページで3号分延長というのはちょっと不思議で、この遺稿が完成された原稿を示しているとは思えない。その、1月号を読んだ上でのあくまで推測だが、ネーム(初期の下書き)が見つかったのではないか。それを仕上げたのはおそらくアシスタント陣で、その出来如何が本作のさらなる継続を決めるのかも知れない。
例えばすでに原作(者)を離れて進行していたアニメは今後も変わり無く続いていくとのことで、毎年恒例の映画も滞りなく。しかし原作の方は何とか区切りの年度末まで持っていけそうだが、注目は春先になる。大看板が無くなるかも知れないことで、「まんがタウン」誌は4コマ専門誌としての真価が問われることになる。誰にとっても不幸な今回の出来事を、何とか乗り越えてもらいたい。

-PICK UP-
このところ、購読する4コマ誌が増刊号、いわゆる人気作品をまとめた特集号に偏っていることに気付く。
あまり大きな声では言えないのだが、一冊丸々読む4コマ誌というのが今は無く、どうしても資料的な買い方になってしまっている。そうすると、あとは大抵立ち読みで済んでしまうという..。単行本に関してもそうで、基本軸が古本屋での出会い買いであるから、新刊を手にするのは必要に駆られた場合、に限られてしまう。
そこで特集号である。人気作、看板作がまとめてあるから読まないところが無く、単行本より手軽。しかも書き下ろしが付いている場合が多いので若干のお得感も付いてくる。さんざん立ち読みした挙句、ついつい、手土産代わりに購入して帰宅してしまうのである。
芳文社は「まんがタイムコレクション」シリーズ、竹書房も「まんがライフセレクション」シリーズで月1〜2?冊ペースで定期刊行されており(いずれも増刊号扱い)、ぶんか社もおそらく同様。双葉社だけ、定期刊行は無し(クレしんのみ増刊がある)。で、特集号といっても個人誌としてのバランスは多彩。丸々一冊一作品のひらのあゆ(ラディカル・ホスピタル)や大井昌和(ちぃちゃんのおしながき)、連載作がまとめて載るおーはしるい(わくわくワーキングなど)、むんこ(らいか・デイズなど)などがローテーションで出されている。ぶんか社の増刊号はかつての双葉社「クレヨンしんちゃん特集号」のつくりに近く、「たかの宗美 主任がゆく!スペシャル」というタイトルで中味は普通の「みこ半」連載陣が勢揃いしている。
当然買う動機は冠になっている漫画家が、作品が目当てとなるものの、いわゆる「お試し版」として併録されている別な漫画家の作品も、芳文社と竹書房の場合は数ヶ月分をまとめてあるので、新しい発見をする良い機会になる。
4コマ誌はどれがどれだか..と、なかなか手に取れない人にとって、個人名のついた特集号は最適な「入門書」となり得る。もちろん、愛読者にとっても重宝する一冊。ぜひ暇つぶしに、と言わず能動的に購読してもらいたい。

-REVIEW-
ビジュアル系4コマは新しい時代を切り拓いたけれども、なかなかメジャークラスに押し上げるメガヒットは産まれないなあ..とかつて嘆いたことがある。いよいよ、歴史を変えるような作品が産まれた!..の?という話。
夏の某日、新聞を見ていて仰天したのはオリコンチャートのベスト5前後に『けいおん!』(きらら)のキャラクターソングが複数曲、入っていたこと。超メジャーの新曲がリリースされた週だったので、ライバル勢が軒並み回避したからではないかと思っていたが、秋の某日再び同じようにチャートインしており、深夜アニメの企画ものが上位を占めたという現象は現実なのである。
蒼樹うめ「ひだまりスケッチ」のアニメが3rd.シーズンに入ったり、4コマ→アニメ化→好評という図式は出来上がっているものの、大ヒットというところには程遠いと感じていたから、この一般市場といえる「CD売上げランキング」に食い込んだ本作はもしかしたら歴史的な金字塔では?と改めて注目することにした次第。ちなみにアニメは映っていたものの、他の番組を見てたかで未視聴でした。
..さて、作者のかきふらいは自身のHPが現在「けいおん!」のPRページしかない状態なので、前歴は分からない。おそらくは同人で大成していたのであろう、連載当初からすでに整った作画である。本作は部員が集まらず廃部寸前の桜高軽音部に集まった新入生4人(初心者含む)の破茶目茶なバンド活動をメインにしている。紆余曲折はもちろんありながらも、パフォーマンス込みのガールズバンドにはならず正統派を目指す辺りや、プロ志向で無いから非常に緩やかな展開ながらも、学祭などお披露目する場はあって時に熱血したりと、あくまで高校の部活である設定があらゆる点で上手く効いている。とまあ、確かに学園ものに音楽要素を取り入れたのは興味深い点ながら..内容としては王道過ぎるといってもいいキャラクター設定、展開なのである。正直なところ、突出している部分があるとは思えなかった。
そんなわけでどういう形で紹介しようかと悩んでいた後日、某番組を見ていたら、今年話題のアニソンとして「けいおん!」が取り上げられていました。オリコンチャートの何と1位も取ったようで、アニソンでは初となる数々の記録も打ち立てたそうな。アニソン自体が近年新時代の到来と謳われ隆盛を誇っているそうで、つまり..。本作は4コマ漫画としてではなく、「音楽ものアニメ」=アニソン新時代を象徴する作品として爆発的なヒットとなっているようなのです..。
むろん原作あってのヒットではありますが..4コマ新時代を広く啓蒙する作品と紹介するのはまだ大仰過ぎのよう。ただし、布団はすでに小刻みに揺れており、吹っ飛ぶ寸前と言えそうです。


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