素人雑感・極一部

(初出:第180号 12.5.20)


前号の編集後記で触れた通り、「GWを含む」休みが入りまして。十何年ぶりの椿事をどうしようか、悩んだ末に立てた予定は「連休明け」に動こう(どこか行こう)という、消極的なスタイル。しかし当てにしていた線からNGが出てしまい、どうしても4連休にイベントを作らないと間が持たなくなってしまいました。

平日から連休に向かう、一般的サラリーマンの日程に割って入り込み、2〜4日横浜を訪問する。2日は平日なので相方の仕事終わりまで時間を潰さなくてはならない。折り良く秋葉原にて「大友克洋 原画展」がやっているのでそれに寄ってから横浜へ向かおうと。期間中のイベントを一つ、捻り出した。

事前予約による入場規制がある、とのことだったが余裕があれば当日券もでると。連休の谷間だったので当日、向かう足でコンビニに寄ったら目論み通りチケットをゲット。天気もあいにくのドシャ降りで、割と閑散としているだろうと思っていた。「AKIRA」以降だから20年ほど、映像の仕事がメインになっているので懐古ファンがほとんどであろうし。
ところが入ってみれば群がる見物客で、隙間から眺めるしかない盛況ぶり。客層も意外と若い人が多い。世界の大友とはいえ、さすが東京、クリエイターのたまごがひしめいております。
オジサンたる私にとっては「AKIRA」以前のイラスト、漫画はドンハマリ。手元に単行本がありながら久しぶりに「原画」で再見。CGが原始的な代物であった時代の、手書きによる精巧な描写は改めて感嘆してしまう。しかし原画で眺めるとカラー作品であっても意外と単純な、素朴な筆致である。印刷を介して細かなアラが取れ、その辺りを計算してあることに気付く。プリントアウトされた出版物が完成品とすれば、原画はまさにその下書き。一枚絵を眺める展覧会ではなく、創作の過程を辿る研鑽会、といったところ。
譲り合いながらも機を見て最前列に立つなどしてイラスト部門を進んでいくと、唐突に「井上雅彦」が思い浮かぶ。人物描写など、何となく似ているんじゃないかなと思い至る。そして直後に仰天。最近流れていたボルヴィックのCM、キャラデザは井上じゃないかと思っていたら、今回の原画展に出品されていた。つまり大友・作であったのだ。自身の直感と奇しくも符合したのでテンション上がる。
(さらに後日、書店を通りかかって「BRUTUS」4・15号「大友克洋、再起動。」の表紙に釘付けになる。井上雅彦との対談が載っていると!バックナンバーながら即購入。期待に反して絵柄の相似には全く触れられていなかったが、各種資料は原画展の補完に大いに役立った。本来は予習としての特集だったものだが。)
懐かしい奇天時代の作品など漫画も堪能した時点ですでに1時間半経過。さて、いよいよ「AKIRA」全ページ展示のコーナーで名場面を拾っていこうかと思っていた矢先、携帯が動く。場内撮影禁止のため、いらぬ誤解を招きたくないと慌てて廊下に出て開くと、ああ、いつもより早い時間に「仕事終った」という相方からのメール。同じタイミングで出るとすんなり横浜合流となるので、イコールタイムアップ。まだ半分、未練たらたらだが..そもそもは暇潰し、元は取ったと「AKIRA」コーナー素通り。ここだけは撮影しまくってください!という金田のバイク、童夢のズン壁を来場記念に写メに収める。グッズ販売のコーナーは行列が出来て入場20分待ちとのことだったが、ここは特に魅かれることなく会場を出る。
「AKIRA」を読みに行ったつもりが、「AKIRA」だけ読まずに(見ずに)出ても大満足、という結果は今回の原画展の規模を物語っていると思う。行っても行けなくてもいいやと半端な気持ちながら思い腰を上げて良かった。

さて、実は写メを取るのもちょっとためらいがあった。というのは携帯の電池、今やメモリが1。出掛けフルだったから充電せずに出てきたものの、道中音楽を聴いたりしていてあっという間に消耗していた。余裕があれば携帯ショップで充電してもらおうと思っていたものの..ロスタイム無しで合流出来るというのに10分もボーっとしていられないし英雄、ショップは見当たらず。
移動中の電池切れを覚悟し電車の発車時間だけメールしておく。到着時間を検索して合わせてくれよと。
横浜(市内の某駅)に到着。「了解」の返信がきていたので改札付近に居るはずだが..居ない。こりゃマズイ。いよいよショップを探さなくては。駅前に出て一渡り眺め回すも、無い。商店街へ向かおうとすると、ようやく「着いたぞ」とメール。わわわ、そこで待っててくれ!と返信しようとしたところで、携帯、ギブアップ。慌てて引き返す。ここですれ違うと2〜30分無駄になってしまう。改札に戻ったら、居た。ギリギリセーフ。
携帯があるからこそのアバウトな待ち合わせであり、携帯が無ければホンの数メートルの距離に居ても気付かずに探し回ることになる。事実、わずか5分のタイムラグでこの通りの右往左往。依存度は年々高まってきている。

横浜訪問は年1〜2回で恒例化していて、2日目はスーパー銭湯、家飲みと決まっている。今回も連休初日であるからむしろこの線で問題無し、銭湯すらもどうかと考えていた。すると前回の温泉サプライズの返答か、「中華街行こう」と。観光するでなし、飯食ってくるだけ、となると、正直ありがたい。人込みを避けつつも連休ぽいじゃないか。職場へのお土産も早々に済むし。
あいにくの小雨模様が一日続いてしまったが、そのせいか昼の銭湯も思った以上に空いていた。そして中華街へ車で向かったので、結果道中外人墓地やら観光地をドライブすることに。北京料理、青島ビール、紹興酒とイベント感を満喫。ちなみに中華街で家族で飲食なんてのは「初めてなんじゃないか」とのこと。地元じゃなかなか足を向けないというのはいずれも同じ。わざわざ一席設けてもらい、いつもの、ではなく小旅行の趣となった。

翌日はいよいよ、当初から決まっていたイベント。友人の来仙、その接待である。早朝の東京は、まだ雨。一足先に帰るべく新幹線のホームに立つと、前日結婚式で深酒のはずの友人から早くも「今日はよろしく」とメール。会ってから聞いたら案の定3次会4次会..とあったものの、大浴場付きのホテルだったのでサウナ水風呂のローテーションで酒、抜けたと。
こちらは前日紹興酒を残す体たらくで宿酔いなどあるわけ無し。締めのビールまで付き合える、と思っていた。
最初の一軒は、昨年来いつも満員で入ることの出来なかった店。期待していた通り地酒が充実していて思いつくままに頼み、相応の値段でお開き。ここまでは問題なし。2軒目のチェーン店で、早くも限界を感じてしまう。ビール、梅酒と頼んでから、これ以上のアルコールは無理、と痛感。お茶を飲みつつそこまでは付き合ったが、さあ3軒目というところで「限界ですさようなら」。呆気に取られる友人達を尻目に、逃げるように帰ってしまった。
元々一定量に達すると眠気に負けてしまうタイプだが、横浜の相方からも「お前の方が先にダウンするとは」と言われていた。まあこの時は2人で一升空けているから特に気にならなかったし、翌日の紹興酒もやっぱり好き、ではないので残したのは体調のせいではないと思っていた。しかし今回の逃亡劇は「あれあれ?弱ってる?」という不安の種を宿した。まあ普段まずない外飲み3連荘であったから、むべなるかなといったところではあるけれど。

言っても午前様だったのだが、やっぱり宿酔いなどなく、何せ休みが続いているものだから友人の荷物持ちを買って出、チェックアウト〜新幹線の時間まで付き合うことに。友人は4時5時!?まではしごして放心状態。それでも久しぶりの街を放浪し、キッチリ天一で締めて帰っていった。
ところでこのところ思うのは、スマホ、増えたな、という事実。ちょっと前まではホントに数えるほどだったのが、気が付けば周りがほとんど使っている。買い替えを機に、ということなんだろうが、自身はどうするか、かなり迷っている。というのは、携帯でネットを2年くらい使用していないから。通信がメインであるスマホを持つ意味があるのか、どうか。友人はすでにiフォンで、ツイッターもやり込んでいる。今回の来仙でも店に着きゃ、料理がくりゃ、つぶやいていた。この感覚を、パソコンで週イチペースでブログでしろよというような内容を発信している私が持てる感じがしない。この雑記もそうだが、ある程度期間を置いてからでないと語れない、体質なのか何なのか。フト思い浮かんだことを書けば酔っ払いのクダ巻きレベルである。携帯はコミュニケーションツールであって、発信媒体ではない、と考えている。この辺り、どうやら勘違いがあるようなのだが、この時点では気が付かなかった。
但し、スマホ、いいなあと思っているのが飲み屋でつべを観られること。昨年東京で体験していたが、今回も懐かしい地方CMの話題になって、即座に映像が出てきた。これは堪らなく良い。極上の酒の肴になる。うーん、ただそれだけのために、となると..。

GWは順調に消化し、残すところ週末の土日だけなのに、ここで手詰まりになってしまった。弟家族が泊まりにくる予定が、休みが思ったように取れずキャンセルに。大人しく家に居て、週明けどこか行くとするか。いやしかし考えようによっては、平日またぎで泊まれない組がいなくなったので、GW直後の安価で温泉一泊に行けるじゃないか。早速両親に話を持ちかけ、首尾よく近場の宿を取る。これでGW最終日まで、切れ目なくイベントを入れることが出来た。
蔵王の麓、遠刈田温泉へ、行きはあえて山形方面へ出て蔵王を越えて向かうことに。天気予報が悪かったので、あくまでドライブとして考えていたのが、午前中晴天のままで山寺に登る。下りて車に乗ったところで真っ黒い雲が空を覆い始め、山形市内に入って一気にドシャ降りに。視界が全く利かなくなるほどの雨に(車では)初めて遭遇する。時速20km程度でかろうじて見え隠れする前方のテールランプを目印に..久々に車で危機感を味わう。当然お釜見物は断念、宿の露天では台風並みの風雨にさらされ、と午後は散々なように見えて、実は大満足の部類であった。
というのもこの旅程、雨に遭ったのが蔵王越え、つまり車移動中のみで、連日の雨や雪解けで滝は瀑布並みの水量だわ、山寺は萌黄色の絶景、対照的に蔵王山中は2m近い雪庇が残り、昼食で寄ったラーメン屋は大当たり(鶏ガラ塩味のチャーシュー麺!)、そして何より風雨治まって向かった離れの露天には誰もいない!!
最高潮は早朝の風呂で、全っったく誰もいない温泉を独り占め。大風一過のピーカンに、世間様はGW明けの出勤時間である。ここで悟る。ああ、この状態をツイッターでつぶやきたいと。なるほど、この状況は後日パソコンで、では語り尽くせぬ。もっとも風呂場は携帯使用不可なので、その場では自慢、出来ないのだが。普段ツイッターを使いこなせていないと感じているのは、つまり単調な日々に発見を見出せないでいるからで、ちょっとイベント事があればその場でつぶやくというのはさしたる難事では無いと思い直す。

いよいよ残すは平日の3連休、隊長と飲みに行って締めようとメール。しかし気になるのは酒調不良。休肝日一日取って、温泉宿だからと日本酒を持参して行ったものの、結局風呂後の缶ビールと食事中の白ワイン一杯でバタンQ。最初の一杯は飲みたいんだが、その後どんどん「いらなくなる」んだから弱っていることは間違い無さそう。なので街へ繰り出すではなく、近場のファミレスで軽く..と弱気な誘い。ところが青天の霹靂、明日から3連戦=仕事だから無理ス、ですと。ここで再び逆転の発想、じゃあ球場で野球観戦をしようじゃないか!
今回の長期休暇は良くも悪くもGWが中心になった。人込みを避けよう、プラチナ価格を回避しようと考えながらも通り一遍に遠出し、飲み、温泉に浸かった。しかし世間様と軌を一にしようが逆を行こうがイベントを実行に移すには独りでは腰が上がらない。連れがいなければ何連休であろうと単なる仕事が休みの日、というだけである。結局ずっと雷雨があるという予報に二の足を踏み、テレビ(ラジオ)でナイター観戦→転寝の繰り返しで過ぎ去ってしまった。
休みも..。

後日談。隊長とは翌週改めて街で本飲み。すでに日常に戻っていたから体調も大丈夫だろうと飲み放題、同期の店へといつものはしご酒。しかし10時を回る頃には眠気絶頂。早々のお開きとさせてもらった。肝臓が、というより肉体疲労、いや精神疲労か。どうも「何ボでも飲めるな!」という日が久しく訪れておらず、秋の健康診断がちょっと恐い。
この席で隊長から興味深いスマホ話を聞いたので披露。馴染みの店で隣に座った中年男性が、店のママ(婆)から番号交換を求められると「いや、俺の電話登録出来ないんだよ」と困りきった口調で返答。登録が一杯で入らないのではなく、店との交流を拒むのではなく、理由は「登録方法が分からない」。さすがにそのくらいならと隊長が間に入って登録してあげる。話が進んでママが懇親会を開きたいんだけどいい店知らない?と切り出すとこの中年男性、某寿司屋がいい!と薦める。しかし場所が今イチ思い出せないでいる。えーと..と唸っている間に隊長がネットで検索し、「これですか?」と見せると「そうそう、これこれ!へえすごいねえ、一発で出て来るんだねえ」と感心しきり。いやいや、こういう時こそスマホの出番でしょうが!
結論、こんな方でも持っているスマホに気後れする必要無し。料金プランが妥当であれば、次の機種変更は素直にスマホにします。


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パソコンを不本意ながら買い替え。。