それが、歴史になる              JBィ

(初出:第123号 07.7.20)

天罰テキメン。テレビ欄を見ると「タモリ倶楽部」にまるしゅう、つまり最終回の表示が。
流浪にして毎度おなじみ、個人的にも中学辺りから見ていたかなりの長寿番組だったはずだが99のラジオと被っているので近年はトンとご無沙汰だった。その割に、回顧録などの気配も見せず通常30分であることに不審&不満を抱きつつ、ともかく義務として見届ける事に。
オチはラスト、「今回で終了です。来週からは〜」という「字幕」が現れ真相判明。何と低視聴率により本地域での放映がストップしてしまったのだ。森田ならぬタモリ本来の顔を見ることの出来る、いい番組だったのだが..続いていたらラジオ優先で間違い無く見て「いなかった」のでグウの音も出ない。
しかし久々に見たけれど相変わらずツボを押さえた内容。映画「第三の男」で流れた音楽は?と言って分かる人は少ないだろう。けど聞けばすぐ分かる。「エビスビール」のCM音楽としてお馴染みだからだ。とまあ、単に実際に演奏してみようと入るのではなく、名曲に関係なく付いてしまったイメージをまず枕にしていてその着眼点には恐れ入る。見れなくなると見たくなる。デジタル放送時代を切望してしまふ。

偏屈が誘惑に敗れてしまった。久しぶりに映画館で「大日本人」を鑑賞。
松本作品はオリジナルビデオの頃から見ていたので、初の長編=映画も楽しみにしていた。ただしレンタルに出てから、の話である。近年は完璧にそういう流れでしか映像作品は見ていない。ところが、深夜ラジオで本人が「かなりの傑作ヨ」と吹聴しているのを聞いて、途端に曲がったヘソが動き出す。奢りじゃ無いの?と。
意識はそういう訳で一気に「見ない」方向へ。しかし周囲の取り上げ方が尋常では無い。カンヌ出品→好評、「4回見ないと分からない」いや「4回見ても楽しめる」等々..そしてギリギリまで明かされなかった内容が、断片的な映像でようやくコマーシャルされ..「だいにほんじんだよ。」と松本自らが真面目臭って言動する様が決定打。いかん、これは間違い無く面白そうだ..情報番組のロングインタビューが追い打ちをかける。ラジオと同じ内容を話しているのだが、テレビは表情が見える。ハニカミながら、しんどそうに顔をゆがめながら..必死でつくったという真情が現れている。
というわけで重い腰が上がった。端的に行こう。本作品の眼目は、徹底した「引き笑い」である、と見る。大の大人が有り得ない状況に立ってしまっているのをひたすら主人公=松本の言動を通して失笑させる。周囲の関係者側に視点を移して彼らの思惑を丁寧に説明すればもっとドラマティックになるはずのところを徹底して省略してある。大衆的な、普遍的な受けを固辞しているかのように。当初、傍役たちがあまりに下手すぎてキャスティングミスを疑ったがこれもわざと、だ。彼らと主人公とのコミュニケーションは(演技どおり)ガタガタで、しっくりハマっているのは旧知の盟友、つまり同業者たち扮する異形のものたちとの絡みでこれも一貫している。
と、後日別のドキュメンタリーで本人が語っていたのはまるで逆の主旨だったのだが..。曰く「とても分かりやすい笑いに終始したつもり」「(無名の役者を多用したのは)演技演技した感じが嫌だったから」etc...。ただ意図的でないものを見つけだすのは第三者の眼であるから一意見として修正はしないでおく。
ともあれ。非日常の状況を想定し、「んなわけあらへんがな」という本音を含ませつつもなお突き詰めていく..これは漫才でもトークでも、ショート作品においても終始一貫した松本の笑いの作り方だ。今回、それが大画面で長尺で実現した。
MC・DT「以前」を知らない世代にとってあの笑いが理解出来るかは正直疑問である。さらには桁違いの制作費、宣伝量であったから..興行的にもしかしたら失敗するかも知れない。ただ個人的に鑑賞料は惜しいと感じなかった。
神が人間を造ったと偉ぶるなら/それがどうしたと言ってやる/おれは笑いをつくっている
オリジナルビデオ、エンドロールでの一節である。この自負を持ったままついに「監督」となった彼の作品をこれからも観ていきたい。

久々に懐かしい感じの古本連を見つける。薄利多売のブクオフは、どんどん安くなる分サイクルは早く、あきらかな死に筋はおそらく廃棄に回されるのだろう。
新古本ともお宝本とも違うまさに古本と言うべき、中小出版社の昔の単行本。これが吹き溜まっている店を発見。売れ残ったものがどんどん溜まっていって..という感じが堪らなく良い。
まあ、実際手に取るのはごくわずかなんですけど。一応今回はいしかわじゅんの未確認のシリーズを発見したので購入したが、この店ではあくまで棚を「鑑賞」することに意義がある。古着やおもちゃなど多角的に経営している店なので売り上げに貢献しなくとも潰れることはあるまい。学生時代に愛したタイプの古本屋がこんな形で蘇ってきた。



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