ドキドキ東京(ヨーウィ)編 第166回

(初出:第174号 11.11.20)


Hai fame? おなかすいてる?という事で始まあり。
某日。いつも行ってるホルモン屋さんの(オババ)からメールあり。いわく『誕生日プレゼント用意したから来なさい』との事。
このお店にはかれこれ3、4年通っとる私でして、この(オババ)のバースデーにはプレゼントなんぞを買ったり、お店が29周年だと聞けばプレゼントなんぞをもってったりしてたんス。
去年もタバコなんかをいただいた私だったのでありがたくお店へと向かう。
その日、彼女は仕事が遅くなりそうだというので私ひとりでホルモン屋へ。
私が口開け(口空け?)でして、炭を待つ間にプレゼをいただく。ありがたいこってす。
お通しなど食いつつルービー飲みーのしてるとフラリと客が入ってきました。
スキンヘッドで体重約90kgぐらいのデブ男です。
オババ「何にします?」
デブ男「ビール」
私は(常連さんかしら?)と考える。
店内のTVではニュースが流れとります。(オババ)はビールを取りに奥へ。私とデブの2人。デブは早口でボソボソとしゃべっとります。「あ〜っ寒い寒い!」
(オババ)、ビールを持ってきました。
オ「初めてだよね?」
デ「ああ。」
オ「仙台の人」
デ「うん。まあね。嫁と娘が藤崎デパートで買物してるって言うから飲んで待ってるっちゃ」
オ「あ〜。んじゃあ飲んで待ってたほうがいいっちゃね」
デ「んだんだ」
堂々とした感じだったので勝手に常連さんだと思っとったんスがこのデブお初さんだったんスね。
オ「何焼くの?」
デ「何って?」
オ「ここはホルモン屋だよ。何か焼いてくんないと」
デ「ああ、そうなの!?飲み屋かと思った」
店の外の看板にも店のドアにもデっかく『ホルモン』と書かれとるんスけど・・・・。
オ「海口っつあんはホルモン?」
私「はい。おねがいします」
デ「何?ホルモンあんの!?」
オ「何言ってんのアンタ?ここはホ・ル・モ・ン・屋!」
デ「じゃあホルモンもらうかなあ」
・・・・・。何かDNAレベルで体の奥から信号が発信されてきましたねえ・・・・。
デブはず〜っとしゃべり続けとります。
デ「いや〜、今日は寒いねえ。」
オ「んだねえ。奥さん達は何時頃までかかんの?」
デ「何だか。わかんねえっちゃ。んっ!?これキ△ンかぁ。味ダメんなったなあ」
オ「お客さんキ△ンダメなの?サッ△□もあるよ」
デ「昔はもっと美味かったんだけどなあ〜」
オ「他のにする?」
デ「焼酎」
オ「何か割る?」
デ「お湯」
オ「奥さん待ってる間に酔っぱらう気?」
デ「いいんだいいんだあ〜」
ポットからお湯をグラスにいれる(オババ)。(デブ)はニュースを見ながらボソリとひと言。「何もしねえんだ政治家は!」
ここで(オババ)の息子さんがフラリと来店。何やら営業職らしく時々様子を見に店に来るんス。(オババ)の次男とのこと。
オ「お〜。何したの?」
息「ウーロン茶くれ」
オ「ないよそんな物」
と言って(オババ)飲みかけをわたす。
オ「海口っつあんは会った事あるっけ?」
私「何回かお見かけした程度です。」
ここで(デブ)が急に入ってくる。
デ「へえっ!息子!?父ちゃんがいい男なんだなあ」
息「ハァ・・・・。」
デ「何仕事してんの?」
息「営業です」
デ「結婚は?子供は?」
息「・・・・。してます。女の子2人」
何のスイッチが入ったんでしょうか・・・・。
デ「男の子の作り方知ってるか?野菜をなあ、食ってっといいんだぞ」
息「もう2人いるんで十分です」
(オババ)私の方を向いて口パクで「何だコイツ!?」と言ってます。静かにうなずく私。その間(デブ)が男の子の作り方を延々と説いとります・・・・。
TVではダラ△・ラ○が来日したニュースをやっとります。それを見て(デブ)がひと言。「何だかたいしたこと言ってねえから家でてきたんだあ」とのたまっとりました。
この時点で(デブ)は焼酎3杯目。何だか酔ってきてる感が・・・・。
デ「ねえ!これ何の焼酎?」
オ「いいちこだよ」
デ「へえ〜。あれは?」
(デブ)が棚を指さします。指が短くてパンパン!グローブみたいな手。
オ「これはカボス味の焼酎。こっちはイモ焼酎」
デ「ふ〜ん。俺ぁイモダメなんだ」
この時点で(オババ)シカトモードへと移行。(息子)に帰るよううながします。(息子)も空気を読んでとっとと帰ってきました。
デ「何か野菜ある?」
オ「ピーマンあるよ」
デ「ピーマンかあ・・・・。家で畑やってっからいつも食ってんだなあ・・・・。」
オ「ふ〜ん」
デ「他は?」
オ「トマトは?」
デ「トマトは畑で作ってっからいらねえなあ」
オ「長イモ焼く?美味いよ」
デ「長イモはいらねえなあ」
オ「んじゃ無いよ」
デ「他は?」
オ「無いよ」
デ「他は?」
オ「だから無いって!!」
デ「んじゃあ焼酎!」
・・・・・。わかんないっス・・・・。ってか完全に酔っぱらってますコイツ。
ここへ常連の(Nさん)来店。パッとこの(デブ)を見て何かを察した様子。
オ「あら(Nちゃん)今日のカルビ良いよ」
N「ほなそれもらおか」
(Nさん)ビール飲みつつ私とあいさつする。
いつも仕事帰りに寄る(Nさん)はニッカボッカをはいとるのです。仕事着ですな。
デ「何の仕事してんの?」
(デブ)のスイッチがまた入った様子・・・・。
N「ああっ?」
デ「何の仕事してんの?」
N「解体屋」
デ「大変でしょ?」
N「んなことないよ」
カルビを持ってくる(オババ)。本当に良いサシのはいったカルビ。
デ「美味そうだな!これ1枚だけたのめる?」
オ「1枚?1枚って1皿のこと?」
(オババ)意味わかってるくせにワザと聞いてるのが面白い。ってか良い!
デ「いや、1切れ!」
オ「ダメ」
デ「1枚だけでいいんだ俺」
オ「1皿ならいいから」
私、あきらかにイラついた顔になってる(Nさん)に小声で(焼酎3杯ぐらいから酔っぱらってるんですよ)と説明。(Nさん)も小声にてひと言(ぶん殴ろか?)
(デブ)のケータイが鳴りだしました。
オ「奥さんからじゃない?」
デ「いいんだ」
オ「こっちがよくないよ!早くでてみたら?」
しぶしぶメールを見る(デブ)。
デ「何だあ!?今スシ食ってるって!」
オ「あんた行ったらいいんじゃない?」
デ「俺ぁスシ食いあきてっからこっちでいいんだあ」
皆「・・・・。」
デ「えっと・・・・。何仕事してるの?」
N「だから解体屋やって!さっき言うたやん!」
デ「大変でしょう?」
N「大変ちゃうよ」
デ「俺んとこも今、直してほしぐてやあ。墓の回りのとこ直してけねすか?」
N「俺んとこはそれちゃうわ」
オ「何あんた寺なの?坊さんなのあんた?」
デ「んだ。坊さんなんだ」
オ「どこの寺?」
デ「・・・・・・・・・。どこだっていっちゃ・・・・。」
急にテンション下がりまくってんスけど・・・・。
オ「どこ?仙台?」
デ「いいって!!どこだっていいべや!!」
オ「どこ?名取?」
デ「いいって!・・・・。いくらお会計?」
オ「えっ!帰んの?」
デ「いくら?」
何のスイッチが入ったんでしょうか・・・・。急におとなしくなって帰ってった(デブ坊主)でした・・・・。
何だったんだろマジで・・・・。

閉話次話。
某日。某方から連絡あり某サイのゼリアにて会食&会議。いわく「プロバイダー会社が倒産した」とのこと。
説明をうけたもののパソコンを持ってない私ですのでざっくりと理解できた程度でした。
なので全てを理解するべく全知能をフル稼働させて私なりに理解してみようと思います。
『プロバイダーが倒産』ということは『プロ』ではなくなったということ。何らかの原因でプロライセンスを剥奪されたということだろう。ということはこの会社は『アマチュアバイダー』ということになる。アマバイダーでは何かと不便なことも多々であろうと考えられる。会社とはいってもデカイビルではなくレンタルオフィス的なとこや港の貸し倉庫などで作業することだろう。洗濯も自分でしなければならなくなるのだろう。プロなら専属の作業人がいてやってくれるのだろうが・・・・。これがプロとアマの差というものだと西の空を見ながらくやしさをかみしめる社員達であろう。
しかしアマになったとはいえ『バイダー心』まで捨てては元プロとしてのプライドがゆるさないのかも知れない。そのプライドこそがバイダーイコールハンターたるゆえんなのかもしれませんね。
そもそも『バイダー』という言葉の語源はドイツ語の『brennen』で“燃やす、燃える”という意味からきているといわれる説があります。心の内にある宇宙(コスモ)に火を灯もしてこそ男の中の中。いや漢の中の漢といえるのではないでしょうか?
それでこそ社会人といえるのではないでしょうか?
真の人間の心の内に灯る小さな『バイダー』をいかにして解きはなつことが出きるかがこれからの社会にとって重要なことなのかも知れませんね。
何を書いてるかわからないっスねえ・・・・。けっきょくのとこ心のコスモを燃やせってことなのかな?プロバイダーって。
(fin)


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