新・現在4コマ漫画レビュー 第77回

(初出:第274号 20.4.22)


-TOPIC-
立ち読みにて。
「まんがライフオリジナル」誌(竹書房)が次号より毎月27日発売に変わります。これを読んだときには「ふーん」としか思わなかった。月初の「まんがくらぶ」誌(竹書房)に近いような販売日だけれど、月3誌刊行のペースとしては月初月中月末と均等化するし。「まんがタイムオリジナル」誌(芳文社)の発売日にぶつけたのは挑戦的だがその辺は業界ならではの行程が絡んでいるのだろう、他意は無いのだろう、くらいに思っていた。
月明けて「くらぶ」をいつものように立ち読んでいると、巻末近くになって突然回想録のページが出てきてクリビツ仰天。9割方読んでいたのを慌てて閉じてそのままレジへ。
改めて、子細に告知ページを読んでいると妙な違和感。つまり「くらぶ」が「ライフ」に吸収合併される形で発売日が27日に変更される?販売日はそのままに?リニューアル?新生?どういうこと??
ネットでさらに確認してみる。個人的に(勝手に他社誌に倣って)「くらぶ」月初、「ライフ」10日ごろ、「ライオリ」中旬とばかり思い込んで話を進めていたら、正確には「くらぶ」27日発売(最初から「タイオリ」と被っていた)(「MOMO」休刊以降?)、「ライオリ」11日、「ライフ」17日発売が「くらぶ」休刊で「ライフ」が27日発売に変更すると。

「くらぶ」発売日は新生「ライフ」の発売日に。「ライフ」は発売日を移動して大幅リニューアルというのが今回の真相。
ようやく本題へ。

しかし老舗「くらぶ」の看板を下ろすというのはなかなかの英断である。小坂俊史の回想録は、丁度年代が近いこともあって一々納得。私が4コマを語り出したのは2000年以降だが、90年代は思い返してもまさに伝説級。普段はストーリー漫画オンリーだったのに、帰省の長旅のお供は「まんがくらぶ」と決まっていた。キオスクで定価で(※当時は駅前の100円が相場でした)買う価値のある漫画誌として、森下裕美「ここだけのふたり」が表紙の本誌は一般誌でもお馴染みの作者がズラリと並び読まない作品が無く、しかも読み切り(読み捨て)で済むという最適の漫画誌であった。
その後勢いに乗って兄弟誌(くらオリ)、派生誌(ライフシリーズ)と最盛期で月間5誌(+ショート誌、WEB誌)まで広がった枝葉だったが、「くらオリ」「MOMO」はすでに休刊、そして今回の「くらぶ」本誌の休刊までシェイプ化が図られることになった。

ほとんどの作品が移行継続するため、需要減に応じた、他社誌と同様の枝葉切りと言えるものの、眺めてみるとショート作品が軒並みWEB誌へ移り、新生「ライフ」はほぼほぼ4コマ作品で固められている。
いがらしみきおのエッセイコミック、内村かなめのショート作品は共に次回への引きがありながらの終了となり、ブツ切りの印象で後味悪く整理されたのはいずれも非4コマ作品。
あれ?これってつまり..4コマ以外に広げ過ぎた枝葉を剪定したということ?
前々から述べているように竹書房は4コマ誌「本家」として「くらぶ」を据え、「ライフ」系列は新規開拓路線を引き様々な挑戦を仕掛けていると、眺めていたから今回の統合の仕方はちょっと意外に思えた。「マガジン」「モーニング」(講談社)、「サンデー」「ビックコミック」(小学館)などと同じような「くらぶ」「ライフ」の二路線を継続する余力が無くなったということか。
WEB誌やショート誌まで手を広げ4コマ漫画にこだわらない展開を見せている「ライフ」シリーズにして「新生」が正統派4コマ漫画誌にリニューアルとは苦しい内情に見える。ここまで削りながら迂闊「のみじょし」、宮成楽「晴れのちシンデレラ」は変わらず二誌連載(一誌は隔月掲載)と嵩を増やしての単行本頼み、看板不足も透けて見える。あ、だから「ライフ」に統一したの?

4コマ漫画全体としては4コマ「誌」からの脱却を図ろうとしているのが流れであるから、「タイム」「きらら」の二路線を維持している芳文社が今回の転換点でも覇権を維持しそうである。
個人的には4コマ「誌」の存続は有難いロートル読者であるのだが..。それならば「くらぶ」の看板を下ろさず、最低限でも二路線を掲げていて欲しかった。
結局4コマの節操のなさ(良い意味で)を心得て立ち回っていたのは芳文社だけだったと。何とも味気ない。


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