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芳文社(きらら系列)の作品が続々アニメ化し、深夜枠とはいえ放映局も増えている中。竹書房ではこのところ、OVA化が相次いでいる。先述のsaxyun「ゆるめいつ」に続いて、みずしな孝之「けものとチャット」が今秋に発売とのこと。告知等でデモ画面を眺めただけだが、ちょっと面白そうである。というのも、いわゆるCGを使ったアニメが出てからだろうか、同じ表情のカット絵がそのまま動くような、人形劇風に書割の人物が裏面に箸をテープで止めて、それを動かしているような、妙なシーンが続くようになって、それが何だか4コマのテイストに合っているように感じるから(冗長失礼)。ちょうど芳文社のきららWEBで公開されている、里好「うぃずりず」のうごうご4コマコーナーは、原案の4コマも公開されていて、そこに描かれているキャラクターが移動したり、腕を上下させるといった単純な変化で動きを表現している。瞬間の描写に秀でた漫画から、ほんの少しの動きでアニメーションになる訳である。細やかに表情が変わる、ナチュラルな動きが完璧に表現される、となると、時に行間の間に笑いが内包されたりするギャグにおいては、余計な言動が付与される場合がある。それが、同じ絵をそのまま使って動く手法ではキャラクターの描写自体は固まっているので、損なわれずに済んでいるような気がする。
声がイメージ通りかとか、好き嫌いはともかくとして。OVAを買うか借りるかなど、実際に見るかどうかもともかくとして。ギャグ4コマのアニメ化に関して、一つ課題をクリアしたような、そんな好印象を覚えている。
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UP-
恋愛4コマが素敵過ぎる。
先日「まんがライフオリジナル」誌(竹書房)が21周年ということで、記念企画ページを設けた。連載中の人気作品をもう1回(分)別枠で掲載という、増ページに工夫を凝らしたもの。単に来月分の話もしょうがないから今月に回した、ではなく、各自脇役に焦点を当てたサイドストーリーや、番外編とでもいうべき一捻りした内容にする中で、おーはしるい『ばつ×いち』(ライオリ)は、その号で語られた同じ内容を、視点を変えて送るという技ありの手法。これを使うことで普段は読むことの出来ない、主人公ではない方の思考を描くことが出来、結果特に恋愛ものでは相手の好意の根拠が分かることになる。つまり物語に深みが増してくる。本作は劇的な進展を見せることはないラブコメであるが、本話のような裏のある(根拠のある)やり取りが続いていけばストーリー4コマの系譜につながる名作となることだろう。
実は同じような手法を、身勝手ながら使って欲しいと密かに考えていた作品がある。曙はる『キラキラ・アキラ』(ファミリー)は、幼馴染の仲良しコンビが主人公で、思春期となりどうしても一歩進んだ関係を考えてしまう男の子の方の思考が(主に)描かれている。対して女の子の方は恋愛事に全くの無頓着として描かれているのだが。もし、本作のラストがすでに想定されていて、時系列的な終了が出来ている(例えば卒業を機に、とか)のなら。後半は女の子の方がドキドキ、ハラハラする内容が描かれないものかと思っていたのだ。というのもこのコンビ、太っちょで運痴の一見冴えない(だが料理が上手い)男の子に対し、女の子の方は明朗活発、各部活に助っ人として活躍し、誕生日にはプレゼントが門前市をなす学園きっての人気者、なのである。言ってしまえばラブコメによくある設定で、たまには女の子の方が羞恥狼狽する様が見たいな、と。していたら先日念願叶ったり。内容は要すると痴話喧嘩の類で微笑ましいものながら、女の子の方の悶々とする様が見られて大満足であった。これを毎回見たいとはもはや思わない、要所で突いてくれば、これはかなり効くスパイスとなるに違いない。
そして最後は思い切った展開に発展して快哉を叫びたい。むんこ『がんばれ!メメ子ちゃん』(くらオリ)の主人公が、何と告白に踏み切った。相手はオネエキャラで、主人公は性別からして理想と正反対の存在なのだ。しかし精神的な意味での同性としては喧嘩するほど仲の良い間柄で、現在ルームシェア中。この状況下で出された禁断の一言である。更に壮挙として、外的な理由を挙げると、本作は掲載誌の巻頭カラーを受け持つ。つまり看板な訳で、何よりも安定感を求められる作品にしてこの大胆な進展である。ストーリーテリングの如何がまさに次号以降問われることになる。久しぶりに次が楽しみで仕方ない。(最新情報として蛇足ながら。次号からリニューアルで野広実由「うちの姉様」が表紙&巻頭を勤めることになったという..まさか看板を降ろされたことが腹に据えかねての暴挙ではないと思うが..いや、本来終了でのチェンジとなるべきところ、特に延長して最終章(クライマックス)がこれから始まっていくのであろうと信じたい)
いずれにせよラブコメながらコメディ寄りの作品が、何の気負いも無く進展を、させることが出来るようになったのは目に見える進化といって良い。夢見ていた内容が、すでに読める現状にある。